第十話
私が練習を初めて何十年が経っただろう? 長く生きる種族になると、時間にルーズになっていっちゃうなぁ。
ただ、その分私もかなり成長したと思う。容姿や性格は変わらないけれど。
飛行はかなり上達したと思う。十二本の骨を使って様々な方向に飛ぶ事が出来るようになった。おまけに、上達すればするほど、動体視力も上がったと思う。将来弾幕ごっこをする事になるから、とても嬉しいおまけだね。此処まで来るまでに何回お父様の部屋に突っ込んだ事か…。何故かお父様の部屋にしか突っ込まなかった気がする。
妖力の扱いもかなり上達したと思う。様々な形の妖力の弾を大量に飛ばす事が出来たし、それを使ってスペルカードにそのまま使える弾幕のパターンも生み出せたし。…お父様には何百回と当てちゃったなぁ。百回毎にお母様がケーキを作ってくれたのを覚えてるよ。ケーキの事で、一回目はお父様が激怒したけれどお母様がニコニコ顔で二回目をやった時は何も言わなかったなぁ。かかあ天下は覆せないって事かな? いや、その前にこれをかかあ天下って言うのか議論しなきゃいけないかな。
使徒の力の制御もかなり上達したよ(これだけは確信)。練習中に壊しちゃった物も、私の能力で治す事が出来てよかったよかった! もしかしてこれを見越してこの能力が私に具わったのかな? …ただし何かを治すのを忘れてるような気がする。時々、お父様の部屋にある花瓶を見ると思いだしそうな気がするんだけれど…。
因みにいつの間にか食事の量も更に増えてたよ……。
パーティーに行くと私専用の食事が置かれたテーブルが幾つも在って、泣きそうになったよ。五回分のおかわりまで完備だったよ。
残り物処理を任されたよ。
私が食べ終わる時間を計られてたよ。食べ終わるのが早くなる度に、家族を含めてパーティーに来ていた皆から『おめでとう』の言葉を掛けられたよ。
いつの間にか私が食べ終わる時間を当てるゲームができてたよ。ぴったり当てたら賞品が貰えるらしいよ。
いろんな人から大食い勝負を挑まれたよ。私一人対大人数人もあったよ。全部勝っちゃったよ。
パーティーに来ていた人達に握手を求められて、握手したら「お姉ちゃんあんなに食べれるなんてすごーい!」(子供)「これからも頑張ってください!」(女性)「よっ! 妖怪一の大食らい。応援してるぜ」(男性)「今日も残り物じゃんじゃん食べてね」(パーティーの主催者達)とか言われたよ。
…チクショオォォォォオオオオッ! ………ちょっと落ち着こう……。
私が此処まで成長できたのも家族のお蔭だね! これからはいっぱい恩返ししなきゃ。
と思っていたらお父様達が隠居する時が来ちゃったよ。いらないよ、こんなタイミングの良さは。
現在、私達は玄関に居る。お父様達の見送りだ。
お父様達は友達の家で暮らすらしい。
レミリアお姉様から別れの挨拶を言う。
「お父様、お母様、あっちに行っても元気でね」
「ああ、勿論だ」
「あなた達こそ元気でね」
「ええ、大丈夫よ」
次はフランお姉様。
「お父様っ!お母様っ! フラン達の事忘れないでよね!」
「おいおい、私達はそこまでボケちゃいないよ」
「逆に私達の事忘れないでよね」
「勿論だよ!」
そして私。この日の為に頑張って考えてきたんだから。
「お父様っ! お母様っ! いつもおいしいご飯をありがとう!」
『………』
ありゃ? お父様やお母様、お姉様達や使用人達が全員固まっちゃったよ。
…よく考えてみると普通別れの挨拶でこんな事言わないよね。
「ハハハ、実にエルらしい別れの挨拶だ」
「こっちもたくさん食べてくれてありがとう」
「で、でしょー」
セッ、セーフ。
「それじゃあ皆さん、娘達をよろしくね」
『かしこまりました』
「それじゃあな、我が娘達よ。またいつか会おう」
『お父様、お母様、またいつか』
お父様達が見えなくなるまで見送ると私達は家の中に入る。明日からはお父様達のいない生活。不安もあるけれど、楽しみでもある。こういう時何て言えばいいんだっけ? 確か…。
私達の冒険はこれからだ!
……これじゃ終了フラグになっちゃうよ。
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