東方紅三女   作:パンプキン大佐

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物凄く長くなってしまった。


番外編2

「どうぞ、上がってください」

 

阿求が家の扉を開ける。しかし相変わらず大きい屋敷だ。中に入るのは初めてだが、中も凄まじく綺麗で、高そうな壺や花瓶などがある。恐らく値段を聞いたら驚きのあまり目が飛び出すだろう。もし割ったら物理的に目が飛び出しそうだ。……それだけは注意しなければ。

 

「…お邪魔します」

 

家の中に入り、阿求の案内で書斎に入る。ここもとても綺麗で、高そうな壺や花瓶がいくつか置いてある。

 

「くつろいでいてください。お茶を持ってくるので」

 

阿求が書斎を出て行く。

 

「それじゃあ…お言葉に…甘えて」

 

思いっ切り足を延ばして座る。今のうちに壺や花瓶を鑑賞しておこうか。壺や花瓶に近づき、舐めまわすように観賞する。デザインがいいな。あまり飾らない感じと言えばいいんだろうか。シンプルなところがいい。紅魔館のは、意味不明かつ気色悪いデザインだから困る。あんな物のどこがいいのか、私には分からない。まあ所詮、外国と日本の美的センスは違うという事だろう。

 

「お待たせしました」

 

阿求がお茶とお菓子を持って来た。どれも美味しそうだ。………。

 

「…ん?」

 

そういえばこのお菓子、あの馬鹿が好きなやつだ。確か昨日全部食べて、明日買ってくるとか言ってたな。勿論今日風邪を引いたから買えないが。あいつがこれを食べれないときに、私が食べるのか。まあ精々あの馬鹿の分まで味わって食べて、その事を帰ったら話してやるとするか。どんな顔をして聞くだろうか? あいつは姉達とは比べにならないくらい子供っぽい。きっととても悔しそうな顔で聞いてくれるだろう。そう考えると中々いい気分だ。

 

「…いただきます」

 

お菓子を口に入れる。見かけ倒しじゃなく、やっぱり美味しい。さらにあの馬鹿の悔しそうな顔を想像しながら見ると、なお美味しい。

 

「それでは質問させてもらいますね」

 

筆を持った阿求が楽しそうな顔で言う。私の事を書くのがそんなに楽しいのか? あまり面白い話は無いのだが…。

 

「なんで…楽しそう…なんだ?」

 

「新しい事を幻想郷縁起に書けるからですよ。こう何代も続けていると、新しい事を書くのが楽しくなるんですよ」

 

「…ふーん」

 

まあ何事も継続する事が大事ってわけだろう。生憎私は何かを継続してやる事なんてできないし、したくもないが。

 

「…どうぞ」

 

「はい、では趣味は?」

 

…いきなり際どい質問が来たな。趣味ってあんた、それ性格とか人間性とか性癖とかをよく表してますやん。プライベートですやん。

 

「そんな事…載せるの…か?」

 

「場合によっては」

 

まあ別に隠すような事でもないし。

 

「観察…」

 

「観察ですか。一体何を?」

 

むう、言うまでは思わなかったが、こう自分の趣味を他人に話すのは結構いいな。特に今のように相手が興味を持っているときは。

 

「人間…妖怪…妖精…その他多数」

 

「…へ?」

 

阿求が驚いて固まる。はて…、私は何か変な発言をしてしまったのだろうか?

 

「…どうした」

 

「ひ、人を観察してどうするんですかっ!」

 

阿求が顔を赤くして叫ぶ。むむ、純粋だな。

 

「いや…特に…見るだけ」

 

「…へ?」

 

また阿求が固まる。が、すぐに動き出す。どうやら私に対する耐性が付いたようだ。よかったよかった。

 

「い、いや、人の事を観察しといて何もしないんですか?」

 

「ああ…しない」

 

私はあくまでも他人の行動を観察するだけだ。別に観察して分かった事を馬鹿にしたり、話のネタにするような事はしない。そうする理由も特にないが、それが私のルール。

 

「それにしてもまさかそんな事だったとは…。今まで誰を観察したんですか?」

 

阿求、驚いたりしてた割にグイグイ聞いてくるな…。これも何代にも渡って質問をしてきた結果か。やっぱり何事も継続が大事って事だ。

 

「紅魔館の奴ら、周辺にいた妖怪や妖精なんかもやったな」

 

「成程…」

 

何が成程なのか私にはさっぱりなんだが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女質問中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで終わりです。協力ありがとうございました」

 

「…ああ」

 

私は立ち上がり、玄関に向かっていく。

 

「あ、エルさんのためにあれを持って行ったらどうですか?」

 

あれ、とは恐らくあのお菓子の事だろう。勿論断る。あの馬鹿の悔しい顔を見るのだからな。

 

「いやいい」

 

「そうですか…」

 

靴を履き玄関の扉に手を掛ける。

 

「…じゃあ」

 

「はい、それではまた今度」

 

扉を開け一歩踏み出そうとする。しかし目の前の地面にいたとある物体に目がいく。ひょろ長い貧弱そうな体。四足で這いつくばるように歩く気味の悪い移動方法。低脳そうなアホ面。それがなんであるか理解していくと同時に、全身から汗が出てくる。

 

「と」

 

「と?」

 

後ろにいる阿求が不思議そうに声をあげる。

 

「トカゲ!」

 

私の嫌いな生物、トカゲだ。

 

「わわわわわわっ!?」

 

私は急いで阿求の後ろに隠れ、肩越しにトカゲの様子を見る。一向にそこを退こうとしな。私よりずっと低能な爬虫類の癖に…。

 

「阿求…追い払って」

 

「へ? あのトカゲをですか?」

 

「…うん」

 

「分かりました」

 

阿求がトカゲに近づくと、トカゲは逃げるように去っていく。ザマア見やがれ! てめえは森で一生餌探してな! 心の中で出来る限り馬鹿にする。

 

「それにしてもムカデさん、トカゲが苦手だったんですね」

 

「苦手…じゃない…嫌いな…だけ!」

 

「そ、そうですか。じゃあ何で嫌いなんですか?」

 

やはり聞いてくる阿求。

 

「食べる…だよ…百足を」

 

「ああ、そういえトカゲは百足を餌にしますね。という事はカエルやモグラなんかも嫌いなんですか?」

 

「…うん」

 

阿求の言う通りだ。私はカエルやモグラも嫌いだ。勿論百足を食べるからだ。

 

「危な…かった…妖怪に…なってて…良かった」

 

もっとも、普通の百足としての人生を送っていたらもう私はいないのだが。

 

「…ムカデさんってもしかして」

 

「…何だ?」

 

「エルさんの事、結構恩義を感じてるんじゃないですか?」

 

「そんなわけ…ないだろ!?」

 

私があいつを尊敬してるだと? ありえない! 寝ていた私を勝手に連れて行き、揚句自分のペットにするような、自分勝手で意地汚く、馬鹿丸出しなあいつに恩義? バカバカしい。この世のどんなジョークより面白味が無い。

 

「だってムカデさん、妖怪になってて良かったって言ってましたし」

 

「………」

 

妖怪になってて良かった。当たり前だろう。寿命が増え、体が丈夫になり、天敵に食われることも無くなり、死に対する恐怖が無くなった。体力が増し、知能が増し、人間の体になってからは器用になった。だから妖怪になれてよかったと心底思っている。………あれ? 私を妖怪にしたのは…。

 

「………」

 

「ムカデさん?」

 

「…阿求」

 

「何でしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買ってきたものを咲夜に渡し、あの馬鹿の部屋に入る。どうやら寝ているようだ。私はベットに近づき、馬鹿の寝顔を見てみる。

 

「スゥ…スゥ…」

 

馬鹿面なのには変わりはないが、なんだか少しだけかわいく見えた。

 

起きる前に用を済ませるか。私はベットの近くの机の上に皿を置き、その上に阿求から貰ったお菓子を置く。置き終わったら静かに部屋を出る。

 

「…早く…元気になれよ…ご主人」

 

寝るために自室に戻ろうと歩き出す。この馬鹿のペットでいるのも悪くないかもしれない。少しだけそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張って早く元気になりますかね」

 

皿の上に丁寧に並べられたお菓子を一つ取り、口に入れる。

 

「…いつもより美味しい気がするなぁ」




次回「番外編3」

次回も、サービスサービスゥ!
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