GATE 量産機よ、異世界でも立ち上がれ   作:G大佐

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お待たせしました、イタリカ編突入です。


ラビオット、イタリカへ

 アルヌス駐屯地。コダ村からの難民を受け入れた連合軍は、余裕のあるスペースに難民キャンプを設立した。受け入れられた住人らは、寝床や食事だけではなく、風呂に寝床も与えられ、「貴族になるような事をしただろうか?」と錯覚した。フカフカの白パン、塩だけではなく複雑な味付けがされているスープ、暖かい風呂に隙間風のない小屋。どれも貴族のイメージが強いものであった。

 しかし、自分達もただ施しを受けるだけの人間ではない。炎龍から助けてもらっただけではなく、行くあての無い自分達を受け入れてくれた巨人の兵士たちには恩がある。だからこそ、自分達に出来ることは無いだろうかと動き始めた。その中の1つが、資金稼ぎである。

 駐屯地の周りには、大量の翼竜の死骸があった。これ等の鱗は価値があり、どこかで売れないだろうかと考えていた。巨人の兵士たちが言うには、研究用としての鱗や骨などは十分に確保したらしく、それでも有り余っていたため処分に困っていたそうだ。そのため、住人たちは鱗を集める作業に入ったのだが……その近くにも巨人がいた。

 

 その巨人は、eEXM-21ラビオットである。戦闘用としても使用可能だが、今は作業用機体として運用している。

 

 ラビオットは、その剛腕で一度に沢山の翼竜の死体を回収してくれた。だがラビオットにとって翼竜は小さすぎるらしく、鱗を剥ぐ作業などを住人に任せる事にした。初めて仕事を任された住人たちは、張り切って作業に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 アルヌス駐屯地司令室。そこに一人の男が呼び出されていた。

 

「交易都市までの護衛、でありますか?」

 

 与えられた任務にポカンとした顔で尋ねる日焼けの男の名は、スカー。翼竜の死体回収に協力した、ラビオットのパイロットである。

 

「そうだ。売買に関する信頼が高く、アルヌスからも近い。まさにうってつけと言うわけだ」

 

 椅子に座りスカーの言葉に応えるのは、司令官の一人ヴィエラ。人種も国籍も異なる部隊をまとめるために複数の司令官が存在しているが、ヴィエラはその中でも数少ない女性司令官である。

 

「この依頼は、レレイ・ラ・レレーナ嬢からの依頼でもある」

「あの魔法使いの子ですか。でしたら、バイスさんとかレイスとかが適任では? 面識もあるようですし」

「いや、翼竜回収と解体の現場に居合わせたお前に立ち合ってほしいと言う。いわば、保証人だな」

「しかし、私はあくまで回収班であって……」

「くどいぞ。これは、命令だ」

 

 鋭い視線を向けられ、背筋が冷えるスカー。司令官ヴィエラは「氷の女」と呼ばれるが、それは彼女に睨まれた者は背筋が必ず冷えるからと言われている。

 

「お前は、『なぜ回収班である俺が』と思っているだろう? ()()()()()()()()()()()、適任なんだ」

「……俺たちは、死体をあさるハイエナですぜ?」

「ハイエナは夜のアフリカで最も恐れられる生物だ。……何度も言わせるな。行け」

 

 敬礼すると、スカーは退室した。ヴィエラは呟く。

 

「回収班『スカベンジャーチーム』のお前だからこそ、戦闘に関しても信頼できるのだぞ」

 

 飲みかけの紅茶は、まだ湯気を立てていた。

 




読んでいただき、ありがとうございました。次回もお待ちください。
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