GATE 量産機よ、異世界でも立ち上がれ   作:G大佐

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疲弊のイタリカ

 テュカ、レレイ、ロゥリィを乗せた第3調査班は、交易都市イタリカに向かっていた。

 

「でもビックリだよね。巨人に普通の人間が入ってたなんて」

「正しくは、巨人に見せた巨大な鎧。だけど炎龍の時のように走ったり飛んだりするのは、とても技術が必要」

「私は納得したわ~。どうりで魂のサイズが小さいと思ったもの~」

「あの~、この事はあまり他人には……」

「分かってるわよぉ~。秘密にしておかないといけないのよねぇ?」

 

 アルヌス駐屯地で生活していた元コダ村の住人たちだったが、巨人に人が乗っている事が分かるのに時間は掛からなかった。演習や作業を終えたパイロットが降りているのを、見られたからである。

 初めはその事に酷く慌てた地球連合軍だったが、住人全員が他言無用でいてくれると快く約束してくれた。

 

「今日は、レイスさんの代わりにスカーさんが来てくれたんですよね?」

「あぁ。スカーは、スカベンジャーチームに所属している兵士だ。戦闘能力も期待していい」

「ま、マジっすか!?」

「スカベンジャーチーム?」

 

 アルバートが詳しく説明する。

 スカベンジャーチームとは、回収班と呼ばれるチームの1つである。回収班の役目は、戦闘が終了した地域で敵や味方の機体・兵器の残骸を回収するのが主である。

 だが、そのような場所には、技術漏えい防止のために爆弾や地雷が仕掛けられていたり、生き残っていた兵士が待ち伏せしている危険性もある。そのため、回収班は必然的に戦闘能力も求められるのだ。

 スカーが所属するスカベンジャーチームは、そんな回収班の中でも戦闘からの生還率が非常に高い、いわゆるエリート小隊なのだ。

 

「アルヌス防衛戦の時に、帝国兵士の死体とかを集めてたのも彼らだ。そのお陰で、この辺りで使われてる金がどんなものかを知ることが出来た」

「それ、倫理的に大丈夫なんですかね?」

《情報を得るために必要なことと考えるしかない。向こうが攻めてきて、俺たちは殺されないために相手を殺すしかなかった。金を奪うための殺しじゃない。強盗殺人とは違う》

 

 通信機からスカーの声がした。低い声が、倫理的な不安を抱いたエミリーとって、やけに重みのあるように聞こえた。

 

「スカー。何かあったのか?」

《イタリカの方角に、黒煙を確認。それも1つじゃなく複数です。戦闘の後かと》

「色んな戦場の跡を見てきた経験か?」

《はい》

(……これは、少し厄介な事になりそうだ)

 

 スカーからの報告を聞いたバイスは、起こるであろう厄介事に身構えることにした。

 

 

 

 

 

 交易都市イタリカ。しかし今は、盗賊による幾度もの攻撃でその活気は薄れていた。その様子にピニャは忌々しく下唇を噛む。

 

(あと3日で妾の騎士団が到着するが、士気が低すぎる……)

 

 ましてや、その盗賊というのが、先のアルヌスの戦いから敗走した元帝国兵だというのだから笑えない。落ちぶれたとはいえ、元は正規兵。多少弓が扱える程度の市民との実力の差は明らかだった。

 疲弊し士気も低下している今、3日どころか今晩保つかどうかすら怪しい。そんな時だった。団員の一人であるグレイがやって来た。

 

「姫様。市民が『巨人が来た』と言っております」

「巨人だと? まさか……」

「見慣れぬ格好をした者もいると。恐らく、噂の『巨人の兵士たち』かと」

「仮に巨人の兵士たちだとして、相手は何か言ってきたか?」

「『イタリカに用があって来たのだが入れてもらえないか?』と言っているようですが……いかがいたしますか?」

「……妾が行こう」

 

 身だしなみを軽く整え、防壁の上へと上がる。対応に当たっていたノーマとハミルトンの表情が明るくなる。

 

「姫様!」

「巨人だと?」

「はい、あちらに……」

 

 まず目を引いたのは、言わずもがな、巨人ことラビオットである。単眼の巨人は動くことなく立っているが、その大きさは、その気になればイタリカの防壁を拳で壊すことが出来るだろう。

 

(何と言う大きさ……。はっ、いかんいかん! 巨人は一体だけだ。だとすると兵士というのは……)

 

 巨人の足元へ目をやると、鉄で出来ているであろう荷車と、1人の兵士がいた。

 

「我々はイタリカへ用があって来た! この巨人は我々の護衛だ! どうか中へ入れてもらえないだろうか!」

「……姫様、どうしますか?」

「……恐らく、イタリカの現状を知らぬのだろう。あの巨人は、いつでも壁を壊せるのにも関わらず、大人しくしている。むやみに力を振るうことは無いだろう。それにこの状況だ。炎龍をも殺せるという彼らの力を、借りたいところだ」

 

 ノーマは巨人が本当に目の前にいることに驚き、野次馬として見に来た見張りの義勇兵は、不安に満ちた顔をしていた。

 

「他に人がいるなら、姿を現してほしい! 誰がいるのだ!」

 

 すると、兵士が鉄の荷車に手招きする。そこから降りてきたメンバーに、ピニャたちは驚く。

 

「リンドン派の正魔導師に精霊使いのエルフ、そして……ロゥリィ・マーキュリーか!」

「あの女の子が、ですか?」

「戦える女性とは少なくないのですな」

「どうしますか? 入れます?」

「……あの者たちの力を借りよう。下手に怒らせれば、かえってこちらが滅ぼされかねん」

 

 先ほど大声を出して呼び掛けていた男に、ピニャは答える。

 

「良いだろう! 今から門を開ける!」

 

 こうして、巨人の兵士たちことバイス達は、イタリカへと入るのであった。

 




読んでいただき、ありがとうございました。次回もお待ちください。
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