イタリカ東門の壁上。そこでは、市民による義勇兵とバイスたちが攻撃を仕掛けていた。
「放てぇ!」
号令とともに壁上から矢が放たれるが、盗賊たちが盾を構えることで防がれる。
「盾を上に構えてるやつを狙え!」
バイス、アルバート、エミリーがマシンガンで盗賊たちを攻撃する。弓矢を防ぐのと同じ要領で盾を構えた盗賊たちだったが、その鉛玉は呆気なく盾を貫通した。
「ぐぎゃっ!」
「あがぁっ!」
「こ、これはまさか、アルヌスの時の……!」
「ここでも我々の戦いを侮辱するかぁ!」
盗賊たちにとってアルヌスの戦いとは、到底満足のいくものではなかった。一方的に味方が倒れていき、敵のことも教えてくれない帝国を憎み、同じ境遇の者が集まった。
彼らは謳う。これが戦争なのだ! 相手とぶつかり合い、剣を交え、力と恐怖を見せつけるのが戦争なのだ! これこそがエムロイに捧げるものなのだ!
「相手の罵声に乗るな。乗ったら相手の思うツボだ。ノーマ殿!」
「矢を放てぇ!」
上からの矢を防ぐために構えていた盾は貫かれ、密集陣形を取っていた盗賊たちは市民たちの格好の的だった。ノーマの号令と共に矢が降り注ぎ、盗賊は次々と倒れていく。
だが、それも束の間。市民たちの放った矢が、突如発生した風によって威力を失った。
「これは!?」
「精霊使いがいるのか!」
「風を操れるとなるとキツイぞ……」
風を操る相手が居るという事は、自分達の銃の威力も最大まで発揮できないと言うことである。双眼鏡を見ると、一人の女の子が手をかざし、何やらブツブツと唱えているのが見える。
「ノーマ殿! 相手の呪文を止めさせれば良いんですよね!?」
「何か策があるのか!?」
「他の人たちに、一瞬だけ目を瞑っていて欲しいんです! 眩しくなります! そのあとにすぐ攻撃を再開してほしいんです!」
「信じてるぞ!」
ノーマが弓や弩を構えている兵士に、少しだけ目をつむるように指示する。最初は疑っていたが、巨人の兵士からの言葉だと伝えると、素直に従った。きっと自分達では思いもつかない事をするだろうと信じていたからである。
「アルバート、フラッシュ!」
バイスの命令と共に、アルバートが閃光手榴弾を空へ放り投げる。その瞬間眩い光が放たれ、盗賊たちはそこへ視線が釘付けになる。それはもちろん、風を起こしていた亜人の少女も例外ではない。
「今だぁ!」
ノーマの号令と共に、一足早く市民たちが攻撃を再開する。こうして劣勢になりかけた所を立て直すことが出来たが、ノーマはある心配をしていた。
(矢が尽きれば……壁を越えられてしまう)
最も恐ろしい、弾切れならぬ矢切れが、刻一刻と迫っていた。
アルヌス駐屯地。そこに設けられた滑走路から、戦闘機が飛び立った。5機からなるチームが空を飛ぶ。
《各機へ。これより我々は、イタリカへの支援攻撃として先陣を切る! 後続がラクできるように真剣に取り組め!》
この戦闘機は、対地攻撃を想定して組み立てられている。これのオリジナル機は、エグザマクスの支援用として開発された。
その名も、エグザビークル・エアファイターである。
《隊長! どうせならテンション上げて行きましょうや! 俺たちに相応しい曲持ってきてますぜ!》
《ファイター03、許可する! 音楽を流せ!》
《よっしゃあ!》
ファイター03と呼ばれた男が無線をオンにしたまま、音楽を流し始める。
曲は……『Danger Zone』だ。
《突っ走るぜぇ!》
《ヒャッホォウ!》
《ロックンロール!》
《YEAH!》
(やれやれ、コイツらは……)
テンションが上がり声をあげる隊員たちに、隊長はため息をつくのだった。かく言う彼自身もテンションは上がっていたが。
読んでいただき、ありがとうございました。次回もお待ちください。