エアファイター隊が出撃しイタリカに向かっている頃、バイスたちはスカーと連絡を取りつつ、銃撃を繰り返していた。
「そろそろ弾が無くなる! お前の方はどうだ!?」
《簡易型ロイロイの組み立て及び弾丸の装填完了! 俺もいつでも行けます!》
「後は向こうが門の方を通ってくれれば……!」
「バイス殿! そろそろ矢が無くなる! 壁を越えられるぞ!」
「なっ!? 壁を越えられるのだけはマズイ!」
ノーマからの報告に、バイスは焦りが生まれる。相手の数は予想通りだが、味方の矢が無くなる早さは予想外だった。もし盗賊が梯子をかければ壁を越えられ、リスクの高い近接戦へと移行してしまう。今バイスたちの持つ近接武器と言えばダガーだけ。ダガーではリーチが短すぎるのだ。
「くそ、どうする!?」
《こちらファイター01。第3調査班、応答せよ》
頼りになる声が無線機から聞こえると、バイスは物陰に身を隠しながら、無線機を取る。
「こちら第3調査班バイス! イタリカ東門の壁上!」
《3分後、門外の敵勢力に対し、スプリット弾を使用する》
「…………はぁ!? スプリット弾だと!? てめぇ俺たちも巻き添えにするつもりか!?」
《そうなる前に退避しろ!》
「あ、おい! クソッ! お前ら、門内へ退避だ!」
「聞こえてました! スプリット弾ですって!?」
「ノーマさん、みなさん! 私達の仲間が大規模な攻撃をします! 巻き込まれないように避難を!」
様子の変わったバイスたちに、何があったのかと首を傾げそうになる義勇兵だったが、慌ててるような表情と巻き込まれるかも知れないという言葉に、義勇兵たちも大慌てで壁上から退避した。
「ハッハッハッ! 奴らめ、中へ逃げたぞ!」
「所詮は臆病者! 続けぇ!」
己の猛攻に敵も逃げ帰ったと嘲笑する盗賊たち。
だが、これが地獄の始まりであることを、彼らは知らなかった。
所変わって、イタリカ付近の空。5機のエアファイターが東門外へと向かっていた。
《こちらファイター01。間もなく東門だ。スプリット弾、投下用意!》
「ファイター02了解。投下用意」
機体に収納された小型爆弾が露出する。
《ファーストウェーブは俺と02で行く。03、04、05はセカンドウェーブとして対地機銃の用意! 02、投下体勢! カウント3で行くぞ!》
「了解、いつでも行けます!」
東門が段々と近づき、黒煙を確認できた。ファイター02は祈るように呟く。
(退避しててくれよ……)
《カウント! 3……2……1……ドロップ!》
「スプリット弾、ドロップ!」
スプリット弾投下のスイッチを押した。
それは、さながら巨大な鷲の鳴き声と聞き間違える程だった。ピニャ・コ・ラーダの日記にはそのように記されている。
キィィィンという音が聞こえたことに違和感を持ち、ふと空を見上げた。
その時、鋼鉄の大鷲が東門の上空を通過した。
何か黒い物を落としたかと思いきや、空中で破裂し何かをばら蒔いた。門の外から聞こえてくるのは、盗賊たちによる断末魔。
続けて3羽の大鷲が飛んできた。こちらはタタタタという音と共に火の魔法を地面に向けて放つ。
「あの大鷲は……魔獣だというのか……?」
義勇兵たちに迎撃の用意をするため指揮を執っていたピニャの動きが止まり、盗賊へ行われている蹂躙を目にする。
門からノーマや巨人の兵士たちが逃げてきたときは、なぜ逃げるのかと責めたかった。だが今なら分かる。あの大鷲の攻撃は、味方をも巻き込んでしまうのだろう。
(帝国は、連合諸王国軍は、何を相手に戦っているのだ……!?)
戦慄するピニャ。しかし、地球連合軍の攻撃はまだ終わっていなかった。
「殿下! 巨人が動きます!」
ハミルトンが指をさす方へ目を向けると、バイス達がつれてきた剛腕の巨人が立ち上がった。
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