地球連合軍。バイロン戦争が勃発したと同時に結成された軍事組織である。戦争が終わったあとも、再び未知の存在による攻撃を受けないために、その協力体制は現在まで維持されてきた。
地球連合軍司令部、N国支部。その会議室には総司令とN国首相が、複数のモニターに映る人物たちと会談をしていた。
《まさか、再び時空転移門が現れるとは……》
《だが、出てきた相手はバイロン軍では無いのだろう?》
「はい。戦争に参加していたバイロン人将校らに確認させましたが、みな『この様な国旗や生き物は見たことが無い』と口を揃えて証言しております」
《またしても異世界からの侵略者と言うことか……》
「警察機動隊の中には、ワイバーンと呼称している未確認飛翔体に食い殺された者も居ます。写真をお送りしますのでご覧ください」
首相がタブレットを操作すると、各国の首相や軍総司令官のタブレット端末に写真が送られる。会議室にどよめきが起こった。
《未だに信じられん……。合成だと言いたい所だが……》
《死亡した警察官の噛み痕とも一致するな……》
《みんな、忘れてはいけない。今回の異界の敵による襲撃は、連合軍に加盟しているN国が攻撃を受け、被害も出た! つまりこれは、同じ連合軍加盟国である我々も援助しなければならない!》
会議室がさらに騒がしくなるが、議長も兼ねているA国首相が木槌を鳴らした。
《諸君。Gシティに現れた門は、かつてのバイロン戦争に出現した時空転移門とは異なっている。どうだろう、既に過去の門に『ゲート』と名付けているから、今回の門は、区別をつけるためにも『異界門』と名付けるのは》
「なお、異界門の先の世界を、特別地域、『特地』と呼称したらどうかと思っています」
《良いんじゃないか? 異界門に特地、分かりやすい》
その他の首相たちも賛成だった。
「それで、特地と異界門についてですが、この世界への侵攻が失敗した特地の国は、また別の場所に異界門を開いて侵攻するのではと考えている者もいます」
《いつ、どこから現れて攻めてくるか分からないという訳か》
《異世界の軍勢による被害が広がってはいかんな……》
《うむ。相手は数が多い。いかに古い武器を使っていても、数に押される可能性は捨てきれん》
「そうなる前に、今回の侵攻の首謀者を早期に特定し、交渉の席に座らせ、これ以上の侵攻を止めさせようと思っています」
《と、なると……特地で戦闘もあり得るわけか》
「はい。私は、エグザマクスも含めた軍を派遣しようと思っていますが……如何でしょう」
N国首相は、真剣な目で全員に意見する。
《ふむ、君の国が被害を受けた以上、私たちも協力しなければならない》
《……それぞれの国から少数部隊を集結させ、特地に派遣してみては?》
《私たちは、連合軍非加盟国の軍事行為も警戒しなければならない。確かに、少しの部隊を集めれば、本土防衛に人員を残す余裕もできる」
「皆さん……ありがとうございます!」
首相は頭を下げる。
《どうだろう? 特地には、我々が知らない資源や技術などがあるかもしれない。軍を派遣する国同士で、特地の情報を共有するのは?》
《異議なし!》
《我々も異議なし!》
「我が国も異議ありません」
こうして、地球連合軍は再び集結し、異世界へと赴く事になったのである。
2XXX年。Gシティに鎮座し続ける異界門に、人種国籍を問わない兵士たちが集結していた。歩兵だけではなく、戦車、兵員輸送車、そしてアルトとポルタ・ノヴァを始めとしたエグザマクスも整列している。
スピーカーから、声が響いた。
《諸君。これから我々は、未知の世界へと突入する。恐らく、諸君の中には不安や恐怖を抱いている者も居るだろう。構わない。未知への恐怖とは、誰もが持っているものだ。むしろ、その感情を抱いてなおこの場に立つ勇気を持っていることを称賛する。この先には、我らを脅かすであろう存在が待っている。我らの世界を、再び守るために!》
《進軍!》
エンジン音が唸る。エグザマクスのカメラアイが光り、一歩踏み出す。
世界から集結した軍隊が今、特地へ向けて歩きだした。
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次回、アルヌス戦です。