パーティーに出席していた貴族たちを、会場から離れた空き地に招待した。彼らの目の前には金網があり、その向こうには地球連合軍の兵士が数人立っている。
「これより、我々の携行武器の射撃展示を行います。大きな音が鳴りますのでご了承下さい。まずは小銃からです」
「総員、構え!」
何も武器名を正式に紹介する必要はない。彼らに売却するつもりはないのだから。金網の向こうにいる小隊長が号令をかけると、兵士全員が小銃を的に向けて構える。
「撃てぇっ!」
銃声が響く。その音に驚いた貴族は、ビクッと肩が上がったり、目をつむったり、耳を塞ぐ者が殆んどだった。銃声が鳴り止んでから的を見ると、見事に中央が撃ち抜かれている。
「な、なんと……」
「かなりの距離があるぞ……」
「連射! 始め!」
再び号令が掛けられると、連射モードになった小銃から、パパパパと音が響く。的は瞬く間にズタズタにされた。その光景を見た貴族たちは、自分の兵士たちが蜂の巣にされる光景を想像してしまう。
「次に……」
すると、胸につけていた無線機から報告があった。パーティー会場付近には、主戦派が来た場合に備えて、スカベンジャー隊を警備につかせている。
『こちらスカベンジャー1。お呼びでない集団がおいでだ』
「了解。到達予定時間は?」
『馬で来ているな。あと10分』
「余裕だな。すぐに避難させる」
通信を切ると、兵士たちにハンドサインで、内容を伝える。
「皆さん、申し訳ありません。予定外のお客がありましたので、この場を離れます。我々が誘導しますので、どうぞこちらへ」
「う、うむ。分かった」
「まさか主戦派が……」
「嗅ぎ付けてきおったか……」
貴族たちは、用意された車に乗り込み、帝都まで急いで戻ったのであった。
その頃パーティー会場では、乱入者がいた。その筆頭の名は、ゾルザル・エル・カエサル。ピニャの腹違いの兄である。
「これは兄上。どうなさいましたか?」
「ピニャか。何だこれは?」
「女性同士の友好の茶会です。今回は子供たちも混ぜての会ですので、料理なども用意してあるのですよ」
「ふむ……」
ゾルザルがここに来た理由は、自分の側近から、「議員の何名かがアルヌスの敵と講和をしようとしている」という話を聞き付けたからだ。彼からすれば、臆病風に吹かれた裏切り者として許せなかった。故に自らが裁こうと、自分の兵を連れてやって来たのである。
だが目の前にある光景は、貴族の女性や子供たちが和気あいあいと談笑している光景。とても極秘の会談をするような雰囲気には思えない。
ちなみに、会場にいた兵士やニイジマも、すぐに席を離れた。ピニャには乱入者の存在も伝えてあるため、彼女はさらっと嘘を言えている。
(マルクスめ、早とちりしたな)
すっかり毒気を抜かれたゾルザルは心の中で舌打ちしつつ、ピニャからパーティーの様々な料理を紹介され、舌鼓を打った。
なお、料理を気に入ったゾルザル一行が、アイスクリームや肉料理などを殆んど持っていき、子供たちから不評を買ったのは完全な余談である。
夜、帝都の悪所。そこにある地球連合軍部隊「ラーテル隊」の拠点に、来訪者が現れた。
「どうしましたか?」
部隊の紅一点であり衛生兵のリズがドアを開けると、背中に白い翼を持つ女性ミザリィが、他の娼婦仲間である亜人たちを連れていた。
「話があるんだ」
彼女たちの顔は、不安に満ちたものだった。
あと数話投稿したら、メインであるエグザマクスも登場させようかと考えています。
読んでいただき、ありがとうございました。次回もお待ちください。