アルヌス駐屯地ミーティングルーム。そこへ集められた幹部と各調査班班長たちは、非常呼集をかけられていた。
「緊急事態だ。帝都へ情報収集の任務に当たっていたラーテル隊から、通信が入った。情報班班長マルクス、詳細を」
「はい。ラーテル隊からの報告によりますと、ラーテル隊及び空戦部隊による、報復及び威嚇攻撃は成功に終わりました。しかしながら、先日の謁見の間による騒ぎで講和派の存在がバレました。
現在、皇帝モルトは講和派の議員を次々と拘束し、財産を没収した上で、家族ごとバスーン監獄へ連行しているとのことです。また、ピニャ・コ・ラーダ嬢の率いる薔薇騎士団も、拘束するために部隊が動いているとのことです」
バイスは頭を抱えた。ニイジマを守るために行動したとはいえ、自分達の行動で事態が悪化してしまったと考えていた。
「バイス、相手は攻撃の意思を示した。お前たちの班は外交員を守るために抵抗した。仕方ないことだ」
「我々も、範囲を広げて行動したために、敵に情報が渡ってしまった。誰か1人の責任ではない」
「今対処すべきは、講和派が拘束された事だ」
バイスと親しい他の班長が慰めると、幹部たちが話を戻す。
「そして、我々はピニャ・コ・ラーダ嬢から要請を受けた。薔薇騎士団団員、及びバスーン監獄へ収容された講和派議員の救出である。
本部にも通達した結果、満場一致で要請を承認。救出作戦として正式に命令された。これは、アルヌス防衛戦以降の大規模作戦となる」
そして、作戦内容が説明される。
「今回の作戦のポイントは3つ。バスーン監獄を制圧し議員を救出すること、薔薇騎士団を救出すること、そしてこの基地の防衛だ」
「作戦中に基地が手薄になると、敵は読むだろう。襲撃を考慮して、こちらにも防衛戦力を残すことになる」
「まず、バスーン監獄制圧についてだ。こちらは、輸送機と高機動型エグザマクスが中心となる」
「薔薇騎士団救出に関しては、ピニャ・コ・ラーダ嬢と、皇子ゾルザルに囚われていた女性たちの情報提供のもと、帝都での戦闘となる。現地にいるラーテル隊と協力して、団員を救出する」
「各員、それぞれの任務を全うせよ!」
『『『『了解!!』』』』
隊員たちは起立し、一斉に敬礼した。
大規模作戦開始のサイレンが鳴ると、基地内は慌ただしくなった。医師たちは、元難民の住人たちに避難区域への避難を呼び掛け、整備場はエグザマクスのパーツ換装のために重機を動かす。滑走路では大型人員輸送機がプロペラを回し、防衛任務に当てられた歩兵は配置につく。
そんな中、第3調査班は薔薇騎士団救出の任務に当てられた。バイスたちは武器を整え、装甲車に乗り込む。
「しかし、お前たちも来るなんてな」
車に乗り込んだのは、バイス、アルバート、エミリー、レレイにテュカにロゥリィ、そしてウサギ耳の女性テューレだった。
「敵は弓矢を使ってくる兵士もいるはず。弓矢は鎧姿ではないバイスたちには危険。だけど私やテュカが風の魔法を使えば、その矢を風で落とせる」
「それに、私は眠りの魔法も使えるよ。静かにさせないといけない時なんかに役立つんじゃないかな?」
「うふふ、一度帝国にはお邪魔しないとねぇ。聞きたいこともあるしぃ」
そして、テューレはナイフを握りしめる。
「私は……帝国が、ゾルザルが憎い。私は復讐としてゾルザルを討つ」
(クスクス……。エムロイは否定しないわぁ。復讐として戦うのも、ありよねぇ)
復讐の心を隠さないテューレに、ロゥリィは微笑んでいた。
こうして、大規模作戦が始まったのである。
読んでいただき、ありがとうございました。次回はバスーン監獄制圧作戦です。それでは、次回もお待ちください。