GATE 量産機よ、異世界でも立ち上がれ   作:G大佐

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今回は戦闘前のお話です。


アルヌス防衛戦(前)

 薄闇の広間と呼ばれる議事堂にて、一人の貴族が、皇帝モルトに対して糾弾していた。

 

「陛下! 此度の異界への侵攻において、進軍していった兵士たちが皆帰ってこなくなりました! この責任をどう取るおつもりですか!」

 

 貴族の一人、カーゼル侯爵が叫ぶ。他の貴族の視線もある中、皇帝モルトは余裕の態度を見せていた。

 

「確かに、我が帝国の勇敢なる兵士たちが、『門』へと攻め行り戻ってこないという悲しみは、私にも察する事が出来る。だが、カーゼル侯よ。今解決すべきは、アルヌスに陣取る異界の者たちではないかな? まさか、裁判ごっこをするつもりではあるまい?」

(ぐっ、責任をはぐらかすつもりか……!)

 

 すると議事堂が騒がしくなる。

 

「確かに、敵は『門』を通り、アルヌスの丘に留まっている。この世界へやって来たばかりか、アルヌスに巨大な壁まで建ておった!」

「だが、どうやって敵を倒す? 向こうには魔導師がいるかもしれんのだぞ」

 

 戦場に出た者は、相手がどのようにして自分達に攻撃してきたのかを思い出す。

 

「パパパという音が聞こえたと思ったら、味方がバタバタと倒れていくのだ! あんな魔術、聞いたことがない!」

「儂のところなんか、ヒューという音と共に人馬が吹き飛びおった! 投石器とは違うナニかを、あ奴らは持っている!」

 

 そこへポダワン伯爵を筆頭に、滅茶苦茶とも言える声をあげる。

 

「連中は、壕や壁に閉じこもってチマチマと攻めている! そんな臆病者に怯えては、我々こそが臆病者ではないか! 戦えば良い! 属国からも兵をかき集めて、連中の築いた壁を打ち崩し、そうした上で『門』の向こうへ攻めれば良いのだ!」

 

 当然、苦言を呈する者もいる。

 

「それが出来れば苦労などしない!」

「ゴダセンの二の舞になるぞ!」

「属国からも兵をかき集めると言うが、連中が素直に従うものか!」

「引っ込め戦馬鹿!」

 

 あわや乱闘寸前というところで、皇帝モルトが立ち上がる。再び厳粛な空間が戻る。

 

「私は、事態の悪化を見過ごすわけにはいかない。これ以上、聖なる地を土足で踏み荒らすようなことを許すわけにはいかぬ。ポダワン伯の意を採用し、我々は戦うこととする。

 そのためにも、属国・周辺諸国へ使節を派遣せよ。そして伝えよ。『異界の侵略者を迎え撃つために、連合諸王国軍を結成する』と」

「……陛下。アルヌスの丘は人馬の骸で埋まりましょうぞ」

 

 不敵な笑みを浮かべるモルトであったが、残されたカーゼルは嫌な予感がしていた。それが何に対しての予感なのか、知りもしなかったが。

 

 

 

 

 

 地球連合軍、アルヌス駐屯地。敵軍を退け補給を受けた彼らは、次の部隊と交代して、体力を回復させていた。

 

「しっかし、敵さんは数だけ多いな」

「だが、銃弾も防げないシールドだぜ? あれで構えて剣振り上げて突撃なんて、いつの時代の話だっつーの」

 

 先程の戦いは、連合軍の圧勝という形で終わった。あまりの圧倒的勝利に、一部兵士たちの気が緩みつつあった。しかし、一人の兵士が低い声で忠告した。

 

「……数が多いからこそ、恐ろしいのだ」

「っ! 隊長!」

 

 隊長と呼ばれた男は、過去のバイロン戦争においてバイロン兵として戦ってきた男だった。地球規模の大戦争を生き抜いた兵士たちは、たとえバイロン人だとしても、その腕を買われることが多いのである。

 

「過去の大戦において、私はジャングル地帯を進んでいた。そのエリアは偵察によりアルトが少ないと報告を受けたため、制圧は簡単と判断していた。

 だが、それが誤りだったのだ。私のいた部隊は、エグザマクスの少なさを補う以上の、大量のロイロイに囲まれたのだ」

 

 ロイロイとは、エグザマクスを支援するために開発された小型メカである。人工知能が搭載されている無人機タイプが多いが、人間の手で操縦する遠隔操作タイプ、人が乗り込む有人型も開発されている。

 

「自爆プログラムが組み込まれていたのか、ロイロイは仲間に張り付いたかと思うと爆発して道連れにした。接近を許すわけにはいかないとマシンガンを撃つが、それで無駄に弾を消費する。結局、増援が来るまで、弾切れの恐怖と戦う羽目になったよ」

「そ、それが、数が多いからこそ恐ろしいという意味ですか?」

 

 隊長の言葉の重さに気付いた兵士たちは、気を引き締めた。もし自分達が、敵の軍勢の波に呑まれたら……。想像したくないことを想像してしまったのだ。

 

「それだけじゃない。N国の機動隊の中には、曲射による矢の攻撃で負傷したものがいる。古い兵器だからと侮るな!」

『『『Yes,sir!』』』

 

 兵士たちが敬礼すると、駐屯地内に警報が鳴り響く。

 

《敵軍の進行を確認! 敵七分、地面三分! 敵7に地面3だ!》

「お前ら! いつでも増援に迎えるように待機しておけ!」

『『『了解!』』』

 

 兵士たちは、持ち場につくために走り出した。

 




読んでいただき、ありがとうございました。アンケートは15時に締め切ります。
次回、いよいよ戦闘です。
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