GATE 量産機よ、異世界でも立ち上がれ   作:G大佐

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今回のお話は、かなり個人的な解釈が含まれてます。ご了承下さい。


終戦、異常、そして閉鎖

 玉座に腰かける男、皇帝モルト。彼は外から聞こえる爆音や兵士たちの断末魔を聞き続けていた。

 そして先ほど、側近からゾルザルの死亡が伝えられた。モルトは目をつむりため息をつく。

 

「…………見立てが甘かったか」

 

 そして、とうとう連合軍兵士たちが謁見の間に雪崩れ込む。近衛兵たちがモルトを守るように立ちはだかるが、それをモルト自身が制した。

 

「……良い。我々の敗北だ。残っている兵士たちに伝えよ。この戦い、我ら帝国の敗北である。武器を納め、連合軍に投降せよ。これは皇帝命令である」

 

 近衛兵たちは最初こそ戸惑ったが、皇帝の命令と言われれば逆らえず、剣も盾も床に置き、投降した。

 

 

 

 

 

 アルヌス駐屯地司令部。そこも静まり返っていた。

 

「……先ほど、皇帝モルトが投降した」

 

 司令部内がざわめく。ピニャと、救出され彼女との再会を果たしたボーゼス達、そしてバスーン監獄から救出された講和派議員たちも、目を見開き驚いていた。

 

「本部に皇帝モルトの投降を伝えろ。駐屯地内の避難命令は解除し、エグザマクス隊は死体の片付けだ」

 

 命令を受けた幹部や兵士達が動き回るなか、ピニャは静かに思う。

 

(……これで、帝国の栄華は終わった。だが民は生きている。新しい時代の始まりだ)

 

 

 

 

 

 一方地球では、重大な問題が発生していた。

 

「何!? 世界が崩壊するだと!?」

 

 地球連合軍本部にて集まった各国の首相たちが驚く。彼らに意見を出したのは、特地と地球を繋いでいる『異界門』の影響を調べていた専門家たちである。彼らはバイロン戦争にて使われていた『空間転移門』の研究データを元に調べた結果、ある結論へ辿り着いたのである。

 

「はい。『異界門』は、文字通りこちらとは異なる世界を繋げている門。ですが、それが開き続けていると、非常に危険な影響が出ている事が判明しました。

 最初の異変は、特地にて発生した地震です。本来ならば地震が起きにくい帝都での地震が発生した時、僅かにながら『異界門』が設置されているN国でも、震度1~2程度の地震が発生していました。

 その後、こちらの世界では各地で、害虫の異常発生、干ばつ、急な高潮などが立て続けに発生しています。それこそが『異界門』の影響なのです」

 

 特地派遣隊が帝国との戦いにあった中、地球では異常気象などが発生し問題となっていた。専門家は水を一口飲むと、説明を続けた。

 

「私たち研究チームは疑問に思いました。バイロン戦争時にも、『空間転移門』が使われていました。なぜ『異界門』が出来てから異常が起こるようになったのか。

 そして我々は結論づけました。()()()()()()()()()()()()()()()()()()のです!」

 

 首相たちは再びざわめく。異なる宇宙など、突拍子すぎて一瞬何を言っているのか分からなかったからだ。

 

「皆さんも、パラレルワールドや平行世界、マルチバースといった言葉を聞いたことがあるでしょう。

 『空間転移門』は、我々の宇宙の中にある『惑星バイロン』から地球へ繋げてワープしてきました。例えるならば、巨大な風船の中で右から左へ移動したようなものです。

 ですが『異界門』は違います。我々の宇宙と特地の宇宙は異なっている。同じように例えるならば、2つの風船を無理やり押し付けあってるようなものなのです」

「特地が異なる宇宙だという根拠はあるのかね?」

「あります。太陽の運行や、星座の見え方、季節の周期などを元に計算した結果、『水が液体として存在できる星でありながら、我々の地球と異なっている』と言うことが判明したのです」

 

 一同は沈黙する。だが、一人の首相が尋ねた。

 

「……先ほど君は、異なる宇宙と我々の宇宙は無理やり押し付けあっているようなものと言った。つまり、それはいつか破裂するかもしれない……そう言うことかね?」

「はい。もしそうなれば、どのような被害で出るのか……全く予想がつかないのです」

「嘘だとも本当だとも分からない……。だが現に、異常気象などは続いている」

「それだけではないぞ。医療専門家からは、『異界門』を解放し続けることで、特地だけの病原菌が入ってくるのではと危険視している。SNSでも、一般人たちが『異界門』の与える影響について考察し始めている」

「……『異界門』を閉じろ、と言うことか」

 

 首相たちは、慎重に協議を続けた。

 

 

 

 

 

 闇の中にある1つの魂。彼女は、事の顛末を常に見続けていた。そして、決めた。

 

『うーん、もう門は閉じちゃおうかしら。戦記物は好きじゃないのよね』

 

 冥府の神ハーディは、連合軍と帝国との戦争を見て、つまらなそうに呟いた。彼女にとっての暇潰し。異界の者が見せる英雄物語を期待していたのだが、彼女にとって今回の物語は『実につまらないもの』であった。最初は炎龍を倒したから期待したものの、後は淡々と戦争に発展していった。

 彼女の求める物は、英雄あり恋愛ありの物語である。期待させておいて最悪なオチを見せられた気分だ。

 人から見れば自分勝手なと思われるような行為であるが、ハーディは冥府の神。人間の価値観は通用しないのである。

 

『それじゃあ、とっとと異界の兵士さんたちにはご退場してもーらおっと』

 

 そして、自身の使徒を呼び、己の言葉を伝えるように命じるのだった。

 




読んでいただき、ありがとうございました。次回はいよいよ、最終回です。
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