GATE 量産機よ、異世界でも立ち上がれ   作:G大佐

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今回で、この小説は完結となります。お気に入り登録・感想・評価をしてくださった皆様、本当にありがとうございました。台詞なしの後日談のような形ですが、どうかご覧下さい。


終わりの凱旋(最終話)

 地球連合軍が帝国と戦後交渉を行おうとする寸前に、それは現れた。

 突如アルヌス駐屯地にやって来た女性、その名はジゼル。彼女は冥府神ハーディの使徒と名乗り、今回の『異界門』について話があると言ってきた。そして語られたのは、『異界門』を創ったのはハーディであること、異なる世界を無理やり繋げているためにお互いの世界で異常が発生すること、よって『異界門』を閉鎖することを奨めていると言う内容であった。

 あまりにも突然で、そして身勝手な振る舞いに連合軍は辟易としたが、その言葉を地球連合軍本部に伝えた。

 既に地球でも異常が発生しており、『異界門』を閉じるか否か迷っていた各国首相は、全員が閉鎖することを決定。そしてマスコミは、帝国と連合軍との戦争が終わったことと、それに伴って捕虜の返還と『異界門』の閉鎖を行うことを報じた。

 

 

 

 

 

 そして、アルヌス駐屯地にて終戦の調印が行われた。

 特地の言葉で書かれた紙には、先の襲撃と今回の戦いで亡くなった者たちの遺族への謝罪と、地球連合軍に賠償金2千万スワニ金貨の支払いが書かれていた。

 それに対して地球連合軍は、地球で捕虜となっている帝国兵の返還と、アルヌスだけでなく特地全土から全軍を撤収することで調印が結ばれた。

 駐屯地内の調印場にだけマスコミが入ることが許されており、各国のカメラがその様子を写している。もちろん生放送であるため、地球の一般人たちはテレビに食いついていた。

 そして、皇帝モルトが地球の遺族に対して謝罪と頭を下げたことで、戦争の終わりを確信させたのである。

 後に帝国でも終戦が宣言され、地球連合軍の撤収が知らされた国民は、侵略されることが無くなったことによる安堵のため息を漏らしたのであった。

 

 

 

 

 

 連合軍撤収後の、特地の主な人物たちについて、その後どうなったのか此処に記す。

 

 ピニャ・コ・ラーダは、終戦後にモルトが皇帝の引退を宣言。新しくディアボが皇帝となり、彼女はその補佐をすることになった。主戦派議員は殆ど議会での立場を失い、代わりとして講和派議員が中心となる。ピニャはそんな彼らを先導する役目を担った。

 彼女が実際に地球連合軍の基地にて目にした物は、書籍にて詳しく語られ、連合軍は国籍・人種を問わずに戦っていた事、テューレ等から聞いた亜人差別の現実を書き連ねた。

 後に彼女は、亜人差別撤廃の政策を提案。彼女が老いるまで完全な撤廃は成されなかったが、歴史書にて『帝国の運命を変えた皇女』『亜人を救おうと手を差し伸べた者』として語られることになる。

 そして、彼女の率いる薔薇騎士団は、女性が多く編成されたことから、女性の立場改善のきっかけとなった。ありもしない罪を擦り付けられ拘束されそうになっても抵抗したことは劇の台本となり、多くの者に勇気を与えるものとなった。今もなお彼女たちは尊敬される立場となっている。

 

 レレイ・ラ・レレーナは、自分が経験した地震を切っ掛けに、魔法と同時進行で地質学を学び始める。そして地震について研究し、それが与える影響や二次災害を民たちに分かりやすく説明した。彼女亡き後、至るところで耐震性のある建物が建てられるようになる。

 彼女の革新的な論文は、今までの考えを守り抜く保守派との争いのきっかけとなった。彼女を始めとする革新派と保守派の論争は、歴史書では書き足りず、一冊の偉人伝にて語られることとなる。

 

 テュカ・マルソーはコダ村の難民たちと共に、かつて地球連合軍の駐屯地があったアルヌスにて生活した。後述するテューレと共に、『多種族都市 アルヌス』を作り上げ、国を失い各地を彷徨う亜人たちに住む場所を与えた。当然、その存在を良く思わない者たちから集落が襲われることもあったが、彼女の弓はそれをことごとく撃退し、民から尊敬されるようになる。

 

 テューレは、行き場を失った者たちが生きていける場所を目指すとして、アルヌスに都市を作ることを宣言した。かつてゾルザルに奴隷として捕らえられていた者たちや、コダ村の難民などが賛同の声を上げた。

 彼女の事を裏切り者として見ていた生き残りたちは、最初は彼女を殺そうとして動いていた。しかし憎きゾルザルを殺したのはテューレであること、再び農耕が出来ること等からゆっくりと彼女を認めていった。

 

 ロゥリィ・マーキュリーは、今回のハーディの振る舞いに激怒した。戦う者に敬意を払うロゥリィにとって、同盟国の為に戦っていた地球連合軍や、復讐を果たすために勇敢に立ち向かったテューレなどに強く敬意を払っていた。それを要らないから帰れと言うように突き放したハーディに酷く失望し、明確な拒絶の意を示した。

 それでもなおハーディはしつこく食い下がったが、ロゥリィの仕える戦いの神エムロイからも手を引くように言われ、ハーディはガチ泣きしながら引き下がったと言う。

 ロゥリィはその後も各地を回り、勇敢と無謀の違い、戦いで生き残ることは恥ではない事などを教えて回った。

 放浪とする彼女であったが、アルヌスには時々足を運び、テュカやテューレ、ピニャやレレイ達とお茶会をすることがあったと言う。

 

 そして、地球連合軍は―――

 

 

 

 

 

 『異界門』を潜り抜け、特地から地球へと帰還した兵士たち。彼らの帰還を、民たちは讃えた。

 その巨大な鋼鉄の足をゆっくりと動かし、歩み始めるエグザマクス達。エグザビークル・タンクは履帯をキュラキュラと進ませる。

 一部、花で飾り付けられた輸送用トラックがある。トラックの上には部隊の小隊長が立ち、今回の戦いで戦死した者たちの遺影を持ち、市民たちに敬礼した。

 ある兵士は、歓声を上げる市民たちの中から己の家族を見つけた。それが帰還できたことを実感させ、涙を流しながら帽子を手に取り、家族に向けて大きく手を振った。

 

 だが、彼らにはまだ戦いがある。地球内に残るバイロン軍残党、地球連合軍に加盟せず独自で軍備拡張を進める国家など、彼らには敵がいるのだ。

 

 彼らは戦い続ける。エグザマクスと共に―――。

 

 

―完―




最後の連合軍の帰還シーンは、個人的には『レッドショルダーマーチ』をBGMとして勧めたいです。

さて、これにて『GATE 量産機よ、異世界でも立ち上がれ』は完結となります。30MINUTES MISSIONSとのクロスオーバーは初めてでしたが、何とか最終話を迎える事が出来ました。読んでいただき、本当にありがとうございました!
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