ドクターズ・プロファイル   作:日名内 修

6 / 17
ヤトウ -花をたむける-

「おぅ、新人。もう遺書は書いたか?」

 

 昼下がりの食堂で、サングラスをかけた強面の男が山盛りのナポリタンをかっ食らっている。その対面に座るのは、まだ若き日のヤトウだった。

 

「遺書、ですか? なんでまたそんなものを。」

「おいおい、新人研修で習わなかったのか。ロドスのオペレーターの古き“悪習”だぞ。必修科目だろう。」

「はぁ。」

 

 本来ならば、食事を共にできるような人物ではないことは百も承知であるのだが、男のフランクな態度に流されて、ヤトウは少し不躾な態度で相づちを打つ。300人も収容できる食堂の一角。喧噪にも似た活気溢れる光景はセピア色に薄れているが、そのやりとりだけは忘れることはなかった。

 

「事故、戦闘、鉱石病……。ロドスの行動隊員は10年も続けられたら大ベテランで、いつ死ぬか分からない。僻地で死んだらタグも回収される可能性もない。だから、ほとんどのオペレーターは初任務の拝命と同時に遺書を残す。」

「……そうなんですか。」

「そうだ。だが、今まで遺言を考えていないとは、見込みがある新人だな。」

 

 男はサングラスの奥の目尻を下げて笑い、まだロドスのオペレーターの制服が馴染みきっていないヤトウに向かって言う。ヤトウは対応に困って、眉に少しだけシワを寄せた。この男とはたまたま相席になっただけで、特段、親睦が深いわけではない。それに、ヤトウは自分が愛想の良いタイプではないことを自覚していた。

 

「……遺言を残すべきなのか、残さない方がいいのか、どっちなんですか。」

「何も残せなかったら、最初からここにいなかったも同然。そんなのはあまりも虚しいって考えなら、いますぐ遺書を書いとくべきだろうな。」

「忠告ありがとうございます。私はただでさえ、存在感がないでしょうし。」

「お前なぁ、そういうところだぞ。新人のなかで若干浮いているのは……だが、そうだな。見込みはありそうだ。」

 

 あっという間にナポリタンを食べきった男は、グラスに入った水を喉を鳴らして飲み干し、ヤトウを真っ直ぐ見た。

 そのあとに、二言、三言何かを言うのだが、ヤトウにはそれが聞き取れず思い出せない。そうこうしているうちに男の姿が霞み始めた。

 

――Aceさん!

 

 ヤトウは叫ぶが、それでもは何かをしゃべり続ける男の姿は霧散していく。

 その姿が消えたと同時に、視界が真っ赤に染まる。こだまする悲鳴と雄叫び、頭が痛くなるほどの耳鳴りのなかでヤトウはあの日の言葉を必死に思いだそうとしていた。

 

 

Yatou(ヤトウ)―花をたむける―

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 腹部の鈍い痛みで目を覚ました。

 真っ白な病室の真ん中。ベッドの四方を囲んだ分厚いビニールカーテンの向こうには、何台もの医療機器がずらりと並んでいて、ヤトウの体中から伸びた管が繋がっていた。

 

――天国では、なさそうだな。

 

 薄い青色の患者衣の裾を少しめくると、余すことなく巻かれた包帯が目に入る。所々、血が滲んでいる。

 

「……おはよう。よく眠れたか、オペレーター・ヤトウ。」

 

 枕元にあるスピーカーから緊張感のない声が響いた。ロドスの医療分野を支える柱の一人、ワルファリンだ。

 数年ぶりに聞いた懐かしい声に、オペレーターは小さく頷いて返した。

 

「妾の患者になるのは、3年と145日ぶりだな。鎖骨の半分まで刃が食い込んでいたが、あのときよりはマシな怪我だ」

「……私は、なぜここにいるんだ」

「覚えてないのか。輸送作戦中に賊の奇襲にあったのだ。幸い死人は出なかったが、物資はごっそり盗られたようだな。担当の指揮官が新人だったのが裏目に出たな。」

「チームのみんなは――」

「皆、軽症だ。心配するな。」

 

 ヤトウは、ほっと胸をなで下ろす。そんな彼女の様子を知ってか知らずか、ワルファリンは興奮気味に高笑いし始めた。

 

「それにしても、久しぶりの大手術で高ぶったぞ! 最近はドクターの性格(ひと)が変わったせいで、重傷者が減っていたからな。」

 

 ワルファリンは変人ではあるものの、ロドスでトップクラスの腕を持つ医者である。骨折程度の重症度では、彼女がアテンドされることはない。

 飄々としたワルファリンの態度からほとんど読み取れないが、恐らく自分は生きるか死ぬかの瀬戸際だったのだろう。

 ヤトウは包帯やギプスでガチガチに固められた右肩をチラリと見る。

 

「私はいつ現場に復帰できる?」

「そう急くな。最近は働き詰めだったのだろう、良い機会だからゆっくり休め」

「分かった。けれど、速やかに現場に復帰するための準備も必要なので。目処を教えてくれ。」

「……頑固者め。一体、誰に似たんだか。」

 

 ワルファリンはぼそり愚痴をこぼした後に短く「最低3カ月」と答えた。

 想像よりもずっと短い。さすがロドスの医療技術といったところだろうが、それでもヤトウの胸の奥には少しだけ影が差す。

 

「先生、もう少し早く治らないかな。」

「莫迦を言うな。あと、治療中は勝手な真似はするなよ。その部屋は24時間監視しているからな。妾の患者には誰にも手出しさせん。」

 

 そう言って、ワルファリンは一方的に通話を切った。

 しんと静まり返った病室で、ヤトウは一人きりになる。すぐに意識が遠のき始め、ヤトウはゆっくり目をつむる。すると体力はほとんど残っていないのだろうし、薬の影響もあるのかもしれない。

 

――何も残せなかったら、最初からいなかったのも同然。

 

 ふいに、また、あの日の走馬灯がよみがえる。ヤトウは、ぼんやりと真っ白な天井に左手を伸ばした。

 

――私は、その「何か」を残せるのだろうか。

 

 ◆

 

 それから1カ月近く、「絶対安静」を命じられたヤトウはひたすらベッドの上で過ごしていた。ワルファリンが見舞い客の訪問も許さなかったため、暇つぶしの相手すらいない。

 なまっていく体に気ばかりが焦るが、麻酔が切れたらすぐに疼く右肩の鈍い痛みに堪え続けることしか、ヤトウにできることはなかった。

 

「担当の医療オペレーターが心配しているぞ。」

 

 ベッドの横に置いたパイプ椅子に足を組んで座り、カルテにガリガリと鉛筆で何かを書きながらワルファリンが口を開く。

 

「……なぜ?」

「一日中真っ暗な部屋で、微動だにしない患者がいれば誰だって心配するだろう。本くらい読んだらどうだ。」

「暗いと文字が読めない。私は、日光が苦手だから。」

「知っている。その特性は妾も同じだ。だがなぁ、医者の立場から言わせてもらうが、短時間でも窓を開けていた方が、傷の治りも早まるぞ。」

 

 病室に唯一ある窓をペンの先で指して、ワルファリンは言う。

 

「人は暗がりの中に居続けるとやがて腐る。体ではなく、精神がな。」

「……わかった。」

 

 気にしないふりをしても、なぜかワルファリンの言葉は胸の奥に残っていた。きっとそのせいなのだろう。ヤトウはその夜、悪夢を見た。

 

 ◆

 

 パラパラと窓を打つ雨音が聞こえる。日中は耳障りな医療機器の電子音は止まり、辺りは静まり返っていた。

 ベッドに背を預け、ヤトウは室内より幾分か明るい暗闇が映える窓の外をぼんやりと眺めていた。

 その時だった。

 背後から悪寒をともなう視線を感じ、ヤトウは素早く振り返たのだ。

 

――なにか、いる。

 

 部屋の四隅の一番奥。病室の中で最も闇が色濃いその場所に、誰かが立っていた。無意識のうちにヤトウは腰に手をやるが、当然、愛刀はそこにはない。ロドスの艦内は基本的に武器携帯は禁止だ。

 固まったまま、ヤトウは暗闇を睨みつけた。

 

――誰だ。

 

 レユニオンの刺客ではないだろう。ドクターやエリートオペレーターはまだしも、下っ端のヤトウを狙う意味はない。そもそも、長引く闘争のなかでもレユニオンの暗殺者がロドス内に潜んでいた事例はない。

 では、一体何者だ? 幾重にもセキュリティが敷かれた医療棟に侵入し、傷心している怪我人の寝顔を眺め続ける悪趣味な奴は。

 夜目に慣れたヤトウはその人物の輪郭を捉え、はっと息を飲んだ。

 

「Aceさん……?」

 

 ひげ面も無骨な肢体も見えるわけではない。ただ、なんとなくそう思った。

 

「遺書は、書いたか?」

 

 ヤトウの背筋に悪寒が走る。何十人の声が重なったような、不鮮明で不気味な声。だが、その台詞かつてAceが問いかけたそれである。

 人影からいくつもの手が伸び、固まるヤトウに迫る。そのすべてにぐしゃぐしゃの紙が握られていた。

 

「俺たちの遺書を、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書、遺書」

「……やめてくれ!」

 

 伸びる影に見知った顔があることに気付き、ヤトウは頭を抱えて叫んだ。鉱石病や事故、そしてチェルノボーグでのドクター奪還作戦。原因は様々だが、彼らはみんな死んでいる。先に逝ってしまった仲間ばかりだ。

 これは悪い夢。弱った心が見せるまやかしだ。理解しているつもりでも、その恐怖にヤトウはただ身を屈めることしかできなかった。

 目を閉じ続けて、どのくらい経ったのだろう。幻聴が消えて、ヤトウが目を開けると、窓の外にはもう朝がやってきていた。

 それからの行動はすべて衝動だった。ヤトウは点滴の針を乱暴に引き抜き、ふらつきながらドアを縋るように開く。そしてそのまま、走り出した。きっと今ごろ、ワルファリンの執務室では警報が鳴り響いているのだろう。捕まる前にたどり着かなくてはならない。目的地は一つ――ロドスの“墓所”である。

 

 ◆

 

 ロドスの墓は、船底にある。重苦しい鉄製のドアを開き、ヤトウは中に転がり込む。だだっ広いが窓はほとんどなく、薄暗い空間に幾筋の光の柱が差し込んでいる程度だ。

 その最奥にある奇妙な墓標が、ヤトウがどうしても見たかったものだった。ヴィクトリア式の十字架や、極東式の仏壇、炎国式の甲羅のような形の墓石などが乱雑に並べてある。人種の坩堝(るつぼ)らしいロドスの墓の前には、各国の供物が供えられていた。

 急に動かしてしまったからだろう。ズキズキと痛み始めた右肩を庇いながら、ヤトウは墓の前に立ちうなだれる。

 

――私は、忘れていたんだ。

 

 切磋琢磨した同僚や指導してもらった先輩、教育係として面倒を見た後輩のことも。死んでしまったから、忘れてしまっていた。

 今は、自分が死にかけたから思い出しただけ。

 

――最初からいなかったのも同然だ。

 

 初めて、あの時Aceが言った言葉を理解できた気がした。自分は『何か』を持てない人間だ。いずれ風化してこの世から消え去る人間なのだ。

 

「私がもっと強ければ、こんなにも怯えなくてよかったんだろうか。」

 

 例えば、Aceや最近、話題沸騰中のブレイズのようなエリートオペレーターであれば、きっと誰かが語り継いでくれるだろう。何度もロドスの危機を救えば、きっと「何か」が残るはず。忘れられる可能性はほとんどないはずだ。

 

「私はきっと、遺書を書かないとダメなんだろうな……。」

 

 ヤトウは震える左手を眺め、自嘲するように笑った。きっとあの幻覚は、グズグズしている自分への警告だったのだろう。ただの一般オペレーターなんて、誰も覚えてくれなどしない。

 

「物騒な独り言だな、ヤトウ。」

 

 ふいにひどく冷静な男の声が聞こえ、ヤトウは驚いてその方向を向いた。墓所の薄闇よりも暗いフードを被った男が木製のベンチに腰掛けている。

 

「……ドクター?」

 

 ヤトウの問いかけに、ドクターは小さく手を挙げて返事をした。

 

 ◆

 

 ドクターに促されるまま、ヤトウは彼の隣に腰掛けてしばらく黙って前方の暗闇を眺めていた。

 

「ドクターはいつからここに?」

「ヤトウが飛び込んでくる少し前かな。」

「……すぐに声をかけてくれたらよかったのに。」

「すまないね。驚いていたから、タイミングを失ってしまって。」

 

 ドクターの笑い声が、がらんとした墓所に響く。いつもは感情の抑揚がないヤトウにしては、不満げな声が面白かったのだろう。

 

「治療の経過は順調かい?」

「……えぇ。」

「それにしては顔色が悪いし、縁起でもないことを口走っていたようだが。」

 

 恐らく、ドクターはヤトウが病室を抜け出したことを知らないのだろう。独り言を聞かれた今の状況のなかで、それが唯一の救いだった。

 

「いえ、大丈夫です。それよりも、どうしてドクターはここに?」

「イグゼキュターが仕掛けた地雷をミーボが踏み抜いてしまってね。書類の山が吹き飛んだから、こうして現実逃避していたところだ。」

 

 ドクターの執務室がロドスでトップクラスの危険地帯だというのは、どうやら本当らしい。

 

「この時間帯の、この場所なら誰にも邪魔せず逃げ込めると思ったんだよ。だが、墓所を借りるのに手ぶらではあまりも不謹慎だろう?」

 

 そう言って、ドクターはどこからともなく二輪の花をヤトウに差し出した。ヤトウは少し迷い、そのうちの1つを手に取る。

 色の薄い青色の花だった。

 ドクターは立ち上がり、残った一輪を静かにたむけた。ヤトウもそれに倣って、ドクターの横に立つ。

 

「本当は花束が良いんだろうけどなぁ。」

「ドクターは、誰に花をたむけたんですか?」

 

 頭を掻くドクターに、ヤトウは問いかける。

 ヤトウが知る限り、ドクターがロドスに復帰してから作戦で死者は出ていない。記憶が一切戻ってないことを考えると、ドクターが想う誰かがいるのか気になったのだ。

 

「特に考えてなかったな。ヤトウは、その花を誰にたむけるんだい?」

「それは――」

 

 言いかけて、口を閉じる。一瞬、先に逝った仲間の顔が脳裏をよぎる。

 

「――分からない。たむけないといけない人が多すぎる。」

「……そうか。それは、幸せだな。」

 

 ドクターは前に向き直って言った。

 

「幸せ?」

「ああ、優劣付けがたいほど、たくさんの人との記憶があるんだろう」

「でも、私は普段は全然、その人たちのことを覚えてはいない。だから――」

「私たちは今を生きているから、常に死者との記憶を抱え続けることは不可能だろう。どんな偉業を為した英雄でも、それは一緒じゃないかな。」

 

 けどね、ヤトウ。とドクターは、真っ直ぐに墓を見つめながら言う。

 

「溢れる供物を見れば分かるだろう。君が彼らを忘れている間も、誰かがこうして同じように思いを馳せている。その繰り返しで、彼らは誰かの記憶に生き続けている……私は、そう思いたいんだ。」

「けれど、私のためにここに来る人は、ほとんどいないと思う。だから、記憶じゃなくてモノを残した方が良いんじゃないか。」

「ははっ。それはないだろう。」

 

 しんみりといったヤトウに対し、ドクターは予想外に笑ってみせた。

 

「私が言うのもなんだが、生きていれば誰かが思い出してくれるものだろう。ヤトウ、君のような人は特にね。」

 

 ヤトウが難しい顔をするとドクターは面白そうにもう一度笑って、怪我をしていない方の肩を叩く。

 

「あと3分後にもそう思っているのであれば、ぜひ遺書を私に預けてくれ。大切に保管しておくから。」

 

 そう言ってドクターは一度、ぐっと背を伸ばして踵をかえし、「しっかり休んでくれ」とひらひらと手を振りながら墓所から出て行った。

 

 ◆

 

 一人残されたヤトウは、戸惑ったように一輪の花を見つめる。

 そして、ドクターがたむけた花の横にそっと置く。極東式の参り方で、両手を合わせる。意識するわけでもなく、自然と亡くなった人たちの在りし日の姿が脳裏をよぎっていく。

 

 その時だった。

 

「本当にいたー! ヤトウ!」

 

 早朝に少々大きすぎる声が、ガンガンと墓所にこだました。振り返ると同時に腰当たりにドスンと金髪の頭がぶつかってきた。

 

「なにしてんのー、こんなところで! 心配したんだからー。」

「ドゥリン、レンジャー……ノイルホーンも。」

「一体、どうしたの?」

「どうしたのじゃねーだろ。飛び出したって聞いて探し回っていたんだぞ。ドクターからヤトウが墓所にいるってメールが来たから、急いできたんだよ。」

「……そう。」

「『……そう』じゃなーい! どれだけ心配したと思ってるの。」

 

 珍しく取り乱し気味で、ぎゅっと腰に抱きつくドゥリンを見てヤトウは「ごめん」と小さく謝った。大げさにため息をはくノイルホーンと、なぜか少し微笑むレンジャーの様子に、胸が少しだけ苦しくなる。

 

――あぁ、そうか。そういうことか。

 

 自分を無価値だと卑下するのは簡単だ。けれど、こうして自分を心配して、寝間着のまま走り回ってくれた人がいる。残さなければならない『何か』は、実績だとか、知名度ではない。きっと、ロドスの人たちと歩んだ日々そのものだ。意識しなくても誰かのなかに、轍(わだち)は残る。けれど、そんな人たちの思いに気付かずに逝くのが、本当に恐ろしいことなのかもしれない。

 

「ごめん、みんな……ありがとう。」

 

 そう言って、ドゥリンをぎゅっと抱きしめたとき、さらに賑やかな声が墓所の入り口から響いた。

 

「ヤトウ! ようやく見つけたぞ! よくも妾の病室から抜け出してくれたな!」

「ちょっとワルファリン先生、落ち着いて! 墓所で大声はまずいですよ!」

「くれぐれもアーツをぶっ飛ばさないでくださいよ、ヤトウさんはけが人なんですから!」

 

 肩をいからせてドスドスと歩いてくるのはワルファリンだ。それをなだめるように、医療オペレーター数人もやってくる。それだけでは不十分だと判断されたのだろう。フェンやオーキッドもがっちりと脇を固めて、ヤトウに「なんとか穏便に」とアイコンタクトを送ってくる。

 

――多分、ドクターは知っていたんだろう。

 

 今度、お礼を言わなければならない。けれどその前に、この事態の収拾が急務だ。自分が蒔いたトラブルなのだから、自分でけじめをつけなければならない。

 ドゥリンから手を離し、近づいてくる喧噪に向き直る。

 

 

 

 その瞬間、思い出した。

 あの日、Aceは笑ってヤトウの肩を叩き、力強く笑ってこう言ったのだ。

 

――共に良い人生を送ろうじゃないか。オペレーター・ヤトウ。

 

 

 




久しぶりに投降させていただきました。
ヤトウさんは推しオペレータートップ3に入るくらい、大好きなオペレーターです。
人間味がなさそうでたっぷりなボイスが最高です。
6章になるとさすがに出番は減ってきてますが、基地でフル稼働で頑張ってくれるのでやっぱり大好きです。

またのんびりと投稿できたらと思うので、よければお付き合いくださいませ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。