Infinite COA 作:ドーリム
荒れ狂う荒野、鳴りやまない銃声
消えぬ事のない悲鳴、微かに匂う血とオイルが交わった匂いを感じた
普通の人がいれば気が狂いそうな場所。
そんな場所に"彼"はいた。
数十メートルの
そんな彼に無数の銃弾が降り注ぐ
だが、彼はそれを見ることなく、スラスターを一気に吹かし右へと避ける
同時に右手に握られた巨大なライフルで数百メートル先に標準を向け撃つ
放たれた銃弾は敵、ノーマルACにコックピットに直撃し貫通
ノーマルACは前へと倒れ、爆発する。
それを確認することなく、次の敵へと狙いを変える
前方には十機の戦車が見える。
彼らは目の前にいる敵を目掛けて砲弾を放たんとする。
それに気づいた彼は背部に装備しているミサイルポットを展開させる。
展開していた時には既に砲弾は放たれており、彼の乗るネクストACに向かって飛んでいた。
だが、彼はそれを避けることなく、受け止めようとした。
通常、どんな兵器でも戦車の砲弾を受けてしまえば機体が多少は損傷する。
さらに放たれた砲弾の数は十、当たり所が悪ければ大破する可能性がある。
しかし、彼は躱しもせず、敵に標準を向ける。
その時、戦車によって放たれた砲弾がネクストACへと直撃した。
吹きあがる砂煙、それは彼の乗っているネクストACを隠すほどだった。
消える砂煙、ソレが晴れた先にあったのは、緑のバリアを張ったネクストACだった。
ソレを纏ったネクストACは砲弾が直撃したはずなのに、無傷だった。
このバリアの名前は
コジマ粒子と呼ばれるネクストACの動力源を機体周辺に散布させる。
そして、それを安定的に還流させることで、慣性抑止フィールドとも呼べる力場を形成させる。
各種攻撃の速度や威力を減少させ、ダメージを軽減・無効化させる防御機構。
よって戦車等の旧兵器は
それに対して、ネクストACは大きなダメージを与えられる事が出来る。
故に例え1対100だとしてもネクストACが負けることありえないのだ。
よって、この戦いの結末は決まっている。
「くだらないな」
そう、彼が呟いた。
引き金を撃つたびに顔を歪ませながら
彼は考えていた。
この戦いに意味はあるのか、こんな茶番をする理由を
一方的とも言える戦い、これを戦争と言えるのだろうか
むしろ、違う、これは虐殺だ。
幾度もなく聞こえる助ける求める声、命乞いをする声
覚悟を決める声、狂った様に叫ぶ声、すすり泣く声
聞こえるはずのない、それが耳へと届く
それはネクストACと彼を繋ぐAMSによって外の音を拾っていた。
ネクストACは従来機と異なり、
これによってノーマルと異なり、ネクストは極めて高い反応速度と制御能力を得ることになった。
とはいえ、乗るならば誰でも良いわけではない。
脳に電気信号を流すという性質上、人体にかなりの負担を強いるものとなっている。
さらに、流し込まれた電気信号を情報として処理できるかのも個人の才能に依存する。
故に訓練などによる後天的な獲得は不可能だ。
よって、AMSの適性を有する者はリンクスたる資格を持つ、一種の天才として扱われる
故にネクストACに乗ってる彼はそういう事なのだろう。
それなりに高いAMS適正、それを企業が手放すはずがない
直ぐに契約に漕ぎつけるだろう。
例え、どんな手を使ってでも
「さぁ、終わらせよう」
そういい、目標に向かいスラスターを吹く
ネクストへと放たれる銃弾をすべて躱し、目標の敵へと銃弾を放つ
作戦開始から15分、たった一機の兵器で一国の部隊を全滅させた。
無機質なオペレーターの声を聞き流しながら、彼は目を瞑った。
「っ!」
その瞬間目を覚ます
彼の目に映るのは戦場ではなく、白い天井
聞こえるのは銃声などではなく、鳥の鳴き声
操縦桿を握りしめた感触は消え、その代わりに柔らかい布団を握っていた。
「夢か、しかもかなり懐かしい夢だ」
今と違い、地獄と言っても間違いではない。
出来れば忘れたい思い出だ。
とはいえ、アレがあったからこそ、今の彼があると言っても過言ではない
上半身を起こし、カーテンを開く
窓越しに見えるのは少し薄暗い蒼い空、木々の間に見える太陽の欠片だ。
「そうだったな、此処は"あの世界"じゃない
俺は戻って来たんだ」
あの世界では見なかった自然、鳥といった動物
その存在が、あの世界との違い
二度とあの世界には帰りたくない、そう思える程、この世界に順応していた。
いつもより早く起きてしまった彼は運動着に着替え、部屋から出ていた。
簡単にストレッチを行い、敷地内を走る。
走って10分くらいたった時だった。
彼の横から1人の女性が現れた
「おや、織斑先生、おはようございます」
「おはようございます、珍しいですね
貴男がこんな時間に走っているとは」
織斑と呼ばれた女性は意外そうに言う
彼女の名前は織斑千冬
彼の所属している"学校"の先輩教師である。
「いえ、少しお恥ずかしいのですが、悪い夢を見てしまって
それも二度と思い出したくない程の、ですので走って忘れようと」
嘘をつく必要がないため、正直に話した。
すると千冬は彼の想像以上に心配したのか、顔を覗いた。
千冬の鋭い吊り目が垂れていた。
予想以上に心配された事に気づいた彼は少し後悔しながら笑う
「大丈夫ですよ、"そこまで"の事ではないですので」
「そ、そうk…ですか」
思わずタメで話してしまった千冬
それを聞いた彼は小さく吹いていた
すると千冬は彼を睨み、不満そうにしていた
「織斑先生、今は学校ではありませんですし、タメでも構いませんよ」
「いや、ですが」
「俺はそちらの方が話しやすいんですけど、ダメ、ですか?」
「っ、わかっ、た。………ずるいな、お前は」
少し拗ねた様に一瞬、視線を外す
だが、直ぐに笑みを浮かべ、彼と友に朝のジョギングを行った。
ジョギングを終えた彼は部屋へと戻る
シャワーを浴びようとドラノブを開いた時だった。
誰もいないはずの部屋に一人の少女がいた。
少女は所謂裸エプロンと呼ばれる物で少女曰く、男性の夢と言う
だが、彼も既に5回目というのもあり慣れていた
とはいえ、彼女もからかおうとしているのか、毎回、エプロンの下に水着を着ていた。
「おかえりなさい、先生
シャワーにします?ご飯にします?
それとも、わ・た・し?」
猫なで声を出し、谷間を見せつける様に屈む水色髪の少女
そんな彼女の妖しげな言葉と態度に思わず苦笑いする彼
「ほら、楯無、生徒会長の仕事があるんだろう?、だから早く帰って………」
肩を叩いた時だった。
エプロンの紐がずれ落ち、片方がギリギリまでズリ落ちる
そこには前まであった水着の紐さえなかった。
「キャー、先生のエッチ」
業とらしい悲鳴を上げ両手で胸を隠した。
とはいえ、流石に恥ずかしいのか顔を少し赤くはしていた。
だが、彼がそれに気づくことはない
ついにやったか、コイツと言わんばかりの視線を楯無に送っていた。
1つ、ため息、そして右手を楯無の頭へと振り下ろした。
「いてっ」
「早く着替えろ
いい加減、織斑先生呼ぶぞ」
「うぐっ」
楯無の苦手な人物の千冬
彼女の名前を出すだけで楯無は渋々という形で着替えを始める
いじけた彼女はジト目で彼を見ながらつぶやく
「ヘタレ」
「……気持ちは嬉しいが、お前に手を出したら俺は終わりだからな」
「だったら、私が養うし」
「それは男として終わってるからな、却下だ」
「むぅ……」
頬を膨らませる楯無
それを見た彼はため息を吐くと同時に楯無の頭に手を置く
「楯無、お前が二十歳になった時、その気持ちが変わらなかったら貰ってやるよ」
「ふぇっ?」
「だから、早く学校の準備をしてこい」
面倒だったという理由もあり、楯無の背中を押し部屋から追い出す。
そして扉を閉じようとしたとき
「先生、約束、ですからね」
彼女のその表情が高校生びていない妖しい雰囲気を醸し出していた。
出勤時間となり、学校へと向かった彼
教師としての服装は基本的にスーツなのだが、養護教諭の為、上はワイシャツ、下はスーツ
そして上には白衣を羽織っている。
彼の周りには学園の生徒が登校しており、彼に向って挨拶をする者も少なくない
「センセー、おはよー!」
「先生、おはようございます!」
彼を囲むように女子生徒が集まる
容姿は良いので女子受けがいいのだろう。
普通ならば今の状況に慌てふためくだろう。
だが、彼は慌てる所か、それが当たり前だと言わんばかりに一人一人挨拶を返していた。
「おはよう、――さんと――さん」
無論、名前付きでだ。
それが彼の人気を表しているのだろう。
彼を嫌悪する人は少なからずいるが、学園全体から見れば良いと思う人の方が多いだろう。
「あぁ!ユー先生、おはよぉ!」
「おはよう、布仏さん、それに更識さん」
彼に抱き着く布仏本音、その後ろで苦笑いしている更識簪
抱き着いた本音はグリグリと顔を押し付ける様に降った。
それを見ていた簪は、流石にやり過ぎだ、と思ったのか本音を彼から剥がした。
「す、すいません、本音が……」
「いや、別に構わないよ。
でも、なんで君は抱き着いてくるのだろうな」
「ん~、なんか、懐かしい匂いがするから」
「…………」
ニヘヘともう一度、彼に抱き着こうとする本音。
そんな彼女を止める簪。
「痛いよ、かんちゃん……」
「ほら、本音、学校に行くよ
それじゃあ、先生、また………どうしたんですか?
難しい顔をして」
険しそうな、そして苦しそうな顔をする彼を一瞬見た、簪
気になったのか、見上げる様に顔を覗き込んだ。
「いや、なんでもないよ
気にしないで、今日の仕事、忙しい事に気づいただけだから」
「そ、そうなんですか。
ご、ごめんなさい、邪魔をしてしまって
それじゃあ、また」
そういい、本音を引きずる様に連れていく簪
引きずられた本音はダボダボな制服で彼に手を振りながら連れていかれた。
それを見た彼は苦笑いをし、1つため息を漏らした。
そして、歩みを始めた時だった。
背後から駆ける様な音が聞こえた。
何事かな、そう思った彼は振り返る
するとそこにいたのは男女の生徒だった。
「だから行ったじゃないか、箒、このままじゃあ、遅刻するって!]
[し、仕方がなかっただろ!一夏
あそこまでいい勝負をしたのだ、最後まで打ち合いたかったんだ!」
「だとしても……って、先生、おはようございます!」
「あ、おはようございます」
「おはよう、どうやら急いでる様子だね、織斑くん、篠ノ之さん」
「朝練で剣道をしてたんですけど、気が付いたらこんな時間で」
少し息を切らしながら説明する織斑一夏
その隣で一夏とは違い、息を切らさずにたつ箒
二人は所謂、幼馴染というもので高校で再開した。
そして幼馴染であり、剣道のライバルとなった。
こうやって走っているのも朝練が続いてしまったせいらしい・
相変わらずだと思わず苦笑いする彼
「だったら、尚更急がないとな
織斑先生にまた殴られちゃうぞ?」
「あ、そ、そうだった!行くぞ箒!」
「わかっている!」
「それじゃあ、ユーロ先生、また!」
「あぁ」
そういい、校舎に向かう二人
その姿を見た彼、ユーロは笑みを浮かべる
―――俺、いつか、兄さんを助けられる様に強くなるから!
―――私も兄さんには負けられないからな!
………だから
―――兄さん、絶対に俺の事
―――兄さん、絶対に私の事
忘れないでくれ
「あぁ、絶対に忘れないさ。お前たちは絶対に守り抜く
その為に俺は、この世界に戻った」
かつてこの世界の住人だった彼は戦いの世界に舞い堕ちた
足掻き泥水を啜りながらも生きていた。
そして、彼は戻ってきた。
もう一度、約束を果たすため、大切な者を守るため
「だから、降りかかる火の粉は払わねばな」
フォーレン=ユーロ
カラードナンバー41、
リンクス戦争を引き起こし、そして終結させた要因の1人である
そして相棒と共に20人中、17人のリンクスを倒した、まさしく鬼である。
そんな彼はIS学園で、大切な者たちを守るためにもう1度、銃を握った。
ちょっと厨二臭いのと文がおかしいのも目をつぶってください。
数年前のを少しだけ手を入れただけなので許してください