Fate/Grand Order 時空歪曲特異点 Re:CREATORS   作:色々し隊

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人生の振り返りは大切

  街の駅近にある最高級ホテル。聳え立つ全57階層の圧感の頂点で椅子に座りながら興にふける。アルコール度数低めの飲み物を片手に近い未来戦場になるであろう街を見下ろす。男は思考した。街の被害を

 火種は既に放たれた。

 

 後は木が熟すのを待つのみになった。休暇日は作った。戦場での拠点は予約した。周りの建物は一通り暗記し、段取りは完璧だ。後は“本来のルールを破って”契約した使い魔をどうするか?

 

 ソファーに座る自らが契約せし使い魔(サーヴァント)は浮かない顔を崩さない。無理もない、自分自身もよ〜く理解している。こちら側に飛ばされた最初の頃は色々と戸惑うのは当たり前だ。

 

 

   常識が非常識、非常識が常識

 

 

 今までの常識が音を立てて崩れる。魔術は無く、神秘もない。あるのはただの“現実”だけ……

 

 が、今は違う。だいぶ慣れた。資金も潤沢になり、魔術を知らない世間に魔術を広める事も叶った。やはり自分の持論は間違えてなどいないのだ。どのような犠牲を払おうと歩いていれば辿り着けるのだ。

 

 男は立ち上がりソファーまで歩くとサーヴァントの前で止まり右手に“刻んだ一画だけの令呪”を見せつける。

 

???

「我と契約せし使い魔(サーヴァント)よ。これは『令呪』ーーサーヴァントを…詰まるところ貴様を縛る絶対命令権を宿した代物だ。

 私が何故貴女にこの事を言うかわかるか?

 

 フェアではないからだ。君が何も知らないまま戦場へと駆り出され私がこの令呪を発動してしまえばきっと戸惑って隙を晒すことになる。君はそう言う人間だろ?だから予め伝えておく、余計な事をすれば私は躊躇無く令呪を行使する。是非肝に銘じておいて欲しい。」

 

 男の説明に腕を組んで俯くサーヴァントは疲れ切った声で意を唱える。

 

???

「ふん、虚言を… せいぜい上手く使って見せろ。たった一回の絶対命令権など、恐るに足らん。」

 

???

「そうか、なら精々頑張らせてもらうさ。

 

 私は君の目的に協力する。君は私に力を貸しこの戦争を駆け抜ける。

 

 ギブアンドテイクの関係を築こうじゃないか!」

 

 暗い部屋に半ば監禁されたサーヴァントの創造主を他所に二人は己の目的の為に活動を開始した。

 

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 ネットカフェでオルガは自分と境遇が似ている物語を見つけた。

 個室に篭り、コミックスに目を通す。シャープな線で描かれる物語は一見正統派アクション漫画かと見間違うほどだが実際は耐久1の主人公が死にまくりながらも無限コンテニューで冒険すると言ったギャグ調な物だった。

 

 何時間だろうか?睡魔に気付かないぐらいに熱読してしまっている自分がいる。こんなにも本の中は辛い事が多いのに、何故主人公は“笑って”いるのかと、疑問に思わずにはいられない。

 

 パラパラとページを捲ること数分、ヒロインが主人公に問う。

 

 

  何故貴方は死んでも尚笑い続けるの?

 

 

 ページを捲る手が止まる。この先を読んでしまえば自分の存在価値が決められる気がした。たとえそれが誰かに作られた物であってもこの気持ちだけは自分のモノだと、そう固く決意しページを捲った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 一方で、現地での調査に乗り出した立香率いるチームはメテオラとセレジアに現代風の格好をしてもらいなるべく正体がバレないようにしてもらっている。街に出ずともネット掲示板を使えば不思議な事件などは簡単に見つける事ができるのに何故、わざわざ外に出ているのかと言うと

 無論迅速に対応する為にある。ネット記事というものはどうしてもタイムラグが生じる。

 

 記事を作り→SMSに投稿→閲覧

 

 といった流れができてしまう。そこで立香が提案したのだ。「自分達が事件に遭遇できる確率が少しでもあるなら、外に出よう!」

 チームの頭脳であるメテオラは快諾した。確率が低いとしても、言い分としては正しい。がダ・ヴィンチちゃんやマシュは立香に対して苦笑と生暖かい視線を送っていた。

 

立香

「メテオラさん!魔術か何かで見つけられる?」

 

 立香の問いにメテオラは首を振った。

 このところ、街は表立って平穏そのものだった。休日だが、何も知らない市民達は仕事の為に外を歩き、子供は和気藹々と街を駆け抜ける。いつも通りと言えばいつも通りだ。

 

 しかし、通りががかる人に最近変な事がなかったのかと聞くと「いや、一昨日ぐらいだったかな〜 変な格好した女の人が男担いで叫んでたぞ。関わると碌な事なさそうだったからあまり触れたく無いけど」これまた耳寄り情報、十中八九外からの来訪者だ。メテオラに魔術結界を張ってもらう。不可解な動き、微細な異常を一同だけにわかるように知らせてくれる便利魔術!メテオラさん、マジ感謝!

 

セレジア

「にしても、メテオラってホント凄いのね〜

私の世界にも魔法はあったけど貴女みたいに一人であれだけの探知魔法を行使できる奴なんて居なかったのに」

 

メテオラに対する素直な感想を述べる。セレジアのいた世界で彼女ほど、日本列島規模の術式を展開できる術者など存在しなかった。それこそ、巨大な外的要因を用いた方法で無ければ実現しなかった事をメテオラは軽々とやってのける。感服するほか無い。住んでいた世界が違えど、彼女が《万里の探求者》と呼ばれた意味がわかる気がした。

 

メテオラ

「私に出来ることはこれぐらい。ならばこそ全力を出すしかない。

 この国規模では反応が多い……しかしこれは………?

 いや、とりあえず術式の範囲をこの街に絞り警戒する。セレジアは反応があれば向かって欲しい。」

 

 「OKよ!」と元気にグーサインをだす。今のセレジアは『フォーゲルシュバリエ』という自身の一番の愛機を持ち合わせていない。

 故に彼女の単純な強さは下の上ぐらいだろう。しかし足りない箇所は経験でカバーできるとメテオラは確信している。

 

立香

「ん? あっ、あれは!?」

 

 びっくり仰天、立香の指の先にはちっちゃな子供達に囲まれながら歩く可愛らしい少女がいた。桃色の髪をなびかせながら手を伸ばす子供達も無碍にせずに相手をしてやっている。

 子供達は皆んな「まみか!」「まみかだ!」「マジカル・スプラッシュ・フレア出して〜!」などと思い思いのことを喋っている。 

 

 見間違えるはずはない。こちらに来て行動するまでの数日のうちにTSUTAYAで大量に借り、書店で購入した数々の雑誌を読み漁る中で立香側で言うところの日曜朝にやっているであろう俗に言う朝八時半にやっている番組(ニチアサ枠)にその子はいた。

 

 《マジカルスレイヤー 煌樹まみか》

 

 笑顔を奪うアクマリンという敵から笑顔を取り戻す魔法少女。

 

 プリ○ュア?

 違うの?

 

 マジカルスレイヤーだよ!

 

まみか

「あれ? アァァァー!」

 

 驚いた。と顔に書いてある。メテオラにはなんとなく理解する事ができた。しかし、立香とセレジアはキョトンとした表情で目前に迫る魔法少女であるまみかを待つしかなかった。

 ダッダッダッ 3人の前まで駆け寄ると、両手で指を刺してきた。周りも気にする事なく大声で言葉を紡いだ。

 

まみか

「貴女たちね! この世界にやってきた人達は!! 私!貴女たちと話をしに来たの!! 」

 

メテオラ

「話とは?」

 

 冷静に返すメテオラにまみかは答える。その声には怒りと若干の困惑が感じられた。

 

まみか

「貴女たちを説得しに来たの! 軍服の女の子から聞いたよ! この世界は私たちの神様のいる世界だって! その神様に頼めば私たちの世界は救われのに、なんで貴女たちは一緒に来ないの!?」

 

 まみかからの問いにメテオラはため息を我慢しながら静かに返した。「容易くはない。不可能ではないにしても“それ”を実現するには多大なる労力が必要になるだろう」と

 それにもう一つ、こちらがメテオラ達軍服の姫君への敵対する最大の理由

 

《大崩壊》 

 世界同士を衝突させて生合成を保てなくなった両者は対消滅か自壊、勿論その世界に存在するモノ全ても共に消える。

 

 軍服の姫君の目的はそこにある。経緯は不明だが彼女が世界に対してなんらかの“恨み”を持っていることは確かだ。その事実を知ったまみかは驚愕が顔に出て後ろへ数歩後退する。

 無理もない。自分の世界の真実を知り、さらに救う方法も偽りなのであるならば……

 

まみか

「そんなはずは無いよ! ここには私の物語がある! 私を作った神様がいる! だったら………」

 

 己の言葉に力が籠る。願いを…いや、わらにもすがる思いのような震えた声で説得しようとするまみかにメテオラは非情な現実を突きつける。

 

メテオラ

「残念ながら貴女の思っている程、世界のルールは簡単ではない。もしも改変が可能ならば前例の一つや二つあってもおかしくはない。」

 

 背後へと足を後退させる魔法少女。見いだした希望をメテオラに打ち砕かれ心の中で考える。自分は何のために来たのだろうか?

 

 否定したかった。この世界にきたのならば運命は変えられる。そう目の前の賢者に言ってしまおうか………しかし彼女の先の言葉

 

「前例の一つや二つあってもおかしくない」

 

 酷く納得してしまう。それもそうだ。自分と同じお話の世界から来た前任者が居たのならば、行動して結果があってもおかしくない。

 ソレが無いと言うことはつまり……

 

まみか

「……もしそうだったら……私は………」

 

 膝から崩れ落ちる。目には大量の涙を浮かべて下を向く。どれだけ辛いか。

 突然、似ているようで違う場所に来たかと思えば現実を突きつけられて、自分は空想だと……虚構の存在でしか無いと言われ、あまつさえ自分のお話を変える事ができるかもしれない。ならばと話を持ちかけて遭遇した真実…目を逸らしていた現実…気付くはずのものを気づかないふりで誤魔化して蓋をして隠した。だってソレすらも否定されたら…?

 何が残る?

 

 『煌樹まみか』と言う個人? 『マジカルスレイヤーまみか』と言う肩書き? 

 

 答えは一つ、非現実のお話の登場人物…それだけだ。自分のことを知覚しながらも周りはソレをお話しと言う。どれだけ辛いか、一生懸命に戦ったあの記憶…あの痛み、全てがまやかし

 

 余りにも残酷な真実(他人に作られた感情)…願っても叶わない切なる気持ち。

 

 拒絶したくなる現実にただ絶望する。その感情は今までお話の中にいた彼女ならば経験していない感情。

 希望は…無いのか? 

 

 嫌だ。私は運命を変えたい! アクマリンをやっつけて皆んなが笑える世界を作ってみせる!

 

従業員

「あの〜他のお客様のご迷惑になるので……出来れば……」

 

 言われて気づいたが見れば周りの視線が集中している。当然と言えば当然か、泣くまみかを庇う様に立香が率先して従業員に謝罪した。

 

立香

「すいません!この子がどうしても頼みたいことがあるらしくて、その話を聞いていたらこんなことになっちゃって…すいません!!」

 

 カクッと綺麗な謝罪に従業員も戸惑っている内にまみかの手を引いて出口へと向かう。

 

 外の空気に晒されて少しは冷静になれたのか、まみかはメテオラにある提案をする。

 

まみか

「私には 世界がどうとか わからない。どうやったら私達は救われるのかも、本当にそれが正しいことだったとしても…間違えてたとしても…私はまっすぐ前に進みたい! だから………」

 

協力してほしい。そう言い終わる直前、そこにあるはずの無い無数のナイフが真空から現れる。

 メテオラもセレジアも気づいた時には遅かった。まみかの首元を冷たく鋭利な物が触れる…筈だった。

 命を奪う凶器を防いだのはまた同じ凶器、ソレも先程のナイフとは比べ物にならない程に巨大な剣。コンクリートの地面を抉り突き刺さった剣に視線が集中する中で鉄の擦れる音と一緒に一組の男女が此方に歩いてくる。

 一人は金色の髪を後ろに束ね、鎧を身につけ槍を握っている。もう一人はスーツにサングラスをかけた男。

 

「ハハッ、皆さんお騒がせして申し訳ありません。」

 

 愛想笑いを浮かべながらの謝罪に周りは不快感や単純な疑問の感情を抱く。サングラスのまま自己紹介を開始する。

 

「初めまして!こんにちわ!! 私の名はレクス! 『レクス・アクタイオン』!!」

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