Fate/Grand Order 時空歪曲特異点 Re:CREATORS   作:色々し隊

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テイクアウト

レクスは携帯を持ってまみかと連絡をとっていた。彼女が報告した事は以下の通り

 

・この前言っていたメテオラ達との会談の場を設け、日付は3日後。レクスの手配していたホテルのうちの一つで待ち合わせ

 

・アリステリアに創造主(作者)の居場所を教えてしまったことへの謝罪

 

・そして三つ目はレクスに教えてもらった魔術を自分なりに会得したと嬉しそうに教えてくれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ハハッそうか、もう覚えるなんて凄い! 

 やっぱり『魔法少女は伊達じゃないッ!』な!?」

 

 

 少し昔を思い出し舞い上がっているが電話越しの困惑した声に我を取り戻し、自体の整理を簡潔に行なった。

 

 まず、メテオラ達との会談の件だ。ブリッツから得られた情報は向こうも欲しているに違いない。異邦の存在が現地のルールを知る事は生き抜く上での最低条件。伝えねばならないことが山ほどある。その上で彼女らが納得するのなら同盟も悪くない。

 アリステリアはいずれ問題に直面すると思ったがまさかこんなにも早く訪れるなんて、心の中で頭を抱えた。会談時に伝える手もあるが少しお灸を据えなければな……

 

 よし、まみかの魔術…この際“魔法”でいいか

 

 

「記念だ。何かおいしいものを買っていくよ。驚くなよ、私にはわからないが君たち《被造物》は元の世界よりも食事や感情の深みが増すらしい。友人からそう聞いてね。一回味わってみるのも一興だ。

 食べたい物を言ってくれ、流石に外食は目立ちすぎて無理だからテイクアウトになるけど」

『そんな、悪いですよ! 一つ覚えただけなのに』

「大丈夫だよ。私はこう見えて使えるお金は多いんだ。祝わせてくれたっていいだろ?」

「……なんだか今のレクスさん、すごく嬉しそう。」

 

 

 レクスの声色は喜びを抑えきれずに舞い上がっていた。本人に自覚はないが

 

 

「…あーすまない。つい舞い上がってしまった。」

「レクスさんって教えるの上手だし、昔先生だったんですか?」

 

 

 何気ない会話で放たれた問いにレクスは口を濁す。少しして思い口を開いた。

 

 

「まぁ“昔”はな。一人いた。

 

 弟子なんて取らない!やるべき事の障害となるから近寄るな!

 

 って言ったのに鬱陶しく着いてきて懇願してたっけ、仕方ないから同行させてたが…今思えば懐かしくていい思い出だよ。」

「へぇ〜きっとレクスさんに憧れたんだろうな。」

「憧れる所なんて、当時の私には無かったさ、盲目的に物事を決めつけて大局を見誤りこの手からこぼれ落ちた大切なものは数知れず、なぁこんなのに憧れる要素がどこにある?」

 

 

 半ば自傷気味に、過去の自分を振り返る。どこにでもいた魔術士で他より少し優秀止まりだった自分

 その言葉を聞いたまみかは少しの間口を閉し過去の自分を悔いた。

 

 

「ごめんなさい…私そんなつもりじゃ…」

「わかってるさ、気にしないで大丈夫だ。それよりも欲しいものを言ってくれ」

 

 

 会話も終わって携帯を切る。

 さて、次の会談はまた面倒なことになりそだと内心ぼやきながら、まみかが気になっていると言うお菓子のお店へと足を運んだ。

 

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 自動ドアが開き豪勢な内装が露わになるホテル、紙箱に入った沢山のお菓子を持ちながらホテルマンとたあいない挨拶を交わす。

 自室のドアに手をかけるとほんの少しの殺気が感じられた。

 アリステリアがドア越しに警戒している事も承知しながら至って普通にドアを開ける。

 

 

「まみかー 買ってきたぞ!」

 

 

 紙箱を掲げアピールすると奥から走って来るまみかの姿があった。

 

 

「大声出さなくても聞こえてますよー!」

 

 

 子供扱いに羞恥心を覚えながらレクスが持っていた紙箱を受け取った。

 紙箱に目を移すと匂いが箱の隙間から漏れ出てくる。

 溢れる欲望

 

 

「好きなだけ食べていい。私の問題(魔術)を習得したご褒美だからね。」

 

 

 輝く目と喜びの笑顔に心を暖めて、奥の部屋で険しい表情を崩さないアリステリアの元へと向かう。

 

 

「…………何の様だ。」

「ほら」

 

 ほいっと懐から取り出した小さい物を投げ渡す。

 受け取った手に乗っているのは憎き世界の一部(一切れのバウムクーヘン)、一瞬レクスが創造主の世界を憎むアリステリアに対しての嫌がらせかと思い握り潰そうかと思ったが、まみか の嬉しそうな声を聞いて躊躇した。

 

 

「私は まみか が言う様にこの世界を『美しい』とは思えん。

 誰も彼もが世界を救う力を持ちながら、行動せず、あまつさえ悲劇を喜劇として消化する行為には殺意すら覚える。」

「だな、『美しい』なんて所詮表面だけだ。醜い人間なんて山ほどいる。この世界は言うなれば闇鍋だ。何が起こるかわからない。運命に縛れない場所、凸凹のだらけの道だ。」

 

 

 話を小耳に入れつつバウムクーヘンに視線を移すアリステリア、ふとこちらの世界に来てからまともに食事を味わう余裕がなかったことに気がついた。

 お腹も空く時間帯ではある。だが目の前の敵にも等しい人間(レクス・アクタイオン)からの贈り物など受け取れる気にはなれない。

 食欲とプライドがぶつかり合う中で隣の部屋からまみかがお菓子を持って急いで現れた。手にはレクスが買ってきたドーナツを持ち慌てた表情で二人を呼び止める。

 何か問題でも起きたのか? とアリステリアは焦りを含めた顔をしたが、その後の放った言葉で胸を撫で下ろすことになる。

 

 

「このドーナツ、凄っく美味しい‼︎

 アリスちゃんもほら食べてみて!」

 

 差し出されたドーナツを受け取り口に運ぶと今まで感じたことのないほど味覚が活性化した。広がる味や食感は元いた世界(緋色のアリステリア)では体験する事がなかった。

 

 

「……美味い。」

 

 でしょ!と嬉しそうにする まみか をみていると不思議と心を穏やかにする事ができる。

 

 ああ、いつぶりだろう。こんな気持ちになったのは……

 

 懐かしい気持ちを抱きつつ少しだけ顔の表情が柔らかくなった気がした。戦争続きで息抜きすら出来なかった昔とは違う。

 忌み嫌っていた世界さえ、素晴らしい物があるのかもしれない。目の前の少女の笑顔がアリステリアにそう思わせる。

 表情が柔らかくなったアリステリアを横目にレクスは自分用に買ったスティックを片手に続きを語る。

 

 

「だが、表だけでも、裏だけでもダメなんだ。美しいところもあれば醜い箇所も存在する。どの世界でも変わらないだろ? お前のいた場所(世界)も同じだよ。きっとな。

 まぁお前も まみか も来て日が浅いし、じっくりと考えれば良いさ。」

「………」

 

 

 ドーナツを頬張りながらレクスの言葉に耳を貸す。

 

 たしかにこの食事は素晴らしい、甘さも食感も言葉では形容できない深みがある。

 元いた世界は戦争続きでこの様に余裕のある食事など瞬きの時しかなかった。だがココでは誰もが幸せになれる権利を持っている。

 目の前の同類(キャラクター)であっても溢れ出る幸せオーラに心を落ち着かせてくれる。

 認めたくないが仕方ない。

 

 アリステリアは先程までの仏頂面から少し笑った。この世界に来て初めて彼女は笑った。その笑顔はまさしく姫君という言葉が似合うほどに気品を感じさせた。

 

 

「フッ、貴様に乗ってやろう。私も少し認識を改める必要があるな。」

「おぉ、これまたアッサリと」

「あんな姿を見せられては、認めざるを得んだろう。」

 

 

 顔を移した先には幸せそうにドーナツを頬張る まみか の姿があった。レクスも続いて顔を動かし口角が少し上がりただ一言

 

 

「だな。」

 

 

 レクス・アクタイオン‥彼の心は過去に囚われたまま進んでいない。子供を死なせた過去を償うために違う世界に来てまで人助けをする。分け隔てなく、起業した後もずっと

 しかし一人の女の子の笑顔を見て少しだけ心の異物が取れた気がした。

 

 

「あッ! そういえばお前、高良田概をどうした?」

「あぁ、あ奴なら私のいう事を聞かぬ故、愛馬に括り付け空の旅の最中だ。」

 

 

 その日の夜レクスの怒鳴り声がホテルに木霊し、「貸切といえど勘弁してほしい」とホテルのオーナーに怒られ詫びの菓子折りを持っていくレクスの姿をアリステリアは ザマァみろ と嘲笑したのだった。

 

 ちなみに まみか はすっかりスイーツにハマりレクスが外出する際は絶対に買ってきてとお願いするほどになった。

 

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