日常系は推理モノより事件が多い!?   作:あずきシティ

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【1話】部室は共用!?

俺はただの高校2年生、鈴木善治だ。

 

俺の通う高校は文化祭も終わり、樹木は赤く色づき始めた秋本番だ。いよいよ高校生活も折り返し、進路のことも考えなければいかんなぁ……。

 

そうは思いつつも、まぁ真剣にはなれない。まだ先だしなぁ……。

だらしないと言われそうだが、そう思う同志は多いと思うぞ。

 

 

 

さて、今現在、体育館に全校生徒が集められて学校行事が行われている。どうやら生徒会の選挙らしい。

え?もっと関心を持てって?確かに3年生が引退し、生徒会の選挙も同期が出ているのだが、それにしたって知らん人だ。だいたい立候補者が少ないし、生徒会長に至っては立候補したのも1人だけ。信任投票だから、どうせ当選だしな。

会長候補が何やら改革がどうのこうのと言っていたが、まぁ言うだけだよなぁ……。

恐らく、この体育館にいる全校生徒がそう思っているだろう。現実はそんなもんだ。どうせ言ってる本人もそうだろう。

しかしまぁ……今年の会長候補は女子だし、しかもかわいいな。常に笑顔だし、軽くゆるく巻いた髪がとてもいい。明るい声のトーンも好きだ。

どうせ知らん人だが第一印象が良いだけで投票用紙の信任に○を付けるのも躊躇いがなくなるというものだ。

 

……あれ?あの会長候補ってどっかで会ったこともあるような気はするな……。

まぁ同期だし、そりゃ見たことくらいあるか。

 

生徒会長候補には好印象、他の生徒会役員候補にはまったくの印象は無いまま演説会は終わり、教室で投票とホームルームがあり、今日の授業は終わりとなった。

この後、選挙の開票作業があるらしい。結果は全員当選で見えているが……。

 

 

俺の放課後は、というと今日は週に一度の部活だ。部室は移動教室で使われる教室だ。

部室のドアをガラッと開けると1年生たちの「おはようございます!」と元気な声が飛んでくる。なんか気恥ずかしいな。軽く会釈しながら部室の隅に行く。

 

先輩だから堂々としろと言われそうだが、残念ながら俺は彼ら彼女らの先輩ではない。ややこしい話だが、種明かしをしよう。

 

今、元気な挨拶をしてくれたのは演劇部員だ。

そして俺は文芸部員。学校の後輩ではあるが、部活の後輩という訳ではないのだ。

 

しかし演劇部と文芸部の部室は共用で、礼儀正しい演劇部員たちは俺にも挨拶をしてくれている。そんな状況というわけだ。

もともと演劇部も文芸部も部員が少なく、俺が入学する前は一つの部活で劇団文芸部だった。

 

俺としては、何か部活はしなくちゃと微妙な焦りと、社会に出るときに何かしら面接でも受けることがあったときの話題が欲しい。

しかし精力的な活動はしたくない。

幸いにして、文字を書いて話を作るのは苦手ではなかったし、人数が少ない劇団文芸部で脚本担当という裏側ポジションでこっそり部活をしようと思って入部した。

 

ところが、同期で劇団文芸部に入ろうという人間が多く、いっそのこと演劇部と文芸部に分離してしまおうということになってしまった。

俺は人前に出るのは苦手だし、書くのを目的に入部したのだから文芸部員になった訳だが、どういうことか俺以外は全員演劇部員になった。せめて5人くらいは文芸部員になってくれると思ったんだがな……。

 

 

以上の経緯と文芸部の活動内容から大々的な部室は不要と判断され、部活としては分離したはずの演劇部と文芸部は結局、同じ部室を使うこととなった。

 

その後、俺1人となった文芸部は週1回だけ活動……と言っても普段は何もすることなく演劇部の観客だ。

文化祭ではさすがに何もしないのももったいないので、小説を書いて同人誌を作った。後はそれを無料配布する。以上、終わり。

 

そんな部活と言っても良いのか分からないレベルの活動をしてきただけだった。

ま、これはこれでお気軽に部活を続けた実績を手に入れられるしいいか。

そんな軽い考えしかないもんだから、全国津々浦々の真面目にやってる文芸部員の皆様にはお詫び申し上げたい。

 

そうは思いつつ、今日の部活も演劇部の観客だ。ちなみに今日の演劇部にはもう進路が決まったらしい先輩が遊びに来ていた。

「リキ!お前はもうちょい力抜け!!抑えろ!!!」

失礼、先輩は遊びに来たのではなく、熱いご指導をされているようだ。

舞台にひたむきで後輩たちを厳しく指導している。

あんな先輩を見ると、ほんのちょっとだけ羨ましくなるが、まぁ俺だったら耐えられないかな。

 

 

部活が始まり数十分。生徒会選挙の結果が校内放送で流れた。まさしく予想通り、全員が信任で当選とのことだった。

一応、今日の気になることは終わったし部活は終わりにするか。

俺は荷物を片付けて、真面目に活動する演劇部に挨拶をして部室を後にした。

 

 




どうも~
あずきシティです。

青春系なものを書いてみたくなり、こんな作品を世に送り出すことにしました。

色々「オイオイ」と言いたくなる部分はあるかもしれませんが、それはまぁフィクションということで。

これからしばらくよろしくお願いします。


日常系を書くわけなんですが、コロナウィルスや感染症対策で学校がお休みになって
この日常系も日常じゃないなぁとは思いますね……。

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