日常系は推理モノより事件が多い!?   作:あずきシティ

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【2話】廃部決定

生徒会選挙から1週間、やっぱり何も変わらないなぁと思いつつ、再び部活の日がやってきた。週1回の部活だ。

演劇部はなんだか大会が近いらしく、いつもより盛り上がっている。熱血指導していた先輩は今日もお出でのようだ。

「ふーん……で?……それで心に響くと思ってんの?」

かなり厳しい熱血指導だなぁ

ちなみにこの熱血指導している先輩は庄司先輩といい、ぱっと見は、柔らかい物腰と親しみやすいタメ口で、舞台さえ絡まなければすごく優しい男性だ。

女子からもモテるとかなんとか……。

フツメンでも人間、中身がしっかりしてれば良いんだなぁ……。

 

「お、鈴木ー来たか。」

おっと珍しく庄司先輩が俺を呼んでる。こういう時は演劇部の手伝いでも頼まれるもんだが……

「さっき、上田が来て文芸部の部長に用があるってよー。生徒会室に来いってー」

「へ?上田?」

思ってもない方向から思ってもない話だな。ってか上田って誰だ?

 

俺が頭にハテナマークを飛ばしていると、庄司先輩は若干、蔑んだような目をしながら補足説明してくる。

「1年の時、演劇部にいた上田江美。今は生徒会長の」

あっ、あの生徒会長か!というか演劇部にいたのかよ……。道理でなんか見たことあるような気はしてたんだ。話した覚えとかは、ほとんど無いんだがな。

 

庄司先輩はあくまで俺が思い出す思い出さないは無視して続けた。

「よく頑張ってたし、なんで辞めたかなぁ……まぁそれはともかく、俺は言ったからな。先週から毎日呼び出しに来てたしな。」

 

生徒会長が毎日、呼び出しに来ていたって果てしなく嫌な予感しかしないじゃないか……。というか毎日来ていたのを知ってる庄司先輩も毎日来ているということだよな。暇なのかな。いや熱い先輩なんだということにしとこう。

 

 

 

俺は生徒会室に向かうとする。

さすがに、事故とはいえ1週間近く、呼び出しをガン無視していた訳で、事と次第によってはタダじゃ済みそうにないしな。そういえば、そもそも生徒会室ってどこだっけ?普段、用がないから場所もあまり分かっていない。

とりあえずここだっけ?というところに行くと「生徒会室」と札がある。ビンゴみたいだ。

一応、ノックしてみると中から声が聞こえる。演説会で聞いた明るいトーンの女の子の声だ。

促されて入室すると、会長が1人で待っていた。一応、挨拶してみるか……。

「失礼します。文芸部の鈴木です……」

すると、会長は朗らかに笑いながら明るいトーンで話しかける。

「あははは!鈴木くんどうしたの?そんな他人行儀で?」

「え?」

「部活は違うけど部室は同じだったじゃん!…ってそっかー。ほとんど話すこと無かったもんね~」

会長というからには堅苦しい人かと思ったが、そうではないらしい。あまりのフレンドリーさに呆気にとられる。

 

「じゃあ初めまして!生徒会長の上田江美です!よろしくお願いします!」

「ど……どうも……」

「同期なんだし、そんな緊張しないで!会長はえらいとかそんなんは無いから!はい!リラックス!」

緊張というか、あまりにフレンドリー過ぎて、軽く引いている。

まぁ話しかけるだけで事案とか言われるより、よっぽど良いんだがな。

ただ相手は生徒会長だし、こんな世間話をするために呼んだ訳じゃないだろう。

 

「で、会長」

「会長じゃなくてー出来れば名前が良いかな?」

「じゃあ上田。何で文芸部を生徒会室に呼び出したんだ?」

「あぁ~、その話ね。」

 

上田はもうちょい雑談をしたくもあったみたいだが、残念ながら俺がこれ以上、女の子と話すネタがない。上田は特に残念そうな顔をするわけでもなく、明るいトーンのまま話をし始めた。

 

 

「じゃあ本題からね。文芸部は廃部対象になりました!」

 

はい!?急になんだって!?

 

「まぁアレよ。今時働き方改革とかどうとかっていう先生方の事情で、活動内容などから部活として実績とかがない部は廃部にしようみたいな流れなの。」

 

なるほど、モロで大人の事情なんだな。で、その矛先が俺しか部員のいない文芸部に向いたと。確かに上田からしても大して活動していなかったのは知っているだろうし、仕方ないか。

 

「分かった。いつで廃部なんだ?」

「そうよね!?到底受け入れら……え?」

「まぁ大人の事情には抗えないよなぁ。で、いつなんだ?もしかして今日いまこの時か?」

「時期は来年度末なんだけど……そうじゃなくて!」

 

廃部なんだよな?何が言いたいんだ?

 

「悔しくないの?一応、1年半やってきたのよね?」

 

悔しいっちゃ悔しい気もしなくはないが……

 

「そもそも、廃部は上田の意向だろ?そういえば演説会でも改革がどうとか言ってたし……」

 

先生からすれば、大人の事情も受け入れて言うことを聞く、いい生徒会長を手に入れたもんだな。そんな風にも思ったが、上田は最初の朗らかな笑顔が消えていた。

 

「はい!?廃部が意向なわけないでしょ?私はあくまで言われただけで本当は廃部とかそういうネガティブなのは嫌いなの!」

 

どういうこっちゃ?

 

「つまり先生方の意向は部活は潰したいし、学校行事も減らしたい。で言うことを聞きそうな私を生徒会長にしたの。」

 

うぉう……急に闇だなぁ……。

 

「ただそんな大人の事情で私たちの青春を邪魔されたくないじゃない?だから表向きは言うことを聞くけど本当は戦いたい!そんな大人の事情に流されたくないの!」

 

なるほどな……。大人の事情に抗いたい気持ちは分からなくもない。上田の人となりが、まだ100パーセント掴めてはいないが、悪い人では無いみたいだしな。

とはいえ、こんな話を打ち明けられたところで何をすればいいのか分からないのもまた事実だ。直接聞いてみるか。

 

「……で、俺はどうしろと?」

「来年度末までに廃部にならないような実績を作る。」

「なるほどな……。実績なく廃部なら実績を作れと。」

「簡単でしょ?」

 

上田はそう言いながら元の明るいトーンに戻っていた。

だが、それって言うのは簡単でも実行するのは難しくないか……。

 

「じゃあ今日は忙しいところ来てくれてありがとう!頑張ってね!!」

「……頑張ってってどうやって実績を上げるかは考えてくれないのか!」

 

「………」

 

少し間が空いた後、上田はまるでキラキラな星でも出してるかのように

 

「てへっ☆」

 

と満面の笑みを向けた。

 

すべて忘れられそうな素敵な笑顔だった。俺はそんな上田に見送られ生徒会室を後にした。

 

 

 

 

って待て!よく考えたらめんどくさい部分は俺に丸投げで上田のリクエストを聞いただけじゃないか!

あれ?

俺もしかしてうまくハメられた?

 

 




大人の事情 VS 青春

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