日常系は推理モノより事件が多い!?   作:あずきシティ

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【24話】既成事実を作ったもん勝ち

部室に戻ると、虎谷は少し楽しそうな顔をしながら話しかけてきた。

 

「お疲れさまです。どうでした?」

 

どうもこうもなんと説明したら良いものか……。

 

「やっぱり石橋先生でした?」

「ん?あ、あぁ……」

 

そういえば石橋先生は虎谷の担任なんだったな。

 

「石橋先生、関西弁なりました?」

「え!?あ、なったなった」

「お~!」

 

虎谷は石橋先生が関西弁になったことを聞いて楽しそうな顔をしながら音のでない拍手をする。

 

「ってことは、あのめちゃくちゃな話を聞いたんですね~」

「え?あ……確かにメチャクチャだった。って虎谷も知ってたってことか?」

「はい、ちょっと前に聞かされました。」

 

なんてこった。紛いにも部長の俺が一番、平和ボケな状態だったなんてな。

 

「で、どうするんですか?文芸部……」

 

虎谷はそんなことを聞いてきた。

そうだよな……あまりにも……あまりにも、な話を聞いたわけで、やる気が出るか出ないかというと難しいところだ。

だが、石橋先生は廃部が決まっていると言いつつも、廃部の理由が分かったならそれにあわせた対処法を考えろとも言った。文芸部を諦めろとは一言も言われていない。

 

それにこれは高校生活の部活だ。仮に本当に廃部になったとしても、そこまでのすべてが無駄になるわけじゃない。現にこの半年、色々と発刊した同人誌は目の前に形として残っている。

 

「やるだけのことはやるっきゃないだろ。ここで諦めたら大人の事情に対して負けを認めることになる。虎谷はここで負けを認めたいか?」

「嫌ですね。」

「なら決まりだな。」

 

文芸部として新たな生き残りの道を模索することに決まった。

 

「はい!じゃあ改めてどうするか、話し合って決めましょう」

 

俺たちのやり取りを見ていた上田もそこに乗っかる。ホント、上田も入部してくれたらいいのにな。

 

「ってことで私は生徒会から何か分からないか漁ってみるから、文芸部も頑張ってね!」

 

上田はそれだけ言うと部室から出て行った。

あら……普段は三人寄れば文殊の知恵とか言って残って話し合いに参加してくれるのになぁ……。

そんな風に思いながら俺は虎谷と席につき考える。

 

「そういえば、もうすぐ夏休みだが、夏休み明けどうする?月刊誌はやるか?意味があるかないか怪しいが。」

「やったらいいんじゃないですか?あれはあれで活動として必要だと思いますし。」

「そっか……部活が何やってるか分からなくなったら、表向きの理由に潰されるのか……」

 

虎谷と話しながら、演劇部をチラッと見てみるとOBの庄司先輩が遊びに来ていた。

なるほど、上田がさっさと生徒会室に戻ったのはコレか?

 

「鈴木さん、そういえば文化祭はいつなんです?何するんですか?」

 

そういえば夏休みが明けると文化祭が近づいてくるのか。それも考えなきゃならんのだな。俺は虎谷に文化祭の時期と去年は何をやったか説明する。

 

「今やってることとほとんど同じですね」

「言われてみればそうだな……まぁ部活自体が同じだから仕方なくないか?」

「そうですね……」

 

これにて文化祭の話は終了。

多少、去年より何かを付けるとしても根本的には変わらないよな。文化祭よりそれ以外で存続する方法を見出すか。

 

「あと夏休みどうします?」

 

そうだな、例年は活動無しだったが、そういうわけにもいかないだろうし。

 

「7月、8月も冊子作って配布します?」

 

夏休み中だし文化部しか校舎内にいないことを考えると、なかなか厳しいものはありそうだ。

どうしたものかと考えたとき、ちょっと前に虎谷がどっかに俺の小説を投稿していたのを思い出す。

 

「夏休みは冊子作る代わりにそういうのを探して、ありとあらゆるところに投稿しまくるか」

「え~」

 

虎谷は若干、嫌そうな返事をしながらもすぐに部室のパソコンの電源をつけた。やる気満々じゃねぇか。

 

「鈴木さんのボツ作品をまとめるだけですよ」

「いやいや俺だけじゃなく虎谷の作品も投稿するぞ」

「え~」

 

また嫌そうな返事をするが本気の嫌がりというよりは、ただのリアクションという感じだな。

 

多分。

 

今、考えるともし何かで入賞でも出来れば、○○××入賞の虎谷(または俺)を輩出した文芸部を廃部なんて出来ないだろう。対外的なイメージが悪くなる。

 

この作戦、望みは薄いかもしれんが、かなり真っ正面から大人の事情に立ち向かったつもりだ。

既成事実を作ったもん勝ちだろ。

学校ホームページにも部活紹介のところにも廃部の話は載っていない。その状態で先に、すごい部活だとアピールすればひっくり返せる可能性は十分だ。

 

 

「問題はそんなにすごい部活になれるかどうかですけどね。」

 

虎谷はチラッとそんなことを言った。俺的には虎谷頼りでそれは出来そうかな、なんて思っていたりする。

気付くと下校時間になる。夏休みからの活動方針も決まったところで、今日の部活は終わり。

虎谷はいつものごとく最速で下校する。俺は下校……の前に生徒会室に寄るか。

上田が生徒会から何かのアプローチをしてきてくれてるみたいだしな。それも聞いてから帰るとしよう。

 

 




そろそろ部活パートからまた上田と鈴木のパートになると思います。
日常系っていろんな事件があっちこっちからふってわいてきて大変ね
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