日常系は推理モノより事件が多い!?   作:あずきシティ

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【34話】男の人って一回は浮気する

さて、気づけばもう文化祭まで1週間というタイミングまでやってきた。

これにて創作活動は打ち切りだ。後は編集してどれを掲載するか決める……。

最後に製本。思えば1年前はこんな風になるなんて思わなかったな。

 

ということで、虎谷の作品をダーッと読んでいく。

どれも面白いので取捨選択が出来ない。

逆に俺の主観で好みから選んだらいいかな、なんて思う。

そして俺はほんの一息ついたタイミングで虎谷に話しかける。

まぁホントにただの雑談なんだが。

 

「なぁ、虎谷ー。ネットとかで恋愛小説……まぁ二次創作とかでも読んでたらさ」

「どうしたんですか?」

「女の子がヤカラとか不良とかチンピラにちょっかいかけられて主人公男に助けられてキュンキュン……みたいなシーンあるよな。」

「そうですかね?」

「まぁそれより前から好印象を持っている前提はあるんだけどさ。あれって実際にキュンキュンなのか?」

「まぁ……?変なのに絡まれてる時に助けてくれた人には良い印象は持つと思いますね。」

「まぁそりゃ助けてもらったらそうはなるか……。」

「じゃあ惚れるかというとそれは別問題だと思いますけどね。知らない人が知り合うキッカケくらいにはなるんじゃないですか?」

「あぁ……そっか……。」

 

確かに知らない人を助けて「名前だけでも!」「名乗るほどのものじゃありません」的なやり取りは古典的だよな。

ただ実際問題、そこから発展した話を俺は聞いたことがないしな。

 

「私としては、そもそもそんな危険な目に遭いたくないですけどね。」

 

確かに虎谷の言うとおりだ。

仮に上田が何かチンピラに絡まれていたりしたら、もちろん助けるが、そもそもそんな窮地に陥る姿を見たくない。

 

「まぁ小説とか二次創作のフィクションなら良いですけど、実際には吊り橋効果を狙われたらたまったもんじゃないですよ。」

「虎谷の言うとおりだな。相手にトラウマを残すのは気が引ける。」

「……で、鈴木さんの書いた小説ではヒロインが危ない人に襲われるシーンは無いんですね。」

「ま、まぁなぁ……。」

「フフッ」

 

鼻で笑って虎谷は話を終わらせる。何を考えてるんだろうな。

というか、虎谷は気付いていないだろうし気付かれても困るが、虎谷の言ってる話は俺の実話を脚色したものだ。

まぁ実際問題、上田からの好感度は上げたいがそのために危険な目には遭わせたくないし遭って欲しくないな。

 

虎谷は思い出したかのように話の続きを始める。

 

「そもそも昔は知らないですけど、いまどきそんなんに絡まれる事がないですよね。」

「確かに。見たことも聞いたこともない。治安が良い地方というのもあるかもしれんがな。」

「私としてはそういうので危機を迎えるのも嫌ですが、そういうのって最悪誰かは助けてくれそうじゃないですか?自力は無理でも警察呼んでくれたりとか」

「まぁ確かに……」

「それよりも浮気とか今流行の不倫とか、そういうのの方がいろんな意味で危機ですよね。」

 

虎谷はえらく鋭いことを言い出したな。とりあえず聞いておくか。

ある意味、関係ない話ではないからな。

主に心のケア的な意味で。

 

「男の人って一回は浮気するって聞いたんですけど本当ですか?」

「いきなりえげつないこと聞いてくるな……。」

「どうなんですか?」

 

なんか虎谷のスイッチが入ったのか、えらくグイグイ来るなぁ。

 

「全員が浮気するかどうかは分からないし、俺は相手を傷つけたくもないからするつもりはないが……。」

「………が?」

 

ある顔が頭に浮かぶ。名前は……出さないでおこう。

 

「3股交際してた知り合いならいたなぁ」

「えぇ……最低ですね。逆によく出来ましたね。」

「相手が2コ下、1コ下、同い年でうまくバレないようにしていた……のかな?」

「へぇ~詳しいですね」

「関係者4人のうち3人は知り合いだからな……。」

 

俺の顔から虎谷は何を察したのか分からないが、それ以上は何も言わなかった。

この件はある意味、俺も関係者かもしれないがな……。

 

君の運命のヒトは僕じゃない。辛いけど否めない。

そんな歌をどっかで聞いたことはあったが、あの時の俺はそんな風に思っていた。それに今もそう思うところはあるが……そこらへんは考えないでおこう。

 

「鈴木さん、何黄昏てるんですか?」

「ん?んー……気にすんな。ちょっとその三股事件を思い出してただけだ。」

「そうですか……。」

「さて、文化祭に向けて作業するか。一応、俺は虎谷が書いた分で使いたいのはピックアップした」

「ほとんど全部ですね。」

「正直どれも切れないから一応、好きな順で優先順位って形にしといた。あとはここからページ数考えて決めるぞ」

「分かりました。」

「虎谷、任せてみても良いか?案が出来たら見せてくれ」

「えぇ~」

 

丸投げされた虎谷は嫌そうな声を出しつつも、すぐに作業に取りかかる。

やはりこういうところが信頼出来るなぁ。

もちろん、俺も丸投げして暇するわけではない。

 

「じゃあ俺は発注しといた紙を受け取りに行ってくるわ」

「はい、では」

 

正直、力仕事くらいしか出来ないからな。俺は学校の倉庫へ紙を取りに行った。

 

ちなみにこの日は部室に紙を運び込むのに時間がかかり、それで部活は終了となる。

虎谷の同人誌の案を見るのはまた後日になった。




私、ハーメルンで好きな作品の2次創作を何作か読んだんですよ

で1回か2回くらいヒロインがチンピラだか不良だか酔っ払いだかに絡まれてるシーンがあったような気がするんですよね

そんなこと現実にあります!?

って思っただけw
まぁフィクションの世界に現実のことを持ち込む私の方が野暮なんかな
それ以外は読んでて楽しかったんですけどね

それを言い出すと私の作品も金にまみれて部活をつぶそうとする大人たちなんて存在しない(だろう)しな

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