日常系は推理モノより事件が多い!?   作:あずきシティ

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【37話】一杯いくか?

「校内は異常なしでした」

「お疲れ、こっちもようやっと終わりそうやわ。」

 

 

 

上田と石橋先生が報告しあっている。どうやら体育館の作業も終わりそうみたいだな。

 

「一杯いくか?」

 

え!?いや待て、先生がそれ誘っちゃいかんだろ。

 

「はいはーい!行きます!」

 

上田はノリノリで返事をする。おいおいマジかよ……。

と言いながらも上田が行くなら俺だって、と手を挙げる。

 

「水原はどうする?」

「私は今晩は配信があるので遠慮しておきます。すいません。」

「おっしゃ分かった。ほな3人で行こか。」

 

どういう状況なのかよく分からないが、こうして上田と俺と石橋先生の3人でどこかに行くことになる。

やってきたのは駅前の居酒屋だ。そのまま石橋先生に連れられて入店し席に案内される。

 

「ほな俺、生中とお前らは?あっソフトドリンクにしろよ。さすがに酒頼んで知らん顔してくれはナシやからな」

「じゃあ私はオレンジジュースで」

「あーカルプスオメガで」

 

ある意味、ホッとした。さすがに学校の先生がアルハラ強要とかは無くて良かったぜ。

 

とりあえず乾杯し石橋先生が話す。

 

「明日からの文化祭がんばっていきましょう!あと上田はこれまで俺の無理難題に応えてきてくれてありがとうな。」

「へぇ先生、無理難題のつもりだったんですね~。」

「ま、上田ならイケると思っててんけどな。とにかくあと少し、頼むわな。」

「はい!」

「で、鈴木はなんで手伝いに来たんや?」

「え?まぁ頼まれたから……」

「ほーん……」

「私が呼びました!」

 

上田は渾身のドヤ顔を見せる。

 

「弱みでも握ったんか?」

 

石橋先生はクリティカルでヤバいことを言うなぁ。

弱みじゃないが秘密は握ってるしなぁ。

 

「さすがに先生でもそれは言えませんよ~」

「ほーん……ほな直接、体に聞いてみたろか」

 

石橋先生はそんな風に言いながら指をポキポキ鳴らす。

 

「アハハッ……先生それしたら色々マズいですよ~。鈴木くんがちゃんと証拠残してくれますよ?」

 

上田は笑いながら受け流す。

石橋先生は偽物の不快感を表しながら俺に話しかけてきた。

 

「お?なんや?鈴木は俺の味方やな??おぉん?上田の味方をするんか?」

「先生スイマセン。俺は上田の味方をします。」

「ええ度胸やなぁ。まぁ今日は見逃しといたろ」

 

なんだか答えを言ったようなもんな気もするけどな。

 

「ほんならさ、まぁ教師から立ち入られたくないやろうけどさ。最近どないなん?」

 

急に質問の意図が分からんな……。

 

「上田はホラ、こないだ浮気男に振られたやん?」

「ちょっと先生~!ズバッと言いますね」

「それからどないやねん?って、まぁ今は聞くんはやめとこか。今日は鈴木の話を聞こか」

 

おいおい!俺かよ!!

 

「誰が好きなんや?言うてみぃや」

 

単刀直入にエグいこと聞いてくるな、この先生。

 

「先生、そんなざっくり聞いちゃおもしろくないじゃないですか~。ってか鈴木くんけっこう真面目かもしれませんよ?」

「まぁ真面目なら真面目なりな話は聞くで~。ほら話してみぃや」

 

そんな生中片手に語られてもなぁ……。

とはいえ上田がいる手前、嘘をつきたくもない。

 

「……いますよ。」

「おっ!!誰や?俺から担任に聞いたるで。同い年か?うちの高校か?」

 

普通に笑いながら結構、踏み込んでくる。

まぁこの関西弁モードな石橋先生なら信用してもいいか……。

 

「そうっすね。……うちの高校の同い年っすね」

 

なんなら今は俺の隣に座っとるわ。

 

「マジか~。え?付き合っては?」

「いないんですよね……残念ながら」

「振られたん?」

「いや、振られた訳では……」

「いつから好きなん?」

「まぁ……今年の始め?2年生の終わりくらいから……」

 

俺の中途半端な回答に石橋先生は次第に真面目な顔になっていく。

ちなみに上田がどんな表情で聞いているのかは恥ずかしくて見ることが出来なかった。

 

「まぁお前のことやからな、好きにしたらええんやけどな。もう半年経つわけやろ?行くだけ行って当たって砕けてもそれも経験や。大人になったらセクハラとか言われて出来ひんようになるからな。」

「俺の想いは、相手には伝えてますよ。」

「そうなんや!!ほんならこれ以上は今は聞かんとこ。相手がある話になってるんやったら俺から言うことは無いしな。」

 

石橋先生はそれだけ言うと残った生中をグイッと飲み干す。

 

「すんません生でー!……上田、今の話聞いてみてどう?」

 

石橋先生は飲み物を注文してから今度は上田に話を振る。

 

「………」

「上田!?」

「えっ!?あぁごめんなさい。ちょっと考え事してました」

「ぼやっとしてるなんて珍しいやんけ。今の鈴木の話聞いてどう思う?まぁ相手にどう思われるかは別として」

「そうですね!言ってもらえるのはとても嬉しいことだから、それはやっぱり伝えてくれてありがとうってところはありますよ」

「お~聞いてへんかった割にはメチャメチャ深いこと言うやん」

「エヘッ」

「あっ、コイツ考えとったな」

「まぁ~私ほどのスーパーな人間になると、先生の考えることはお見通しですよ」

 

上田は得意げにドヤ顔を決めている。

 

「ほんなら今、俺が考えてること分かるか?」

「うーん……鈴木くんの想い人が誰なのか?ですか」

「ちゃうな。答えは……すんません!勘定で!」

 

そうきたか……!

石橋先生の突然の締めにより、今日の飲み会は御開きとなった。

ちなみにお会計は石橋先生が全額払うという太っ腹を見せつけてくれた。

なんだかんだ良い先生だと思ってしまうあたり、俺もチョロいな……。

 

 




更新ペースでお察しだと思うんですけど、これ書き溜めてるんですよね

これ書いたときにはこんなにコロナが大変になるとは思っておらず
2杯で退店したのは割と遅い時間に入店だったのと、条例的な意味で高校生を22時までに家に帰すためだったりします。

先生は……なんか深そうなことを言ってますが、現実には学生と遊びたかっただけなんでしょうね。
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