前回の部活から1週間が経った。また部活の日がやってきた。
しばらくしたら上田がまた来るだろう。それまでにこの1週間で考えたことを整理しておく。
そもそも文芸部の部員を30人というのが無理な相談だ。こんな得体の知れない部に入る人間が30人もいるなんて思えない。
さらに言うと、俺の持論なだけかもしれないが、文章を書くということ、それ自体のハードルが高いのだと思う。
こんなこと言うとまた全国の真面目な文芸部に申し訳ないが、俺は何かを書くときに、適当に書いている。確かに部活ではあるが、プロになるつもりなんてない俺はゆるーくでいいと思っているのだ。
だが、この状況を知らない人間からすると敷居が高く感じてしまうのかもしれない。
「おはよーございまーす」
そうこう考えをまとめているうちに、上田が挨拶をしながら部室に入ってきた。
なんかもうナチュラルに部室に溶け込んでるな。まぁもともと演劇部員だし、何も違和感がないというのも大きいが。
さて、せっかく来てくれた上田には申し訳ないが、やっぱり部員を大量に増やすことは難しいことを伝える。
「なるほどね……。確かに部の性質的にもたくさん部員を……ってのは難しいね。」
と、肯定してくる上田。これだけでも珍しく部活のことを真面目に考えた甲斐があるね。
コウテイペンギンの赤ちゃんをモチーフにしたキャラクターが流行るのも納得だ。
ただ、上田は会長らしく、そこから一言付け加える。
「ただずっと1人で活動は寂しいんじゃない?いろんな意味で」
まぁ確かにな。上田が入部してくれたら面白そうだし、生徒会長パワーも使えそうだが。
「私は入らないわよー。そもそも部活と掛け持ち出来るほど生徒会長は楽じゃないし。」
そりゃあ残念だ。
「ただ、文芸部を何も知らない人には確かに敷居が高く感じるっていうのは当たってるわね。活動自体はゆる~くなのか、キビキビやるのか……っていうのは鈴木くんの部なんだから鈴木くんが決めたらいいけど、外からまったく何も分からないっていうのは『あ、この部面白そう♪』みたいな興味すら持たれにくいと思うのよね……。」
確かに、それは分かっているんだが……。
「今年は無理にしたって、来年、新入生来て欲しいじゃない?」
まぁそりゃ、俺だって先輩って呼ばれ頼られたいみたいな願望も0ではない。
「だったらまず文芸部が何をしているか。宣伝していくところからじゃない?」
なるほど。得体が知れないならまず知らしめようということか。
「何をしているか分からせてあげて、それでも部員が集まらなければ、また違う手も考えましょ。それにこれ以外の方法も同時並行でやるわよ!」
「そうだな……。というか、そもそも論だが、うちの部が何やってるかってどうやって宣伝するんだ?」
「え~そこから~!?もうしょうがないなぁ……スマホ貸して」
なんだかんだ言いながら上田は案外、ノリノリである。
俺からスマホを受け取ると、サクサクと何やら作業する。3分ほどでスマホは返ってきた。
「はい!文芸部のツブヤイターアカウントを作ってあげたわよ!」
「お……おぅ……ツブヤイター?」
「え?まさかツブヤイター知らない?」
「一応、それは知っているが……やったことはないな……」
「今の世の中、SNSを活用しなきゃ。ツブヤイターならユーザーも多いし、これ以上ない宣伝が出来るわよ」
「は、はぁ……」
「これからは部活の日は必ずツブヤイターで活動内容をつぶやきなさい!いい?」
「は、はい……」
半ば強制的に了承してしまった。SNSとかろくにやってないし、なんだか難しいな……。
「今日の分はつぶやいといてあげたから、次からはちゃんと自分で考えてね!あと私の連絡先も入れといたから。」
今日の呟きは代わりにしてくれたのか……。それをお手本にやるっきゃないな……。後で確認しておこう。
「じゃあ私は生徒会の仕事に戻るからね!それにテストもあるし、しばらく部活は無しだから、テストも頑張るのよ!じゃあ、また次の部活でね!」
上田はそう挨拶して、部室から出て行った。やっぱりここに来てるのは生徒会長としてではなく上田個人として、という意味なのだろうか……。
ん?テスト……?やべぇ忘れてた。部活が2週間休みになる引き換えにとんでもない爆弾が飛んできたな……。まぁテストこそ範囲も決まってるし、なせばなるでどうにかするしかないな。
っと帰る前に今日の呟きを確認してみるか。
頼もしい助っ人と来年度の作戦会議!
次の活動は定期テスト後だよ!!(部長 鈴木)
これ……本名出していくスタイルなんだな……。ご丁寧に俺と上田の手と机の紙だけ写ってマジで会議してる感は出てる。頼もしい助っ人……なのも、まぁその通りだしな。
これからは、これに続くように呟くのか……。ハードル高いぜ……。
私はツイートするタイプのSNSはやってませんからね。
この鈴木くんの気持ちはめっちゃわかります。
でも生徒会長こと上田さん、鈴木くんによると、とっても明るい雰囲気の人みたいですしね。こういわれちゃうと断れない部分はあるのかもしれないっすね~