「じゃーん!」
「Poppin'Party?」
「そう!有咲が考えてくれたの!」
沙綾の家に泊まった翌日、学校にバンドのポスターが張り出されていた。いつの間にやったんだ?
「や、山吹さんがいいって言うから」
「そうなのか?」
「うん、poppinって可愛くていいかなって。その時はまだpartyまではなかったけどね」
「そっか……ん?」
「優弥?」
ポスターに書かれてる名前……香澄、有咲、りみ、たえはわかるけどなんで……
「なぁ香澄?なんで俺がマネージャーになってるんだ?」
「みんな満場一致で賛成だよ!」
「俺の意思無視なのはこの際どうでもいい、どうせ香澄が言い出しっぺだろうし」
「えへへ〜よくおわかりで〜///」
「うん、照れる要素ないからな?マネージャーというよりサポートって感じでやるのは構わない。でも問題はそこじゃないんだよ」
「え?ちゃんとゆーくんだけじゃなくてさーやの名前も入れてあるよ」
「……え……あ、ほ、ほんとだ……」
「そこが問題だよ……」
「?」
なんか満場一致で俺がマネージャーになるの賛成されてたみたいだ。どうせ香澄だろって思ったら本当に香澄だった。でも俺が問題にしてるのは沙綾の名前が書かれてることだ。いつか一緒に歌うとは昨日約束してたけど、まだバンドグループに入るとは沙綾は一言も言っていない。つまり勝手に名前を入れてるってことだ。
「あ、ゆり先輩!」
「おい香澄!」
怒ろうとしたら香澄たちはグリグリを見つけてそっちに行ってしまい、俺と沙綾が残された。
「沙綾……」
「ほんと……香澄らしいね」
「怒っていいところだぞ?」
「そうなんだろうけど……悪気があるわけじゃないし」
「沙綾」
「……ナツ」
沙綾は優しいな。普通なら怒るところなのにさ、後で説教を……とでも思っていたら1人の女子生徒が沙綾に声をかけていた。どうやら知り合いみたいだ。
「なんか……久しぶりだね、同じ学校なのにおかしいけど」
「うん……」
「あ、バンドやるの!?よかった〜私たち「やらない!」……え」
「友達が間違って書いちゃったみたい……ごめんね」
「「沙綾!?」」
ポスターの件は間違って書いたとその子に説明したと思ったら走り出してしまった。
「……もしかして沙綾とバンドやってたって子?」
「知ってたの?沙綾がやってたこと……」
「そっか……そうだよ」
「まぁ今の会話からしたらそうだよな……ひとまず沙綾のことは今は任せてくれ」
「う、うん」
初対面の女子と少し話してから沙綾に追いかけた。中庭にいたからすぐ見つけられたのはラッキーだった。
「沙綾」
「ゆう……や?」
「いきなり走り出すから心配したぞ」
「ご、ごめん」
「いやまぁ謝るのは香澄の方だしいいけどさ、大丈夫か?」
沙綾が心配で追いかけて追いついたら謝られたけど……沙綾が謝ることじゃないんだよな〜
「うん……ナツに……あ、さっきの子なんだけど一緒にバンドやってたんだよね」
「追いかける前に聞いた。まぁ一緒にやってたってことだけだけどな」
「それでもうバンドはやるつもりなかったのにあんなふうに言われちゃったからつい……」
相当辛いことあったのかな?自分から話すまではこっちなら無理に聞くこともないか。どうしてもの時以外……
「私は大丈夫だから……先戻ってて」
「そんな泣きそうな顔してて先戻れるかよ」
「ちょっ!?優弥!?///」
「これなら誰にも見られなくて済むだろ」
「っ……うん///」
先戻って欲しいって言われたけど泣きそうになってるのに先戻れるわけない。抱きしめて他の人に見られないようにしてたけど……沙綾俺の胸で泣きながら耳まで赤くなってたな。落ち着いたら一緒に戻っていった。
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「あ、楽器店だ!寄っていこうよ」
「ちょまっ!?誰も何も言ってないのに先に入るな!?」
帰り道に楽器店の前を通ると、いつも通り香澄がみんなと違う行動をし始めた。有咲の言うことももっともだけど香澄にはそんな常識は効かない。
中に入るとグリグリのひなこ先輩がいた。するとよく分からないことを言い出し香澄もそれに乗っかった。声が小さいと言われて大きくしたら「お店に迷惑だー!」って言い出したけど先輩……あんたも充分迷惑だからな?
「市ヶ谷さん?」
「え!?んん、……ごきげんよう」
あ、さっきのやつか。つーかごきげんよう?
「ごきげんよう?」
「お前じゃねえ!?……はっ!?」
「ふふふ、市ヶ谷さんそっちが素なんだね」
「逆にクラスだとこんな感じなのか?」
「あ、さっきの!そうだよ〜」
意外……でもないか、有咲なら普段は猫かぶっててもおかしくないな。ちなみに有咲と同じクラスのこの子は海野夏希って言うみたいだ。
「ゆーくんさっきのってなんのこと!!」
「どうした香澄?」
「私も気になる、なんのことだ?」
「香澄と違って常識人の有咲まで!?どうしたんだ2人とも!?」
2人ともほんといきなりどうしたんだ?
「ただポスターの前でお前らがゆり先輩のところに行った後に会っただけだぞ?」
「そうだね」
「「なぁんだ〜」」
こいつらなんだと思ったんだ?
「そうだ!ひなちゃん先輩だ!」
「私がどうしたの?」
いきなりなんだ?香澄のことだからよからぬことを考えてるんだろうけど……
「ドラムひなちゃん先輩にやってもらおうよ!」
「もらおうよってお前な〜」
「いいよ〜」
「いやいいのかよ!?」
「って言いたいけど……君たちの周りには私よりいい人がいると思うけどな〜ねぇなっちゃん」
俺たちの周りにいる……それって
「もしかして……ドラムやってたのか」
「パートは知らなかったんだね、うん。沙綾……ドラムだったよ」
「「「「えぇ!?」」」」
やっぱりか、他に俺たちの周りで関わってる人思い浮かばないからな。沙綾だと思ったよ……
「ちょっとゆーくん!?なんでさーやのこと教えてくれなかったの!?」
「沙綾……話したくなさそうだったからだよ。だからバンドやってたことしか知らないし、パートもやめた理由は俺も知らない。話したくないことを無理矢理聞きたくもないからな」
「むぅ〜あ、なっちゃんなら…」
「…………わかった、そっちに座ろっか」
「いいのか?」
「うん……多分この子……無理矢理聞きそうじゃない?」
「「たしかに……」」
「ゆーくん!?有咲まで……」
案の定沙綾がバンドやってたことを俺が知ってたと分かると問い詰めようとしてきた。まぁ俺もやってたことしか知らなかったんだけどな。夏希(お互い挨拶したら夏希でいいと言われた)が話してくれるみたいだ。
「私もね、沙綾がやめた理由まではわからないんだ、言ってくれないから……私たちは4人で楽しくバンドやってたの。それでとあるライブが始まる前に沙綾のお母さんが倒れちゃって……お母さんは命に別状はなかったけどその後からだったかな。沙綾……早く帰るようになったのは……」
親が倒れたらそりゃあ心配になるよな……純君も紗南ちゃんもまだ対応できる年頃じゃないし……
「それで何日かした後に沙綾から突然やめるって……理由は言ってくれなかったけど私たちも止められなかった……」
「そっか……夏希もやめた理由知らないのか」
「うん……」
「まぁ親の体調が原因って予想はできるけど……多分それだけじゃないだろうな。誰にも言えない気持ちもあったんだと思う」
「そう……かもね。山本君、沙綾のこと……お願いね」
「俺か…まぁ、あいつが話してくれるなら俺も何か行動起こすかもだけど…俺からなんでやめたのかとか聞かないからな?夏希からドラムやってたことを聞いた…とは言っておくかもだけど」
「うん、それでいい。他の人に話してなかったのに山本君にはバンドやってたこと話してたみたいだからね。もしかしたら話してくれるかも……」
話してくれたって言うよりは俺が様子おかしいのに気が付いて俺から聞いただけなんだよな……やってたかどうかだけだけど……
夏希から聞けることは聞いておいて俺たちは店をあとにした。蔵に行ってライブの練習を……と思っていたら香澄が突然走り出していった。多分沙綾の家だろうから有咲とりみとたえと一緒に俺たちも向かうことにした。
今回はここまで、次回までお楽しみに。
そして高評価をしてくださった
むら24さん
ありがとうございます。