「すまなかったね」
「え?なんでオーナーが謝ってるんですか?」
「実はね…」
香澄が歌えなくなったことでオーディションは辞退、みんなで出ていこうとしたらオーナーに俺だけ呼び止められた。みんなを先に受け付けで待たせて話を聞こうとするといきなり謝られた。
実は何日か前の夜に香澄が1人でここに来ていたらしい。その時にオーナーが香澄に
「見えてないよ。周りも、自分も、あんたが1番できてなかった」
と言っていたみたいだ。そのせいで歌えなくなったのかとオーナーは思ったようだ。
「別にオーナーが謝ることじゃないですよ。遅かれ早かれ気付くことになる……と思ってましたし。それが早かっただけです。教えてくれてありがとうございます」
「あの子の声が戻ったらまた受けに来るのかい?」
「そのつもりですけどね、まぁあいつら次第です。それじゃあ失礼します」
オーナーから前に香澄と話したことを教えてもらった後みんなを待たせている受け付けに戻った。みんな落ち込んでいるが香澄は特に酷かった。
「お待たせ、帰るか。香澄は俺が送ってくよ」
「オーナーとの話はなんだったんだ?」
「それはまた今度、今は帰ろう」
有咲にオーナーとの話のことを聞かれたけど今度話すことにした。今言ったらまずい気もするし……
-----香澄の家-----
「お邪魔します」
香澄を送った俺はこのまま香澄の家に上がらせてもらった。声が出なくなったことは俺から話していいと香澄に許可もらったからだ。ただ……中から反応がないけど誰もいないのか?
「うわぁ!?お姉ちゃん足音立ててよ!?」
明日香ちゃんの驚いた声が聞こえた。たしかに静かに歩いてたな。自分の部屋に戻っていくのを見て俺は明日香ちゃんたちがいるところに向かった。
「こんばんは」
「ゆー兄!?」
「あら優弥君、いらっしゃい」
「ちょっと香澄のことで話があって来ました」
香澄の母さんと明日香ちゃんに今日オーディションで起こったことを伝えると2人ともびっくりした。まぁ当然か、オーディション前まで普通に話してた俺たちでも驚いていたんだから。
「それで香澄練習のしすぎとかありましたか?」
「私はどれくらいが練習しすぎっていうのは分からないわね、ギターの音は聞こえてたけど……」
「私お姉ちゃんの部屋の隣だけど歌いすぎってことはなかったかな、ギターはよく弾いてたけど」
「そっか、ありがとう明日香ちゃん。そうなると原因は別にあるのか……」
とりあえず練習のしすぎではなかったみたいだ。そうなると原因は何か考える必要は出てくるけど…
「ごめんなさいね?香澄のことで迷惑かけて…」
「いえいえ、練習のしすぎじゃないってことは何か原因があったはずです。それに気付けなくてこちらこそ申し訳ないです」
「優弥君が気にすることじゃないわ」
「そうだよゆー兄!早くお姉ちゃんの声戻るといいけど…」
「そうだな、バンドのこと関係なしに早く戻って欲しいな。静かな香澄は香澄らしくないし」
「「たしかに…」」
わぁ〜2人に納得された〜
でもみんな思ってるし仕方ない。とりあえず香澄は明日病院に行ってから学校に行くことになった。病院の方は香澄の母さんに任せるしかないか。
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「香澄どうだった?」
「病院行ってから来るし来てからじゃないとなんとも……ただ歌いすぎて声が出なくなったわけじゃなさそうだ。家と蔵以外で声出すような練習してなければだけど」
「そう…」
「あ、香澄ちゃん…」
香澄のことが心配でみんな階段に集まっている。香澄が来ないと状態が分からないから今はなんとも言えないな。
すると香澄がちょうど来たみたいだ。
「馬鹿!声出るまで練習すんなよ!歌えなくなったら意味ねぇじゃん!」
「有咲…」
「っ…」
「いやいや!?今歌いすぎじゃないって言ってたばっかだろ!?」
「わ、悪い…」
さっき歌いすぎじゃないって言ったんだけどな…まぁそれだけ香澄を心配してるってことか。
「とにかく香澄は治るまで練習の参加は禁止な!」
「……ぇ」
「ギターだけならって思うかもだけど今は休め。家で少しくらいなら弾いてもいいけど歌の練習は絶対ダメだ。いいな?」
厳しい言い方をしたかもしれないけど香澄は俺が言ったことに対して頷いた。香澄なら守ってくれるって思うし大丈夫だろ……真っ直ぐ帰るか別として……
その日の放課後明日香ちゃんから電話が来て水泳部のところにいるって聞いた。真っ直ぐは帰らないとは思ったけどまさか水泳部の方に行ってたとは……ゆり先輩と話したみたいだけど何話したか今度ゆり先輩に聞いてみるか。何か香澄のためにできることあるかもしれないし……
今回はここで終わりにします。次回までお楽しみに。