陰キャ配信者の私が魔王とコラボ動画を撮る事になりました。   作:パトラッシュS

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勇者カッピー山に登る。

 

 

 さて、それから二日経ちました。

 

 私達は山越えに必要なものを買い揃える事ができ、後はこのデカくて長い山道を越えていくだけとなりました。

 

 しかしながらそびえ立つグラナダ山はデカい、本当にこんな山越えられるのかな?

 

 

「カッピー、原付バイクとキャンピングカーどうする?」

「とりあえず、便利なポケットを視聴者さんに頂いたのでそれに収納していこうかなと…」

「ポケットに収納なんてできるのか…」

 

『未来型カッピー』

『なお机の中に引きこもる模様』

『アカン』

 

 

 コメント欄で視聴者の人達が何か言ってますが、敢えてスルーします。敢えてね。

 

 まあ、そんな訳で、今日から山登りするんですけど、身体が持つか不安ですね。というか足がそもそも持たない気がするんですがそれは。

 

 登山用リュックと防寒着を身につけた私達はひとまず、道案内役の方に連れられて山を登っていきます。

 

 それから大体、2時間後。

 

 

「ハァ…ハァ…つ、辛い…」

「酸素が薄くなるからね…」

「話すと余計に…ハァ…ハァ…疲れるぞ…」

 

 

 時には獣道を通り、道無き道を行きます。

 

 冒険家になったみたいですね、もう私は家に帰りたくなってます。

 

 帰りは山越えは無しの方向でいきましょう、てか、そもそも回り道していけばよかったんじゃないかと今更ながら思いますね。

 

 さて、しばらくすると川が見えてきました。とりあえずここで一旦休憩するようです。

 

 

「見て見て、足がパンパンになっちゃったよ」

「先はまだ長いからな、しかも序盤も序盤だ」

「足が浮腫まなきゃ良いけど…」

 

『ふぉおお! 生足だぜぇ!』

『女の子の足は良いものだ』

『山はねぇ…なかなか大変』

 

 

 山をひたすら登る映像なんて変わり映えしませんからね。

 

 たまに動物とかは見かけましたけど、道中にモンスターとかから襲われないように道案内の方が安全な道を先導して教えてくれます。

 

 私達だけで山越えしようとしたらえらい目にあってたでしょうね。

 

 グラナダ山の奥にはベヒーモスと呼ばれる重量級の魔物なんかも生息してるみたいですし、コボルトとかたまにオーク、ゴブリンなんかも森で彷徨うと遭遇してしまうそうです。

 

 女の子だけで登っては大変危険なので、皆さんも道案内さんをつける事をおすすめします。

 

 さて、ここからはダイジェスト!

 

 私達はひとまず、休憩を終えてから改めて登山を再開させました。

 

 大体、3時間くらい歩くと雪景色が見えてきます。山の上の方まできた証拠ですね。

 

 ただし、天候によっては引き返す事も全然あると言われてましたので、私達はどちらかというと運がいい方だと思います。

 

 そこから、日が暮れてくるまで歩き続け、今晩は降りに差し掛かった雪山でテントを張って寝ることになりました。

 

 

「うわぁ! 見て見て! 星がめちゃくちゃ綺麗!」

「雲が掛かっていて絶景だな」

「キヌッターに上げよう!」

 

『すげー!』

『山の上って良いなぁ』

『写真欲しいわ』

 

 

 視聴者さんも大満足の景色を堪能した私達でしたが、しかしながら足はパンパンです。

 

 普段から、山なんて登りませんからね、途中で投げ出しそうになりましたし、心が何度か折れかかりましたけど、皆がいてくれたのでここまで登る事ができました。

 

 引きこもりだった私だけど、こんな事ができたんですね、生きていてよかったと心からそう思います。

 

 さて、その後は晩ご飯を皆で身体を寄せ合いながら食べて、翌朝に備えます。

 

 山の上は酸素が薄いし、お腹いっぱい食べると高山病になるので腹八分目にしておかないといけないみたいです。

 

 今のところみんな無事ですけどね、体力を早く回復しとかないと。

 

 それから翌朝になり、私達は山を降りはじめます。

 

 

「降るのは少し楽かも」

「けど、足に負担が掛かるのって降りらしいよ?」

 

『へー知らなかった』

『踏ん張って体重支えるからなぁ』

『なるほど』

 

 

 意外と知らない豆知識なんかも山登りの経験を経て学んだりできましたから良い勉強になりますよね。

 

 降りをスイスイと降りていくと、道案内さんが指をさしてくれます。その指の先には街が見えてきました。

 

 マウンテンパレスの反対側の街ですね、こちらもマウンテンパレスって名前なんですけども、大体、山越えする人はこの街を利用して身体を休めてから再び冒険に繰り出すとか。

 

 まあ、一晩、山で寝泊りした私達でしたが、さすがに体力の限界でした。

 

 だいたい、10時間以上は山に登ってましたからね、そりゃきついよね、私なんて途中、力尽きて倒れそうになってましたもの。

 

 そんな時、私を助けてくれたのはシーちゃんでした。 

 

 

「ほらもう少しだ、頑張れ」

「あぅー…」

 

『カッピーダウン』

『まあ、仕方ないね』

 

 

 昔に山を登った経験から慣れてると自信満々に言ってくる彼女があの時ほど頼もしく映るとは思いもしませんでしたね。

 

 さて、それじゃようやく宿についた私達なんですけど、風呂に入ってリフレッシュした後にそのままバタンキューと皆、ご飯も摂らずに就寝してしまいました。

 

 いやー山はすごかった。撮影してましたけど、途中でやめましたもんね。

 

 話す気力すら残ってなかった。

 

 皆さん、山登りにはまず体力作りを毎日欠かさず行いましょう。じゃないと私達みたいになりますよ?


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