出久×爆豪っぽいような、爆豪×出久のような、どっちでもないような?
『このままでいい』 ←
「……デク。」
「かっちゃん…。」
「…別に。いいぜ。」
「へっ?」
思わぬ答えに、出久はキョトンとした。
「なあ、こんな話もしたぜ。脳の手術をした男が、ロボットの心を持ってしまって、ロボットしか正常な人間に見えなくなっちまうって話。あれ、俺そっくりじゃね? 肉かロボットの違いだ。でよぉ、その話じゃ、最後には男は人間じゃなくなることを選んで、恋をした相手のロボットと一緒になったんだ。クソ甘ったるくて苦いハッピーエンドてやつだぜ。」
「いいの…?」
「ああ?」
「かっちゃん…、普通の生活に戻らなくていいの? たくさんの人達が待っててくれているのに?」
「どーせ俺の強個性だのなんだのに取り寄ってくるブンブンうるせーハエみたいなもんだ。あ、もしかしたら、だから気色の悪ぃ肉に見えてんのかもな? 内面がそーだからよぉ。」
「そんなことないはずだよ。」
「てめー、デク、なんでそんなアイツらの肩を持つんだ?」
「だって…。」
「テメーの正体…、だいたい把握は出来てきてんだよ。」
「えっ。」
「なんでお前だけが肉の連中と違って、逆に人間に見えるのか……。さっき話した、ロボットしか人間に見えなくなっちまった男と同じなら……。」
「それは…。ごめん…。」
「なんで謝る?」
「だって……だって…。」
出久は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「デク。」
「わっ!」
そんな出久の腕を掴んで引っ張り寄せた。
ぴったりと身体が重なり、出久の匂いや感触がする。まるでそれを味わうように、勝己は出久の肩に顔を埋めた。
「かっちゃん?」
「…泣くな。」
「………かっちゃんの馬鹿。馬鹿だよ。」
「あぁ? 二回も言いやがったな!」
「だって……、自分がなにをやったのか分かってるの? なにを捨てて、なにを選んだのか分かってるの? 僕はただ……。」
「で?」
「えっ?」
「お前がどーしたい? お前の気持ちはなにも聞いてねーぞ? 教えろ。」
「えっ…、僕の気持ち?」
「どーなんだ? 俺とこうしてて、嫌か?」
「それは……。」
「嫌ならとっくに離れてるだろ?」
「だって、だって…、かっちゃん…。」
「ん?」
「こんな…イイ匂いさせてたら…我慢できなくなる…。」
「いいぜ。」
「へ?」
「お前の好きにしろ。俺をお前に捧げていいぜ。」
「かっちゃん!」
「お前に会ってから、ずっと考えてたんだぜ? 一生掛けてでも恩返ししようってな。ったく、ここまで俺に言わせんだ。やりたいなら、とっととやれ!」
「だいじょうぶだよ。」
「あぁ?」
「欲しいのは……、個性という特殊能力を発現させることができる、遺伝子情報だから。」
「むっ…。」
次の瞬間、出久の唇と勝己の唇が重ねられていた。
しかし、勝己は少しも嫌な気持ちにはならなかった。
「……遺伝子の一部を照合判定できる…粘膜で十分。」
「ん…。」
再び重ねられた唇の隙間から、出久の舌が入って来て、口を開けた勝己は、好きにさせた。
出久の舌が異様に長いような気がしたが、さしたる問題じゃない。
少しして、お互いの唾液がツーと糸を引きながら、唇が離れていった。
「ありがとう…、かっちゃん。これで…。」
「それだけでいいのかよ?」
「欲しかったのは、個性っていう特殊能力の構造とか…そういうのを人体と結びつけている橋渡しの部分だけだったんだ。だから、これでいいんだよ。基本となる設計図は手に入ってたし。」
「ああ? お前…まさか、俺以外ともこういうことしてたのか?」
「えっ? 違うよ! 了承を得てこんなことしたのは、後にも先にもかっちゃんだけ!」
「ほー? 了承したのはね~。じゃあ、了承無しってのは、あったわけだ?」
「えーと…、死にたてとか…、死ぬ寸前だとか…、そういう時って、ホラ…、種族を残そうとして…。ココが…。」
「っ!」
出久が不意に、勝己の下腹部の……アレを布越しに触った。
「あれ? かっちゃん?」
「言うな!」
「あの…、硬くなって……。」
「うるせーうるせー!」
あっという間に顔真っ赤かになった勝己は、ギャーギャー怒った。
「わ、若いもんねー…、まだ14歳だもんね…。しかもずっと寝たきりだったし…。そりゃそうか…。」
「だーまーれー!!」
「可愛い。」
「うるせーうるせー!」
クスクスとイタズラっぽく、けれどどこか恥ずかしそうに笑う出久に、真っ赤っかの勝己は、ギャーギャー怒り続けた。
すると、不意に、出久が、ウッと呻いた。
「どうした!?」
「ごめん…。なんでもない…。ちょっと、今のですべてのピースが揃ったからかな?」
「揃った?」
「ここ、触ってみて。」
「? ……!」
「分かる? 君の遺伝子をもらって、ついに胎動を始めたんだ。これが生まれるとき…、世界は、きっとかっちゃんにとって、とてもとても綺麗になるはずだよ。僕らの世界が……、始まるんだ。」
「俺らの、世界?」
「そう……、僕はそのために来た。それが僕の使命。」
「…どうなるんだ?」
「どうなるんだろうね? その先のことは…、そうなってみないと分からないよ。でも、君がもうひとりぼっちでいる必要はなくなるんじゃないかな?」
「デクは、どうなる?」
「僕は……。」
すると、ピピピっと音が鳴った。
「あ、お父さんからだ。」
携帯端末を取り出した出久は、画面を確認した。
「……マズいかも。」
「どうした?」
「お父さんのこと…、ヒーローが嗅ぎつけたみたい。」
「ああ?」
「前々から怪しまれてたけど、とうとうバレそうなんだ。僕のことも……。」
「はっ?」
「僕の子供が生まれるのが早いか…、それともヒーローが来るのが早いか…。分からないなぁ。」
「…ヒーローがお前を?」
「見つかったら、僕は殺される。」
「なっ!?」
いきなり物騒な言葉が出てきて、さすがの勝己も驚愕した。
「僕は、ヴィランじゃないけど、世界を滅ぼす存在として駆除されるんだ。」
「そんなこと…。」
「僕はね…。そういう存在なんだ。君だって分かってるはずだよ。かっちゃん。」
「っ……!」
「だから…、君を巻き込みたくは…、わっ!」
「ふざけんな!」
出久を勝己が両腕で抱きしめた。まるで二度と放さないとばかりに。
「ふざけるな…ふざけるな…ふざけるな! そんなことあっていいはずがねぇ! 俺が許さねぇ! ヒーローがなんだ! お前を殺そうとするんなら、俺が許さねぇ!」
「い、痛いよ…。」
「絶対に絶対にだ! 俺がお前を…。」
「ありがとう…。かっちゃん…。」
「俺の前からいなくならないでくれ……、頼む…!」
「分かったよ…。だいじょうぶ。」
「?」
「放して。だいじょうぶだから。」
「嫌だ!」
「もう…。だいじょうぶだよ。僕はずっとかっちゃんといるからさ。」
「デク…。」
「必ず…一緒にいるよ。約束する。」
「……デク。」
今度は、勝己の方から出久の唇に唇を重ねた。
二人だけの世界。
それは、ささやかだが、希望であり、人類にとっては大きな絶望への道。
沙耶の唄では、精子が人間の設計図で、それを沙耶が取り込むことで、地球で最も人間を知るに至っています。
ここでは、一応友情以上恋人未満ぐらいを目指しているので、その辺は省きました。
なので、出久は食料として食べていたモノ(死体や死にかけの人間)から設計図を得ていたけど、最後のピースとなる個性という特殊能力の優れた遺伝子が必要だったんですが、それを爆豪からもらうことで達成。
さて次回辺りで、最後の分岐ですね。
光己さんに、耕司役をやってもらおうかな?
井戸には落としませんよ?
ただオールマイトなどに連絡するかどうかを決める役をします。(ゲームにおける重要分岐)