『デクの唄』 ヒロアカで、沙耶の唄パロ?   作:蜜柑ブタ

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エンド、二つ目。


オールマイトが出久(ここでは肉塊生物)を潰すというショッキングなことが起こっています。

あと、爆豪も……。


注意!!


※2020/04/22
文章を一部書き換え。


エンド2  希望は断たれて…

 『言う』 ←

 

 

 

 オールマイトが直接電話口に出ている。

 光己は、事の重大さを理解した。

 勝己の様子がおかしいことは分かっていた。だがそれが直接事件に関わっているのかどうかは分からない。

 もし…、もし、息子の異変が事件に関わることであったのなら……。

 光紀は、やがて決断した。

 

「息子の…、勝己の様子がおかしくって…。」

『それは、どのように?』

「あの子は、今、病院に入院しています。個性を暴走させた結果、脳に大きな傷を負ってしまったのです。最先端医療技術を誇る緑谷病院で手術を……、回復は絶望的でしたが、けれど、奇跡的に回復し、意識を取り戻しましたが…、それからがおかしくって…。」

『そのようなことが…。では、どのようにおかしくなったと?』

「まるで私達のことを化け物だと思っているみたいに、最初暴れて、それ以来、急にご飯を食べなくなったり、食べたと思ってもあまり食べてなくて、でも不思議と太ってきて…、急に、無口になりました。私のことを全然見ないんです。放っておいてくれと、怒鳴りつけられたこともありました。あれ以来です。」

『そうでしたか…。』

「あの…事件とはいったい? あの子が危ないのですか?」

『それは…、申し訳ないが、口外する案件ではないのです。すべてが終わり次第、あなたに報告を。そしてあなたの息子さんを必ず。』

「お願いします! 勝己を、どうか…。」

 光己はいつの間にか涙をにじませ、受話器を握りしめていた。

 そうして話を終えた後、光己はその場に膝をついて、両手で顔を覆って泣いた。

 

 

 光己の言葉が決定打となり、緑谷病院への捜査のメスを入れる礼状が発行され、すぐにオールマイト始めとしたヒーローや警察機動隊、そして政府が派遣した後始末人達が終結することとなる。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 緑谷医院長からのメールを受け取ってから、出久は、勝己に肩を貸して歩いていた。

「ねえ、かっちゃん、無理しちゃダメだよ。」

「ダメだ…。俺が守るんだからな。」

「でも…。」

「お前だって辛いだろ?」

「うっ…。」

 そう、胎動する熱に徐々に出久は弱ってきていた。それもこの数十分の間である。

 空が見える場所に行きたい。そう願った出久が病院の屋上を目指そうとしたので、勝己もついていくと言って聞かなかったのだ。

「俺だって…、見守りてーよ。お前の子供…、もうすぐ生まれるんだろ?」

「うん…。」

「そんで…、俺達の世界が始まるんなら…、見届けたいぜ。」

「うん、うん…、かっちゃん。ありがとう。」

「もう少しだ…。」

「うん!」

 勝己はそう言って笑い、出久も笑った。

 

 その時だった。

 

 緑谷医院長が現れた。

 

「父さん!」

「早く行きなさい! きざしが来たのだろう!」

「どうしてそれを?」

「ヒーローと警察がここを包囲した! 急ぎなさい!」

「えっ!?」

「なにぃ!? もう!?」

「早く行くんだ! 私が時間を稼ぐ。」

「う、うん。分かった。」

 二人は、辛い身体を引きずって必死に急いだ。

 

 やがて屋上の扉を開き、夜空が広がる空を見上げた。

 

「外だな…。」

「うん…。あっ、ホントだ。あれ、ヒーローや警察だよ。」

 屋上から見渡せる風景で出久が顔を歪めた。

「うぅ…。」

「デク!」

「だいじょうぶ…。あと、少し…、あと少し…。」

 

 

「私が来た!」

 

 

「!」

 その台詞を聞いて、そして今まで見たことがない肉塊に勝己は、オールマイトが来たのだと理解した。

「少年…、ソレから、離れるんだ!」

「うおおおおおおおおおお!!」

 近寄ろうとしてくるオールマイトにまったく手加減なしで、勝己は爆発の個性を放った。

 オールマイトが後方に飛ぶ。

「少年!」

「近づくな! デクに近づくな!」

「でく? まさか、ソレが、出久か?」

「近づくな、近づくな近づくな!!」

 とにかく近寄らせまいと勝己は、メチャクチャに爆発を放つ。

「少年! まだ君は戻れる!」

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 勝己は、まともにリハビリをしていない身体に鞭を打って必死に爆発を放ち続けた。

 オールマイトは、爆発を回避しながら、気づいた。

 出久と思しき、物体の身体がモゴモゴと蠢いており、何かが起ころうとしているのを直感した。

「くっ!」

 脳裏に、あの政府の男の言葉が過ぎった。

 

 爆豪勝己は、助からない。

 あなたが、やるべきことは、“駆除”だ。

 

 あんな存在を必死に守る少年の姿は、もはや正気とは思えない。だがオールマイトの目から見て、勝己はあくまで自身が信じるモノを守ろうとしているだけのようにしか見えない。

「許せ!!」

「ハッ! デクゥウウウウウウウウウウ!!」

 一瞬の隙をついて、爆発の隙間を縫って移動したオールマイトが出久に接近した。

 そして緑の光を纏った拳が、出久の身体を半分砕いた。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「少年?」

 後ろから上がった絶望の叫び声に、振り返ったオールマイトが見たのは、頭を抱えてこの世の終わりだとばかりに顔から出る体液を全部出して叫ぶ、爆豪勝己の姿だった。

「うああああああああああああああああ、うあああああああああああああああぁあああぁああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 まさに発狂。

 そして、勝己は、首に両手を置いた。

「やめろ!!」

 オールマイトがそれに気づいた瞬間、両手から爆発が起こり、勝己の頭部が首ごと消えた。

 ドシャリと倒れ、大量の血が屋上のコンクリートに流れ出た。

 

『ァァアア…、がっちゃん……。かっ…ちゃ……。』

 

 半分砕けた身体で、出久がズルズルと、勝己に手を伸ばそうとする。

「くっ…、まだか…。少年に触れるな!」

 不快な異音を発するソレを、オールマイトは個性を使い再び殴り潰した。

 しかしそれでも手が伸ばされ、勝己の手に触れた瞬間、出久は、もう動かなくなった。

 

 

 

 

「出久……。」

 

 

 取り押さえられ、病院から引きずり出された緑谷医院長は、屋上を見上げ、息子の名を呟いた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 真っ白な部屋で、緑谷医院長…、いや元医院長は喋っていた。

 知っていること、そして今までやってきたこと、そして出久のこと。すべてを。

「……いい加減本当のことを喋って貰いたいのだがね?」

「何度も言いますが、私は真実のみを語っていますよ? 勝手にそちらが嘘だと断じているだけでは?」

「貴様…。」

「まったく…、これだから頭の硬い人間は…。でもお話を聞きたいのなら何度でも喋って差し上げますよ?」

「もういい…。」

 痺れを切らした取り調べ人は、舌打ち混じりにそう言って去って行った。

 しばらくして、オールマイトが入って来た。

「おや、平和の象徴殿が直接?」

「君はなぜ…出久という存在を?」

「……あなたは、ずいぶんと精神が強靱な方だ。まともな感性を持っていないのでしょうか? 出久を見てそのように落ち着いているなんて。私以外にいるとは思いませんでしたね。」

「答えてくれないか? なぜ、出久という存在を召喚したのかね?」

「ふふ……、単純な話ですよ。つまらなかったからですよ。」

「つまらなかった? 病院の医院長という立場で、多くの人々を救える立場でありながら?」

「病院の医院長なったのも、そもそも医者になったのも単なる成り行きですよ。あなたには分からないでしょうね。では、なぜ出久を育てていたのか……、とてもとても簡単な話だ。私はね、見たかったんですよ。あの子が…あの子達の作り上げる新しい世界を……。」

「そのために、侵略型の異界の生物に多くの知識を与えて、準備させたのか? この地球を奪わせるために。」

「そう捉えることもできますね。私にとって、あくまで新しい世界さえ見れれば、そのために出る犠牲などどうでもよかったのです。」

「そんなつまらない理由で…。」

「ええ、つまらないでしょうね? でも私にとっては、あの子はそれだけの存在だったのです。私が、始めて…この世に価値を見出せた、唯一の……。なのに、あなたがそれを潰してしまった。」

「私は、ただ世界のために。」

「ええ。あなたは間違ってはいない。けれど、正解でもない。私は、そう考えます。少なくとも、爆豪勝己くんは、あなたを恨んでいるでしょうね。」

「……なぜあの少年だったのだ?」

「さあ? それは運命か…、本当に偶然なのか…。分かりません。でも、二人は出会えた。出会うことが出来た。出久はとても優しい子だったから、勝己くんを救いたいと言っていました。自分に出来ることを使って…。」

「そんなことが…。」

「できないと? あなたは、何も知らない。そして、私は知っている。爆豪勝己くんが、世界をどう見ていたのかを。まるでパンドーラの箱のように箱の中に残った一欠片の希望のように、出久を見ていたことも。」

「少年は…、何を見て、感じていたのだろうか?」

「まるで汚物をぶちまけ、あらゆる知的生命体が内包する狂気そのもののように歪んだ世界ですよ。気になるなら、私の書斎の金庫に入れておいた、生物の見えるモノを写真に投射する個性の方が撮ってくれた写真をお見せしますよ? ちなみに、その写真を撮った後、その方は発狂されましたね。出久のご飯になってもらいました。」

「……そうか。では、私はそろそろ…。」

「また記者会見ですか? 大変ですね。爆豪勝己くんの死で世間が大騒ぎになってるそうですね?」

「誰からソレを?」

「ちょっと小耳挟みまして。これでも一応は病院を治める医院長でしたから。それで? お母様にはどう説明されたのです? 自殺したことは話したのですか?」

「……。」

「聞き入れてもらえませんでしたか。現場検証と検死をすればすぐに死因も分かるでしょうに。政府は大衆の力を見誤っている。噂はどこまでも広がる。まるで伝染病のように。そうなっては、もう手遅れだ。下手に現場を消したことが裏目に出たのでしょうね。」

「……では…、さらばだ。」

「さようなら。」

 緑谷は、クスクスと笑いながら、オールマイトを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ED2  希望は断たれて…

 




原作ゲーでは、液体窒素とショットガンを使って退治してますが、オールマイトは力押しでぶっ潰しました……。

郁紀と違って、爆豪は出久という希望を失って発狂。
そして自殺。まあ、自殺という点では、郁紀と同じですが……。

オールマイトは、善の狂人であるため、出久を見ても発狂は免れました、ということにしました。
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