『デクの唄』 ヒロアカで、沙耶の唄パロ?   作:蜜柑ブタ

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爆豪、ぷっつん。


そして、そんな彼に手を差し伸べる、緑谷医院長。


SS4  地獄に仏(?)

 出久からまともな美味い食事を貰える夜を楽しみに、爆豪は日中を耐え忍んだ。

 ちゃんと食べられる物があるのだと理解してから、肉塊共を騙すために、のどや胃が拒絶する食い物には程遠い汚物を必死に食べた。

 やっと食べてくれるようなったと、肉塊共が喜んでいるようにしているので、爆豪は必死に作り笑いを浮かべた。自分で言うのも何だが、馬鹿正直な自分が、ここまで嘘つきになれるものなのだなぁっと我ながら感心したものだ。だが生きるために必死だから必然的に演技力が身についたのだろう。

 しかし、あまりにも愛想笑いをするものだから、親らしき肉塊共が、不信に思っていたのにはすぐ気づいた。

 あなた最近、おかしいわよ?っと言われたような気がした。

「そんなことねーよ。」

 そう答えたが、しつこく何かおかしなことでもあったの? どこか変なの? おかしいと思うならすぐ言いなさいっと言われ続けた。爆豪にとっては耳障りすぎる鳴き声で。

 心配なのだろうが、しつこい。そして耳が……。

 勝己、聞いてるの!?っと、不快な触り心地しかないグチョグチョの手で肩を掴まれた瞬間、爆豪の中で何かがキレた。

「しつけーんだよ!」

 出久との交流で発散していたにも関わらず、一瞬で溜まってしまったストレスが爆発した。

「だいじょうぶだって言ってんだろうが! クソが! さっきからずっと何度も言ってんだろ! だいじょうぶだってなぁ! なのに聞いてるかだと!? 聞いてやってんだゴラァ!」

 血を吐くような勢いと大声で叫んでいた。

「てめーは、俺のためとか言ってんだろうけどよぉ! 俺にはいらねーんだよ! その気遣いがよぉ! 俺のことを思うんなら、放っておいてくれ!」

『ゾ…ぞ※な…。』

 そこまで吐き出して、爆豪はハッと我に返った。

「あっ……。」

 けれど、もう訂正できない。うまく言葉が出ない。

 すると、そこへ病室に入ってきた肉塊がひとり。

 愕然としている母親らしき肉塊に、何か喋っている。そして二人は病室から退室した。

 そしてしばらくして、母親は入って来ず、その新しい肉塊の方が入って来た。

『勝己ぐン。』

「……あ?」

『どう§。出久の、父でズ。』

「!」

 出久。そう言ったのだ。ほとんど他の肉塊共と変わらない不快な声だが、ハッキリそこだけは聞き取れた。

 出久の父親。つまりこの病院の医院長。

『出久から、バナしは、聞★るヨ。』

 話したのか。出久は、自分のことを。

「それで……?」

 ああ、いよいよ精神病棟行きかっと諦めにも似た感情があふれてくる。

 だが、思っていたことにはならなかった。

 出久の父親は、四角く平たい物を取り出し、そこに何かを書き始める。

 肉の板の上に書かれた物を見せてくる。爆豪の反応を確認するようにしながら、何度も書いた物を消して書いてを繰り返し…やがて…。

 

 字が…、読めた。

 

「……なっ…。」

『読めダ、ネ?』

 そこからは、爆豪にとって久しぶりに見る正常な文字で筆談が始まった。

 

 

 君のことは、出久から聞いている。

 出久がお世話になっていて、君との交流をとても楽しそうに話していたよ。

 父である私としては、とても嬉しい限りだ。

 あの子は、とても寂しがり屋で、優しい子だ。できたらこれからも仲良くして欲しい。

 

 

「そりゃ…もちろん……。アイツのおかげで…、俺は…。」

 

 

 君が嫌で無ければ、私はこれから君が無事に退院できるようサポートしたい。

 

 

「えっ?」

 

 

 今のままでは、君は永遠に病院の中だ。

 それは育ち盛りで将来のある君にはとても酷なことだ。

 そんな未来ある少年である君を、医者として見過ごせない。

 もちろん、君が嫌なら、私は。

 

 

「助けて…、くれるのか?」

 

 

 もちろんだ。

 先ほど君のお母さんと話をさせてもらったよ。

 意識が戻ってから、まるで人が変わってしまったみたいだって、泣いていた。

 君が正常あることを私が保証すれば、状況も変わるかもしれない。

 人間の身体や、精神を司る重要器官である脳の手術とは、時に人格や記憶障害を起こすことは少なくはないのだ。

 そういう理由付けをする証人がいれば、君を取り巻く環境の改善に繋がるかも知れない。

 どうだろう?

 

 

「助けてくれ!」

 爆豪は、気がつけば迷うことなく、そう懇願していた。

 

 

 分かった。

 では、これからは、出久だけじゃなく、出久を通じて私を頼ってくれたまえ。

 私の出来る範囲でだが、君のこれからの人生のサポートをしてあげよう。

 

 

 爆豪は気がつけば泣いていた。

 出久との出会いが、交流から、こんなことになるなんて…と。

 不快な肉塊だが、彼は自分の味方なのだと分かった。唯一人間に見える出久の父親なのに、他の連中と同じ肉塊であるのが気になるが、そんなことはどーでもいい。

 今は、ただこの地獄から脱出できる極楽から垂らされた蜘蛛の糸に縋る気持ちだった。

 

 

 その代わり。

 

 

「な、なんだ?」

 やはり見返りは必要だと我に返った。

 

 

 出久とこれからも仲良くしてくれると、約束してくれるかい?

 

 

「あ、当たり前だ! アイツは…。」

 

 

 そうならいいんだ。

 ありがとう。

 

 

 ブクブクと、出久の父親が不快な小さく笑った気がした。

 

 

 

 




なお、沙耶の唄では、奥涯は、行方不明者です。
奥涯の立ち位置になる緑谷医院長は、そう言う意味では捏造しました。


爆豪の母親に罪はありません。ただただ自分の息子が心配で、早く元気になって欲しいって思っていただけです。
もしかしたら、この状況だと……彼女が……?
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