Fate/if   作:大葉景華

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第三特異点 大海原への船出

まずい事になった……。 今回。 特異点が同時に二か所発見された。 キリシュタリアは今回二か所同時の攻略を提案した。 オルガマリー所長達はこれを承認。 第二特異点をキリシュタリアが、そしてこの第三特異点は俺が指揮を執って攻略する事になった。

 

「藤丸。 無事か?」

 

「ああ。 俺もマシュも無事だ」

 

今回、こっちにレイシフトしたのは四人。 俺とマシュ。 前回の戦いでアルトリアと戦闘において相性がいいと判断されたからかカドックが。 そして最後は

 

「私もいるわ。 これで全員無事にレイシフト成功ね」

 

最後のマスターはAチームのセイバーのマスター。 仮面のサーヴァントを連れてレフと戦ってくれたオフェリアだ。 腕を組み、きつい視線を俺に向けている。

前回と同じ様に霊脈を探す。 が、見渡すまでもなく俺たちがレイシフトしたのは小さな無人島。 島の径は数十メートル程の小さな島だった。

 

「さて……。 これからどうしようか

 

俺が皆に相談しようと一人ごちると、オフェリアがため息をつく。

 

「どうしようかって……。 貴方は一応こっちのリーダーなのでしょう? もっとしっかりしてくれないと困ります」

 

「うっ。 ごめんなさい」

 

思わず敬語になる。

 

とにかく、この島では霊脈の確保は難しいから、どこか別の島に渡る必要がある。 でも、船も何もない状態で海に出ようとするのは流石に無理がある。

どうしようかと悩んでいたら、水平線の彼方に船が見えた!

 

「あれ船じゃないか?」

 

俺が指さすと、三人もその方向を見る。

 

「……そのようね」

 

「乗せてもらえてくれないかな?」

 

「よし、マシュ。 僕の鞄を取ってくれ」

 

「はい、これですか?」

 

手渡されたカバンを漁り、発煙筒を取り出す。

 

「カドック。 それは何ですか?」

 

「発煙筒だ。 これで煙を出して周りに自分の位置を知らせるんだ」

 

「……魔術でいいのでは?」

 

「……」

 

カドックは無言で煙をつける。 しばらくして船もこちらに気が付いたのかこっちに進路を向ける。 程なくして船が島の近くで止まる。 俺が手を振りながら駆け寄ると、急にアルトリアが現れ、俺を後ろに投げ飛ばした!

 

「うわっ! アルトリア、何を!?」

 

俺の質問は銃声で返答された。 さっきまで俺がいた地点に銃弾が撃ち込まれている。

 

「な……」

 

「先輩! お怪我は?」

 

「ぼさっとするな! アナスタシア、防御!」

 

カドックの指示でアナスタシアが氷壁を張る。 その後ろに逃げ込みながら作戦会議をする。

 

「どうする? たぶん相手は人間だ。 どのサーヴァントが出ても一騎で制圧できるだろう」

 

「いや、でもこのまま戦ったら船が壊れちゃう。 それに、俺達だけじゃ船の操縦は出来ない」

 

「なら、カッドクのサーヴァントで船の周りを凍らせましょう。 そうして私達で何人かを打倒する。 そうして氷を溶かして欲しければ船に乗せろと交渉するのです」

 

オフェリアの提案に少し腕組をして考える。

 

「うん。 それしかなさそうだ。 ただし、殺すのは絶対にダメだ」

 

おれの言葉に全員が頷く。 そうして俺の合図でマシュ、アルトリア、オフェリアのセイバーが飛び出し、島に上陸しようとしていた海賊たちを数秒で捕らえる。

 

「動かないでください! 私たちはこれ以上危害を加えたくありません。 私たちの要求は私達をあなた達の船に乗せてもらいたいだけです」

 

その言葉を海賊たちはすぐに受け入れ、数分後には海賊たちの船の上で潮風を浴びていた。 俺たちは船室の一つを借りて、カルデアとの通信を試みているが、相変わらず通信は届かない。

 

「だめか……やっぱりここワイファイ通じてないね」

 

「何言ってるの」

 

「冗談言っている場合じゃないぞ藤丸。 僕とお前は魔力量が少ない。 僕のアナスタシアはともかく、お前は二騎のサーヴァントの魔力を賄わなければいかない。 しかもマシュは消費魔力が少ないし、ある程度はマシュ自身の魔力で行動できるが、アルトリアの方の消費魔力は随一だ。 早いところ霊脈と接続できないと困るのはお前なんだぞ?」

 

「わ、分かってるよ」

 

と、話していると、ドアの外から海賊が呼ぶ声がする。 出てみると、水平線の先に島が見える。

 

「あんた達行くアテが無いんだろう? なら、あの人に会えばいい」

 

案内されるままに付いていくと、奥から賑やかな声が聞こえる。 どうやら宴会をしているようだ。

 

「おーい、おーーい。 姉御ー。 変な人がいたんで連れてきましたー!」

 

姉御と呼ばれた人物は二丁の銃をもった女性だった。

 

「あぁん? 客かい? まぁいいさ。 今は気分が良いんだ。 アンタらも飲みな」

 

「い、いえ、俺達飲めないので」

 

差し出されたジョッキを断ると、白けた様な顔をして中身を呷った。

 

「ふうん。 まぁなんでもいいさ。 しばらくここで飲んでいるつもりさ。 アンタらも飯なんかがほしいだろ? ここを拠点にするといいさ。 なぁに、金は取らねえ。 そん代わり」

 

と、銃を抜きながら続ける。

 

「酒もちょいと飲み飽きてきたところでねぇ。 アンタらちょっと暴れてみないかい? 腕に覚えはあるんだろう?」

 

そう言われても……。 いかにこの恰幅のいい女海賊が戦えても、こっちは一騎当千の英霊だ。 誰が戦っても余裕に買ってしまうのは目に見えている。 それなら俺がカドックの魔術強化を受けて戦った方がいいのか……。 と、俺が一歩出たところを、カッドクが肩を掴んで止める。

 

「カドック?」

 

「待て、気づかないのか? あの女の魔力、常人のそれじゃない。 ほぼサーヴァント並みだぞ!」

 

なんだって!? ……。 確かに、よく見てみれば彼女からあふれる魔力は人間には出せないものだった。

 

「おや? 坊やは来ないのかい? なんなら全員で来てもいいんだよ」

 

挑発をするように銃を構える。 流石にこれで挑発に乗って俺一人で行っても勝てる自信もないし……。 だけどアルトリアにお願いしたら本気でやっちゃいそうだよなぁ。

 

「あの、先輩。 それなら私たち二人で戦うのはどうでしょう? 私達なら、魔力の消費を抑えられ、なおかつ私達なら殺してしまう可能性は少ないでしょう」

 

「……。 そうだな、よし! 俺たちが戦うよ!」

 

俺とマシュが出ると、満足そうに構える。

 

「ああ、いいねぇ。 かかってきな! アタシの名前はフランシス・ドレイクさ」

 

「俺は藤丸立香!」

 

「マシュ・キリエライト。 行きます!」

 

俺とマシュが同時に飛び出し、ドレイクは狙いを俺に定めて銃撃を放つ。 しかし、それはマシュの盾が防ぐ……、思っていたらその銃弾は後ろの俺ごとマシュを後ろにふっとばした!

 

「うわっ!」

 

「この銃弾……。 いえ、銃弾自体は普通の銃弾ですね。 ならこの威力は?」

 

マシュが叫ぶと、ドレイクが得意げに銃を手の中で回す。

 

「ああ、最近変な器を拾ってねぇ。 これを手に入れてから今まで逃げるしかなかった海の怪物にも攻撃が通じるようになってねぇ。 しかの願えば酒も飯もいくらでも出るってすぐれものさね」

 

あれは……。まさか……!

 

「間違いない! あれは聖杯だ!」

 

「なんだって!? じゃあこの魔力の迸りは聖杯のものか!」

 

「ちょっと待ってカドック! 確かにこの人聖杯を持っているけど、特異点の原因には思えないんだ」

 

「ふざけるな! あいつが聖杯の所持者! つまり特異点の原因なんだよ! 今こそ総出で戦うべきじゃないか!」

 

カドックがそう叫ぶと、ドレイクは怪訝そうな顔をする。

 

「あん? 特異点? 聖杯? 何の話だい? もしかしてアンタら、この変な状況について何か知っているのかい?」

 

どうやら彼女は聖杯の持ち主であっても異変の現況ではないらしい。 とりあえず、現状の確認をする事にした。

 

 

 

「なるほどねぇ。 特異点。 聖杯」

 

「はい、私達カルデアの職員は聖杯によって引き起こされた異変の収束。 そして聖杯の回収を任務に行っています」

 

「ふぅん。 で、これがその聖杯ってやつなのかい?」

 

ドレイクが聖杯を掲げる。

 

「これはアタシがこの前海で出会った化け物に大砲ぶち込んだ時にいつの間にか手に握っていたのさ」

 

「その経緯からみて、ドレイクが持っている聖杯はただ偶然この時代に在った聖遺物だろう。 つまり、この時代に聖杯が少なくとも二つあるんだろう」

 

聖杯が二つ……。 今回は特異点が二つだったり聖杯が複数あったり大変だなあ。

 

「あ、そうだ。 ドレイクさん。 ちょっと聖杯をお借りしてもいいでしょうか?」

 

「あん? 構わないよ」

 

そうして借りた聖杯の魔力を使ってカルデアと通信を繋ぐ。 出てきてくれたのはロマンだった。

 

「立香君! 皆無事かい? あと君達のすぐ近くから聖杯の反応があるんだけどどうしたの?」

 

「えっと……」

 

と、今までの出来事を話した。

 

 

「ふぅん。 そっちの異変は大体分かったよ。 聖杯の魔力リソースを使って周辺をサーチしてみたけど、何もないんだよ。 土地も、大陸も。 恐らくそれが今回の異変だ」

 

「となると、移動には船が入りそうですね」

 

「ドレイクに頼んで船を貸してもらえないでしょうか?」

 

「ん? 船かい? それなら、アタシたちの船に乗ればいいじゃないか」

 

その提案に俺たちは顔を見合わせる。

 

「どうしようか?」

 

「だから、あなたがリーダーなのですから。 あなたが決めるのです」

 

「それは分かっているけど。 やっぱり皆の意見も聞いておきたいなぁと」

 

「そうだろうな。 藤丸。 僕は賛成だ。 ろくに航海技術もない僕たちだけでは探索は無理だろう。 それにマシュとお前を吹き飛ばした威力は対サーヴァント戦でも役に立つ」

 

「そうだね」

 

そういってドレイク船長の提案を受け入れ、彼女の船『ゴールデンハインド』に乗り込んだ。

 

「さあ野郎ども、出航だよ! 帆を張りな! 錨を上げな! ワイルドハントの始まりさ!」

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