ジャンヌとアルトリアが同じ顔? 髪型とかの違いはあるけど顔そのものは全く見分けがつかないくらいだ……。
アルトリアも驚いているようで口をパクパクさせている。
「……驚きましたね。 あなたのサーヴァントと私はどうやらほぼ同じ顔みたいですね……。 それより、私達がここに居るのはよろしくないので、どこかに移動しましょう」
「あ、ああ。 それなら俺達と一緒に来てくれないか? 仲間と合流する所なんだ」
「ええ、分かりました。 行きましょう」
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その後はトラブルも特になく指定された合流ポイントにたどり着けた。 キリシュタリア、カドックも新しいの仲間のジャンヌがいることに驚いていたけど経緯を説明した。
「なるほど……救国の聖女ジャンヌ・ダルクか」
「いえ、私は聖女なんかではありません」
「はんっ! また優秀なサーヴァントを捕まえたじゃないか藤丸」
何はともあれ先ずは霊脈にマシュの盾を接続してカルデアかるの物資魔力の供給を確保することが先決だ。
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「……と言う訳で私達の目的は聖杯によって引き起こされた事件の解決と聖杯の回収だ」
現地での交渉はキリシュタリアが行う手筈だ。 ジャンヌ自身は聖杯によって召喚されたが、何の目的で召喚されたかが分からず、イレギュラーな聖杯戦争のせいでルーラーと言う特別なクラスの特権をほぼ失っている状態らしい。
「申し訳ないですが、今の私はルーラーとしての力はありません」
「……ねぇ、ルーラーってどんなクラスなの?」
「そんなのも知らないのか。 駄マスターめ。 教えてやるよ。 ルーラークラスは聖杯戦争においてサーヴァントの暴走とかの理由で正常に聖杯戦争が行われない自体が発生した時に聖杯をマスターとして召喚されるクラスだ。 ルーラーはクラススキルとして真名看破や令呪といった能力を持ち合わせている」
サーヴァントが令呪を持っている!?
「はい、ですが今回に置いては真名看破や令呪といったスキルは持ち合わせていません。 ただのサーヴァントと変わりありませんし、本来の力は出し切れないようです」
「それでもかなりの戦力になる事は間違いない。 聖女ジャンヌ・ダルクよ、良ければ私達と行動を共にして今回の異変の解決に助力してくれないだろうか?」
「ええ、私で良ければ喜んで」
「そうと決まれば先ずは情報収集からだな。 この地で何が起こっているのかを確かめないと。ジャンヌはこの時代に行きた人物だ。 無闇矢鱈に出歩いたら問題だろう。 私とジャンヌは残ってこの霊脈を守っているから立香とマシュ。 そしてカドックは街に行って手がかりを集めて欲しい。 特に立香達が戦った龍。 あれは勿論この時代には存在しないはずだ」
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「あの竜についてかい? ああ、知ってるよ。 ……魔女だよ」
情報は案外あっさり手に入った。 どうやら魔女と呼ばれる人物が竜を操り人々を襲っているらしい。
「魔女……か、これだけの竜を召喚して操れる位の魔術を扱えるって事は、相手はキャスターになるのかな?」
「いや、流石にこれだけの判断材料で敵のサーヴァントのクラスを推測するのは無理だ。聖杯の力があればたとえバーサーカークラスでさえ最上位の魔術を行使できるだろう」
と、俺とカドックが話していると急にカドックのキャスターが現れる。
「カドック。 サーヴァントの気配よ。向こうの街にサーヴァントがいる」
「敵か?」
「分からないわ」
「どうする? カドック」
「決まっている。 キリシュタリアと合流するぞ、もし向こうのサーヴァントが聖杯持ちの敵サーヴァントだったら間違いなくやられる」
「分かった、ドクター。 キリシュタリアに連絡して、合流して向こうのサーヴァントに会いに行こう」
「分かった。 ポイントを指定しよう」
「急ぐぞ。 奴がいつ動き出すか分からない」
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合流ポイントまで走っていると、マシュ達が急に立ち止まり、カルデアからも緊急通信が入る。
「大変だ立香君! 例のサーヴァントが君達を探知した! 猛スピードでそっちに向かってきてる! 逃げるのは無理だ、どうにか持ちこたえてくれ!」
「っ……! マシュ! アルトリア! 」
「はい! マシュ・キリエライト。 専守防衛に務め、増援まで耐えてみせます!」
「ええ、マスター。 退っていて下さい」
「キャスター。 援護を」
「ええ、マシュ。 アルトリア、死なないでね」
唐突な突風と共に、俺ですら感じる強大な魔力が大気を震わす! この感覚は冬木の黒アルトリアと同じくらい、嫌! それ以上だ!
丘の向こうから現れたのは今まで戦ったどの竜よりも大きく、強靭であった。
「なんて大きさ……」
「……アルトリア、いけそう?」
「いえ、正直、今の私の魔力供給量では令呪を使っても厳しそうです」
「くっ……カドック。 キャスターの宝具では無理なの?」
「ああ、何度も言うがキャスターはあまりこういう突発的な戦いは苦手なんだよ。 陣地作成スキルで自分にとって戦いやすいフィールドを敷き、戦う前に勝つような戦法が得意だからな」
「やっぱりキリシュタリア達が来るまで持ちこたえないと、マシュは防御に専念して。 アルトリアはマシュの防御のスキをついて攻撃を。 死なない程度にね」
「はい!」
「ええ」
「……あの女はいないようね」
唐突に竜の上から声が聞こえる。 あれ程の巨竜を従えているのだからきっとあいつが……
「竜の魔女! 」
「へえ、あなた達がマスターね。 どうやらあの聖女様はいないようですが、まぁいいです」
そう言いながら魔女が手をかざすと、空間の魔力反応が跳ね上がる! 高濃度の魔力が実態を帯び、現実に投影される感覚。
「まさか……!」
「ええ、聖杯はもとよりサーヴァントを召喚する機能がある。 それを保持者の私が出来てなんの問題があるのでしょう?」
現れたのは六騎、剣を携えた少年のようにも少女の様にも見えるサーヴァント。 巨大な槍を手に持ち、その佇まいからは優雅さすら伺える青白い男のサーヴァント。 緑の髪に獣の耳が見える、弓を持ったサーヴァント。 杖を手に持ち、恐ろしいまでの美貌を持つサーヴァント。 同じく杖を持ち、召喚されたサーヴァントの中で唯一目に光を残しているサーヴァント。
竜に加え竜の魔女以外に五騎のサーヴァントが! 唯一こっちの勝っていた数の優位性すら無くなってしまった……。
「……ますたー」
「大丈夫だマシュ。 キリシュタリアとジャンヌを信じよう」
「……ふっ。 あははははははははは! 安心しなさい! 迷える子羊よ! 私はあの女に用があるの、だからあの女が来るまでは待っていてあげますとも」
あの女? ジャンヌの事か? ともかく、増援が来るまで待って貰えるならこちらにも正気があるかもしれない。 ここは大人しく待つしかないか……。
数分も経たずにキリシュタリアとジャンヌが到着し、竜の魔女と相対することになるが、依然としてこちらが不利である事に変わりない。
ジャンヌを見つけた魔女は両手を広げて邪悪な笑みを浮かべながら叫ぶ。
「ああ! 会いたかったですよ! 私!」
そう言い放った竜の魔女の顔は、ジャンヌと瓜二つの顔で、ジャンヌのまるで鏡写しの様なサーヴァントであった。
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「あれは……私?」
「ええそうよ。 無能の出来損ないの私。 私達の犯した間違いはこのフランスを救おうとした事。 この国の人間に価値はない。 滅ぼすしかないのですよ」
「そんな事はさせません!」
「どうやって!? まさかそこの弱々しいマスター達と共に戦うつもり?」
「……確かにこのままでは厳しいと言わざるを得ないな。 ここは一時撤退した方がいい」
「させるとでも!? ランサー! アサシン!」
色白の男と美しい仮面を被った女が竜から飛び降りる。
「許しが降りた。 さぁ、暴力的に貪ろうとも!」
「血と臓物は私に譲ってくださる? 王様?」
「なら余は何を貪れば?」
「魂などいかがでしょう?」
二体の狂兵が、迫る。