機動戦士ガンダムU.C.0097 YUME IS BORN 作:擬態人形P
「あ、あの………ヤザンさん!?エフィテマは!?アロードは!?」
戦闘開始直後、リン・ボウの右舷カタパルトの上でメタス改に乗っていたシーサーはヤザンの指示で1人取り残されていた。
と言っても置いてけぼりでは無い。ここからハイ・メガ・キャノンで砲撃するのだ。だが、前回のようにエフィテマによる照準補正が無かった。
『今回はあの2人も前線に出て貰わねばならんからな。お前1人で撃て。』
「む、無理ですって!オレは………!」
『泣き言言う前にまず仕事をしろ。………後、お前の射撃センスは悪くない。』
「へ?」
『不意打ちとはいえ、「このオレ」に当てようとしたんだ。ターゲットを間違えなければ上達する。』
「……………。」
ヤザンの言葉を聞き、シーサーは自分に対し疑心暗鬼になる。本当にそうだろうか?前回、誤って自軍大将機を撃ち落とそうとしてしまったのに………。
『特別にオレが手取り足取り教えてやる。ガザDのフォーメーションは?』
「えっと………あ、モビルアーマー形態になって3体ずつ輪を描くようにフォーメーションを取ってますね。」
ガザDの最大の利点はその機動力だ。だから、輪を描くように動く事で敵機からの被弾を防ごうとしているのだ。ガザDは15機出てきているので5つの綺麗な輪が完成していた。
『見惚れるなよ。手始めにその輪の1つを吹き飛ばせ。』
「輪の1つって………3体も!?」
『そのためのハイメガだ。………何、オレを狙った時のように今度は輪の中心に向かって撃ってみろ。』
「や、ヤザンさん………でも………。」
『でももクソもねえ。仲間に死なれたくなかったらやるんだな。』
「………えーいッ!」
シーサーは半ばヤケになる気持ちで狙いを定める。メタス改の頭部が沈み砲門が飛び出し、その先に光が溜まる。
「当たってくれーーーッ!」
バシュゥウウウウウウゥゥゥンッ!!
光が真っ直ぐ撃ちだされ、ガザDの輪の内の1つの中心を通過していき………その光に掠った3機が吸い込まるように流され消えていく。
先制砲撃は成功だった。
「………アレ?本当に当たった?」
『上出来だ。後は排熱が終わるのを待て。次があるかもしれないからな。』
モニターの向こうでヤザンが二ヤリと野獣の笑みを浮かべるのをシーサーは呆然と見る。思えば始めて自分は彼に褒められたかもしれない。
――――――――――
先制砲撃でいきなり15機の内3機を奪われたガザD部隊は戦艦へ向かおうとする。
だが、その進路を予測してエフィテマのスタークジェガンがアロードのEWACジェガンのバックアップを受け立ちはだかる。
『エフィテマ。シーサーは1人でも大丈夫だ。これからはお前もネオ・ジオンを好きなだけ狩りに行ってもいいぞ。』
「他に………何か言う事は………。」
『射撃能力に関してお前は優秀だからそこら辺は特にない。そのスタークジェガンもビーム・サーベルを外してグレネード・ランチャーを付けてる程だからな。だから敢えて難しい条件を出す。………1機に使える弾数は「2発」だ。』
「了解………。」
エフィテマはサラリと聞き流すとアロードが送ってくる座標データを確認し、1つのガザ部隊に3連装ミサイルを1発ずつ射程外から放つ。
ガザDはそれぞれ脚部クロー内の「メガ粒子砲」で撃ち落とすがそれも計算内。その爆発の向こうから更にもう1発ミサイルを叩き込み、爆発に巻き込む。
ヤザンの言う通り、1機に対して牽制も含めて2発で3機仕留めてみせた。
『言う事無しだな。その調子でレミオス達の支援に行ってくれ。』
「了解………。」
エフィテマは涼しい顔で、ミサイル・ポッドをパージしながら言った。
――――――――――
前線に出ているレミオス、マック、キクハは流石にガザDの射程内に入る。弧を描くように動きながら、機首から「ビーム・ガン」を連発してくるそのフォーメーションは見習うべきだな、とグスタフ・カールに乗るマックは思っていた。
『マック。ビーム・サーベルはあくまで最後の手段だ。基本はビーム・ライフルで何とかしろ。』
「相手が当たらないように動いている時はどうするのがポイントなんですか?」
『こっちも相手に合わせて弧を描いてみろ。相手は「止まっている」こちらめがけて撃っている。動き回れば実は当たりにくくなる。』
「じゃあ、こっちが当てる時は?」
『3人で息を合わせて撃て。お前等なら敵機の動きを予測して撃つ事はできるだろ。自信を持ってやってみろ。』
ヤザンの言う通り、反対に弧を描きながら3人はビーム・ライフルを撃つ。動きを予測したその一撃は、信じられないほど簡単3機のにガザDに吸い込まれ爆発を起こした。
『あの、ヤザンさん、ミサイルを撃たれたら………。』
『「ハイパー・バズーカ」の散弾で撃ち落とせ!』
キクハの心配通り、次のガザD部隊が「ミサイル・ランチャー」で大量のミサイルを放ってきたので、言われた通りスタークジェガンで対処する。爆発の煙幕を起こす中、ガザDが「クロー」で突っ込んで来る。
『来た!』
『そういう時こそ、サーベルだ!』
レミオスの反応に応えたヤザンの言う通りにビーム・サーベルでガザDの攻撃を避けながら3人は薙ぎ払う。面白いように敵が倒れていった。
「何か………出来過ぎじゃね?」
『マック、油断するなよ。敵艦から何か出てきた。』
最後のガザD部隊をエフィテマ達と合流しつつ片付けたマック達は艦から黄緑の塗装が施されたモノアイ機が2機出てくるのに気づいた。その後ろにはドームを背負った機体がいる。
『AMX-101………ガルスJとRMS-119………アイザックです!』
アロードの言葉に、皆が戦慄する。ガザDとは比べものにならない機体。だが………。
『心配するな。今2機消し飛ばす。』
「どういう………。」
バシュゥウウウウウウゥゥゥンッ!!
マックの目の前でガルスJの1体とアイザックが光の奔流に消し飛ばされる。
シーサーがハイ・メガ・キャノンを放ったのだ。
「あんなにアイツ、射撃上手かったっけ!?」
『さて、最後の課題だ。マックはキクハの援護をしつつ戦艦を落とせ。ガルスJは………レミオス1人で倒してみろ。』
「何!?」
ヤザンの提案にマックは驚愕した。
――――――――――
「オレがやるんですね、ヤザンさん………。」
『そうだ、指揮官としてちゃんと手本を見せてみろ。』
「分かりました。」
マックやキクハが何か言おうとしたが、レミオスはそれをモニター越しに手で制す。全部隊を指揮するのはヤザンだが、元々の正規兵の部隊の隊長は自分なのだ。
彼は「ミサイル・ポッド」を撃ってきたガルスJの攻撃を下がりながらグスタフ・カールのビーム・ライフルで撃ち落とすと、左腕部からグレネード・ランチャーを移出する。
ガルスJは「フィンガー・ランチャー」で撃ち落とすと、煙から飛び出し、「エネルギー・ガン」を使おうとする。
「貰った!」
その隙を狙い、レミオスはビーム・ライフルでエネルギー・ガンの発射口を狙い爆発させる。これで相手の遠距離武装は奪った。後は………。
「「アーム・パンチ」………いや!?」
ネオ・ジオンの精神をヤザンから学んでいたレミオスは自分の甘い思考をすぐさま切り替える。
腕を振りながら特攻して来たガルスJはレミオスのグスタフ・カールに組み付こうとする。そこを膝蹴りで蹴り飛ばした。
「自爆は………させない!」
すぐさま90mmショートマシンガンを取り出しガルスJに実弾の雨を浴びせるレミオス。幾つもの穴をあけられたガルスJは、派手に爆発した。
――――――――――
レミオスが戦闘を終えた頃、キクハはスタークジェガンでチベ級に迫っていた。
この艦には多くのネオ・ジオン残党が残っているだろう。その人達を全員殺さなければならない。
「ごめんなさい………。」
キクハはそれだけを言うと、トリガーを引く。
両肩のミサイルを6発全てチベ級に炸裂させ、大爆発を引き起こした。
「………終わりました。」
『オレ達………勝ったのか?』
報告をするキクハにレミオスは実感が湧かないといった顔をする。
そこにヤザンの通信が入る。
『帰還しろ。スヴェイヌ達が機体のメンテで待ってるぞ。………よくやったな、ひよっこ共。お前達の実質的な初勝利だ。』
戸惑うキクハやレミオス達に対し、ヤザンはいつもの野獣の笑みで褒め称えた。