機動戦士ガンダムU.C.0097 YUME IS BORN   作:擬態人形P

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第1話 バトレイヴ

『U.C.0097 シャングリラ』

 

『さぁ、いよいよ始まります!今日のバトレイヴ!最初の対決は、いきなりの変則2対1のバトル!「ジャンク屋の王の中の王」VS「仮面ZZ」です!』

 

実況の声と歓声が響き渡る中、モスグリーン調のジムのコックピットの中で水色の髪の少女が静かに溜息を付いていた。理由は簡単。対戦相手の2人組が私生活でもこのバトレイヴでも何度も顔を合わせている知人なのだ。

 

『ヒヒャヒャヒャヒャヒャ!ユメ・ビアンノ!今日こそお前の機体をばらしてやる!』

「ゲモンさん………「ゲゼ」で挑むのはもうやめたほうがいいよ………。」

『これは只のゲゼじゃない!改良に改良を加えた「ゲゼ改16号機」だ!』

「モビルワーカーなのは同じじゃない………。」

『いいか!このゲゼ改16号機はスタン・スティックを更に装備していて………!』

 

金髪の肥満体系の人物………「ゲモン・バジャック」からの通信を途中から聞き流し始めた「ユメ・ビアンノ」と呼ばれた少女は、モニターから相手の機体2体を確認する。

奥の扉から出てきたのは、三角柱のモノアイの灰色と赤銅色の機体であるゲゼ。ゲモンが搭乗しているのは灰色の方。一方でもう片方の赤銅色の機体に乗っているのは………。

 

「ヤザンさんも、ゲゼじゃなければ強いと思うんだけれど………。」

『ゲモンのヤツが金をケチってるせいでな………。とにかく雇われたからにはこの「ゲゼ改17号機」でスクラップにしてやる!』

 

今度通信画面に出てきたのは金髪に褐色の肌の野獣のような男。30代半ばぐらいの年だろうか。『ヤザン・ゲーブル』という名の元ティターンズのパイロットで、実力はかなり高い………が、搭乗機体が悪すぎる。

 

「足元すくわれるのは嫌だから、油断はしないよ。2人共降伏するなら今の内だけれど。」

『うるさい!お前の「ジム・ストライカー」もオレ様の物にしてやる!』

「はぁ………仕方ないな………。」

 

『さあ………お待ちかね!試合開始だ!!』

 

その瞬間だった。ユメはジム・ストライカーのバーニアを吹かし、いきなり一直線に戦場を突っ切りゲモンのゲゼ改16号機へと飛び込む。

 

『へ?』

「まず1体。」

 

そのままバックパック右側面からビーム・サーベルを取り出すとそのまま斬り上げ、斬り下ろしでゲゼ改16号機の4本のマニュピレーターを斬り払い、足で蹴り飛ばし転がす。

 

『ば、バカな!?このゲゼが~~~ッ!?』

 

ゲモンの悲鳴が響き渡る中でツイン・ビーム・スピアに装備を切り替え、ヤザン機のゲゼ改17号機と対峙する。

 

『伊達に「強化人間」として操縦技術を刷り込まれたわけじゃないみたいだな、ガキンチョ。』

「ヤザンさんは本気で行くよ。………みっともない所見せるから。」

『両親にか?』

「………別に親じゃない。」

 

ユメはそう言うと、ツイン・ビーム・スピアをリーチの長いロッド・モードにして、ヤザン機のゲゼへと次々と突き出す。しかし、ゲモンと違い、ヤザンはその突きを軽々と避けていく。それ所か、その突きの隙を狙い、スタン・スティックを繰り出す余裕も見せる。

 

「ジム・ストライカーVSゲゼじゃなければ負けてるね………。」

『ガキンチョ、敵の前でそう言った発言は死に繋がるぞ。』

「毎回思うけれど、あの2人よりヤザンさんの教育を受けたほうが、血肉になるよ。」

 

ジム・ストライカー(RGM-79FP)は一年戦争時代に地球連邦が開発した接近戦用の機体だ。遠距離武装が少ない代わりに、様々な近接武装が備えられている。その為、こういう公共のバトレイヴの場では自由に戦える。しかし、それを持ってしてもモビルワーカーに乗ったヤザンを倒すのは至難の業なのだ。だが………。

 

「でも、そろそろだよね………。」

『そろそろ?………ッ!またか!?』

 

急にヤザンのゲゼ改17号機の動きが鈍る………というか微動だにしなくなる。よく見ると関節部分から煙を吹いている。

 

『オーバーヒートとは………。だからモビルワーカーに乗るのはイヤなんだ。』

「でも、ヤザンさん。やっぱり凄いよ。」

『フン!褒めても何も出ないぞ!………とにかく降伏だ!』

 

結果として仮面ZZ………ユメ・ビアンノが勝利する形になった。

 

 

――――――――――

 

 

「いやー、儲け儲け!やっぱ、ユメは強いな~!」

「アンタね………、「娘」を賭けの対象に出して恥ずかしくないのかい?」

 

白熱した試合で盛り上がる会場の観客席で、サングラスを掛けた茶髪の髪のそばかすの男と、金髪の髪の後ろで束ねた女が話をしていた。

 

「そうは言うけれどよ、エル。ユメは娘扱いして欲しくないんだからいいんじゃねぇのか?バトレイヴだって元々はユメが戦闘技術磨きたいって言ったんだしよ。」

「だからってね………あの子の親権はアタシ達にあるんだよ、ビーチャ。少しは親として責任持ちなって!」

 

口論が始まる。これが嘗て第一次ネオ・ジオン抗争の英雄である「ビーチャ・オーレグ」と「エル・ビアンノ」、そして、形式上はその娘である「ユメ・ビアンノ」の日常であった。

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