あの日、ありがとうと言った記憶   作:木材

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第1話

事件は三日前、通学路に出没したヴィランが人質を取っていた時のこと。

 

「邪魔だどけゴラァ!! 帰れねーだろクソが!」

 

退治はしても人質に手を差し伸べる訳がなく、爆豪が再び歩き始めたところで、ふと人質の少女と目が合った。

 

(……んだこいつ、顔色――)

 

瞬間、少女が血を吐いて倒れた。

 

「! おい」

 

思わず駆け寄って周囲を見渡す。運悪くこの場には自分しかいなかった爆豪は舌打ちをすると、携帯を取り出して救急車を呼んだ。

 

***

 

 そんな彼女が、今、教壇の前に立っている訳だが。

 

「えー、転入生の白木 蓮さんだ。先日ヴィランに襲われたらしいが、病院に着いた頃には無傷だったんだと。まぁ仲良く頼む」

「……あ?」

やれ可愛いだのすげぇだのと騒ぐ生徒たちの中で、頬杖をついて興味なさそうに窓を見ていた爆豪もちらりと目を向けた。

 

(無傷だァ? ……回復持ちの個性か)

 

個性由来なのか、まさしく雪のような肌とふわふわした長い髪が朝日に輝く。透き通ったエメラルド色の瞳は昔遊んだ明るい森を思わせて、無意識に見入っていたらしい。

 

また目が合った。

あとビビられた。デクかてめェは。

 

 

 

「あの」

「話しかけんなぶっ殺すぞ」

 

帰り際、校門の前で転入生に呼び止められた。淡く滲んだ橙色の空では桜が舞っている。

 

「……んで何だ。さっさと言わねェならマジで殺す」

「こ、この前はありがとう」

「あ?」

 

スカートの裾を握る手は震えている。

こちらを見つめて顔を上げると、勇気を振り絞るように言った。

 

「私、怖くて何もできなかったんです。だけどあの時のあなたを見て、私もああなりたいなって……。助けてくれてありがとね」

 

最後に、ふわりと小さく微笑んだ。

 

「……はっ、辛気臭ェ。んなこと言うために時間使わせんなカス」

「あう、ご、ごめん……」

 

転入生に目を背けてさっさと歩き去る。

別に助けたつもりなんてない。なのに「ありがとう」なんて。

 

……変な奴が。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

普段はノベルアップ等で切ない青春恋愛を執筆しています。既存のキャラを動かすってめっちゃ難しいですね。たぶん最初で最後の二次小説になると思います( ¨̮ )

コンテストに向けて一次小説を執筆している最中なので、亀更新になります!

 

1000字足りてなかったので主人公の個性でも紹介します

 

個性:自然

自然現象を自在に生み出す。台風や洪水も起こせるが制御できないため、普段できるのはアロマセラピーを強化して周囲を回復させるのみ。

 

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