この兄弟に祝福あれ   作:大豆万歳

12 / 45
やっとダクソ3の誓約アイテムマラソンを終え、2周目に入りました。誰か褒めてください、癒しをください

お気に入り件数200……200!?ありがとうございます!ありがとうございます!


第12話

 裁判が終わり、数日後。

 

「ねーカズマ。ダクネスはー?ダクネスはまだ帰って来ないのー?」

 

 広間の暖炉の前に置かれた、自分の特等席だと決めているソファーの上で、膝を抱えたアクアが退屈そうに言ってきた。

 

「兄さん兄さん」

「どうした?」

「ん」

 

 アクアに聞こえない程度の声で和真が俺に話しかけ、自分の耳を指さす。

 聞き耳を使え、ということだろう。俺は聞き耳を使い、和真の声に耳を傾ける。

 

「ダクネスって、どっかの貴族のお嬢様だったりしない?それも、かなりの上級の」

「……何処とは言えないが、そうだ。しかし、よくわかったな」

「ほら、ダクネスって普段の言動はアレだけど、それ以外の面からどことなく気品のようなものを感じるから『もしや?』と思ってさ。で、この間の裁判で確信したんだよ。裁判長を始めとした、あの3人の反応からさ」

「なら、俺が何で黙っているのかもわかるな?」

「うん。例えば、今もソファーでぐだぐだしている穀潰しとかでしょ。俺も黙っておくよ、本人の口から話すまではね」

「そうしてくれ」

 

 和真との話を終えた頃、あるものを抱きかかえためぐみんが広間に入ってきた。

 朝食後だったのは、食事中に横から奪いにくるのを防ぐためなんだろう。

 

「なーお」

 

 猫という生き物が、めぐみんの腕の中で鳴く。

 

「えーと、こいつを屋敷で飼いたいってか?」

「はい。大人しい子なので、迷惑はかけないと思うのですが……駄目でしょうか?」

 

 何時も何処に隠れているのか、ちょくちょくめぐみんの傍で見かける黒猫。

 そいつはめぐみんに抱かれるままに、目を細めてくたーっとしていた。

 

「良いんじゃないか?屋敷の人間に猫アレルギーはいないだろうし。……おお、これまた人懐っこい猫だな」

 

 めぐみんに抱かれた猫に和真が手を伸ばすと、指先に前脚を乗せて甘えてくる。

 次に俺が手を近づけると、フンフンと匂いを嗅ぎ、ペロリと指を舐めた。

 ……問題児ばかりでストレスが溜まっていたところに、最高の癒しをもたらす存在(ペット)が現れた。俺の飼っている鶏?あいつらは食料兼目覚まし時計です。

 

「痛っ!?ちょっとこの子、どうして私にだけ爪を立てて唸るの!?なんて事かしら、この漆黒の毛皮といい、ふてぶてしい態度といい、何か邪悪なオーラを感じるわね……」

 

 猫にちょっかいを出して反撃されたアクアがいきり立つ。

 

「ところでめぐみん。この猫の名前は?」

「ちょむすけです」

「「「……」」」

 

 ここでも発揮される紅魔族のネーミングセンスに、思わず口を閉ざす。

 

「……今、この猫の名前をなんて言った?」

「ちょむすけです」

「ねえめぐみん。この子ってどう見ても牝なんだけど、その名前はどうかと思うわ」

「駄目です。この子はちょむすけです」

 

 おかしな飼い主を持って大変だなと、同情するように黒猫──ちょむすけを撫でる。

 

「というか!どうして皆落ち着いていられるの!?あのダクネスが一晩帰ってこなかったのよ!?しかも相手は良くない噂が多いあの領主よ!?今頃手籠めにでもされていたら……」

「まあ落ち着けってアクア。ダクネスも一端の冒険者だ、あの領主が仮になにかやっても、内容次第では拳で抵抗してるだろ」

 

 青い顔でアクアが狼狽え、それを和真が宥める。そんな中──

 

「サトウカズマ!サトウカズマはいるか!」

 

 そんな怒声と共に、突然玄関のドアが開け放たれた。

 荒々しくドアを開け、顔を真っ赤にしながら荒い息を吐くその人は、検察官のセナだった。

 

「な、なんだよ急に。俺の身の潔白を証明するまで、まだ間があるだろ!?悪いが、今はあんたに構っている暇はないんだ。身の潔白を証明するための証拠を集めないと──」

「構っている暇はない!?よくもやらかしておいて、そんなことが言えるな!」

 

 言いがかりも甚だしいが、彼女の剣幕から嫌な予感がした俺が訊ねる。

 

「あの、やらかしたとは具体的にどういったことで?」

「蛙だ!街周辺に、冬眠中の蛙が這い出してきている!」

 

 ジャイアントトードのことだろう。しかし、それと和真にどう関係が?

 

「言いがかりにもほどがありますね。私達がモンスターを操り、冬眠中の蛙を呼び起こしたとおっしゃるつもりですか?」

 

 喧嘩なら受けて立つとばかりに、めぐみんが前に出る。

 

「ギルド職員の報告によれば、蛙は何かに怯えるように地上に出てきたようです。……怯えると言えば、ここ連日、街の直ぐ傍で爆裂魔法を連発して住人を脅かしてくれた人がいましたね」

 

 俺と和真は、屋敷の奥に逃げようとしたアクアとめぐみんを捕まえて引きずる。

 

「待ってください、話を聞いてください、私はアクアに言われてやっただけなのです!実行犯は私ですが、主犯はアクアです!」

「めぐみんズルいわ!話を持ちかけたときはノリノリだったじゃないの!」

「醜い言い争いをしてる場合か!お前らがやらかした後始末に行くぞ!」

「いやぁ、本当に。うちの馬鹿者と大馬鹿者がすいません」

 

 

 

 一面が真っ白な雪化粧の施された、街の外。

 

「嫌あああ!もう嫌あああ!蛙に食べられるのは、もう嫌ああああ!!」

 

 そこに、アクアの悲鳴が響き渡っていた。

 

「手助けはいるか?」

「いえ、アクアを追っている蛙を倒してからでいいですよ。外は寒いですし、蛙の中は温いのです」

 

 俺の目の前では、爆裂魔法を使って魔力切れ状態のめぐみんが、蛙に肩から下を呑み込まれていた。蛙の喉が動いていないのは、杖がつっかえているせいなのだろう。

 

「わかった。暫くそこで暖を取っててくれ」

「あ、貴方達は、仲間が蛙に呑まれ、更には別の仲間が追いかけられているというのに、随分と冷静ですね」

 

 立会人として付いてきたセナが、若干引いた様子でノートに筆を走らせる。

 

「じゃ、ここは俺が……『狙撃』!」

 

 和真が弓に矢を番えて引き絞り、狙い撃つ。

 放たれた矢はアクアの頭上の毛先を通過し、そのまま蛙の頭を貫いた。

 半泣きのアクアが、そのまま和真に向かって駆け寄ってくる。

 

「よし。じゃあ、兄さんはめぐみんの救助を」

「待ってください!蛙がまた出てきました」

「「「ファッ!?」」」

 

 めぐみんの視線の先を向くと、そこには新手の蛙が3匹も見つかった。

 これで蛙は計4匹。セナを巻き込むのはマズいので除外するとして、これではいけに、囮の人数が足りない。

 

「よし兄さん!アクアを縛り上げて!」

「任せろ」

「ちょっ、やめなさい!やめなさいよこの外道兄弟!」

「いいから大人しくお縄につけ!元凶その1!」

 

 縛り上げようとロープを取り出すなり、アクアが俺の手を逃れようと必死の抵抗を見せる。くそっ、ステータスが高いだけあって無駄に素早いな!

 

「すいません、少しづつ飲み込まれ始めたので、そろそろ救出してもらえないでしょうか」

「ああもう、何でこういう時にダクネスがいないんだよ!金属鎧のアイツなら、蛙に呑まれることもないのに!」

 

 和真もめぐみんを吞み込み始めた蛙に向かって剣を構え、そのまま斬りかかろうと──

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッ!」

 

 した瞬間、雪原に透き通った声が響いた。

 それと同時に、めぐみんを吞み込んでいた蛙の胴体に光の線が走り、そのまま両断した。

 

「『エナジー・イグニッション』!」

 

 続いて、俺達に迫っていた蛙が発火し、上手(ウェルダン)に焼けた。

 声の主に心当たりがある俺とめぐみんが振り向くと、そこには黒いローブに身を包んだ1人の少女が立っていた。

 

「今のは上級魔法……!まさか駆け出しの街に、上級魔法を使えるものがいるなんて……!」

 

 セナが驚きの声を上げる中、俺はその少女に話しかける。

 

「ありがとう、ゆんゆん。おかげで助かった」

「い、いえいえ、それほどで……も……」

 

 目の前の少女──ゆんゆんという紅魔族の女の子は、俺と、その後ろに立っているめぐみんを交互に見る。そして、彼女は涙目になり……

 

「どうしてハルキさんとめぐみんが一緒にいるんですか!?まさか、修行に行っている間に私は解雇(クビ)にされたんですか!?」

「そんなことはない。ないから落ち着いてくれ」

 

 俺の襟首を掴んで激しく揺さぶってきた。違うと俺が何度も言うが、本人の耳には届いていないようだ。

 

「残念でしたね、ゆんゆん。ハルキは貴女のような二流の魔法使いではなく、私のような一流の魔法使いを選んだのです。さあ、己の無力さを悔やみ、ハンカチでも食いちぎるがいいですよ!」

「状況がややこしくなるから少し黙れ、ポンコツ魔法使い」

「誰がポンコツですか!」

 

 俺に飛び掛かろうとするめぐみんを和真が羽交い締めにし、後ろに下がる。

 

「ねえ、長引きそうなら、私は先にギルドに行ってきてもいい?早くしないと、蛙肉が傷んじゃうもの」

「すまん。頼んだ」

「……ふむ。何やら積もる話もありそうですね。では、自分も今日のところはこれで。……サトウカズマさん、今日はあまりにもあんまりな冒険の姿でしたが、これが、自分の目を欺く演技という可能性も捨てていませんよ。自分はまだ、貴方を信用してはいませんから」

 

 そう言って、セナは和真に厳しい視線を向けた後、アクアと共に街へ帰っていった。

 少しして、ゆんゆんとめぐみんが落ち着き、何とか話ができる状態になった。

 

「すいません。少し取り乱しちゃいました。それで、あの、めぐみんと一緒にいる件は……」

「実はな、ゆんゆんが修行に行ってから、弟の和真がパーティー募集の貼り紙をギルドの掲示板に貼りだしてな。それで和真のところに行ってみたら、同じく募集の紙を見ためぐみんに会って、そのままパーティーを組んだ。というわけだ」

「そ、そうだったんですか。じゃあ、そちらの男の人が……?」

「ああ。こいつが弟の和真だ」

「初めまして、弟の佐藤和真です」

 

 和真が前に出て簡単な自己紹介を済ませると、ゆんゆんも自己紹介をしようと口を開いた。

 

「初めまして、私は……」

「おっと。まさか、紅魔族の族長の娘ともあろう者が、紅魔族流の挨拶をしないつもりですか?」

 

 ところで、めぐみんが杖をゆんゆんに突きつけ、妨害する。

 

「だ、だって!あれって知らない人の前でするの、凄く恥ずかしいんだもの!」

「そんなだから、貴女は二流止まりなのです。一時の恥じらいを投げ捨てられないようでは、族長になるなど夢のまた夢ですよ?」

「わ、わかったわよ!……わ、我が名はゆんゆん!アークウィザードにして、上級魔法を操る者!やがては紅魔族の長となる者!」

 

 ゆんゆんは頬を赤くしながら名乗りを上げると、着ていたマントを翻した。

 そんなゆんゆんの様子を見て、和真がひっくり返った。

 

「どうした和真?普段のめぐみんのアレっぷりで慣れてるはずだろ?」

「いや、あまりの常識人ぶりにひっくり返っただけだから」

 

 まさか本当にひっくり返るとは思わなかった。

 

「で、どうする?話なら街に戻ってからするか?」

「そうですね、体も冷えてきて寒いですし、お風呂でさっぱりしたいです」

「ちょ、ちょっと待って!私は上級魔法を取得してきたから、めぐみんと決着をつけたいの!」

 

 めぐみんにゆんゆんが縋り付き、待って欲しいと懇願する。

 

「……しかし、今日はもう魔法を使えませんよ?魔力を使い果たしてしまいましたから。それに、この私に魔法で勝負を挑むつもりですか?今も我が力で、愚かな蛙達をたった一撃で、8匹も蒸発させましたからね。ゆんゆんよ、汝にそんなことができるとでも?」

 

 中二病チックに、くぐもった声でそんなことを言いだすめぐみんに、ゆんゆんが驚きの表情を浮かべ、俺とめぐみんを交互に見る。

 

「まあ、魔法1発で蛙8匹を蒸発させたのは事実だ」

 

 その後動けなくなり、蛙に丸呑みにされていたわけだが。

 

「そして、貴女はこの街から離れていたから知らないかもしれませんが……。聞いた事はないですか?連日居城に撃ち込まれるこの私の魔法に脅威を感じ、まんまと魔王軍の幹部がこの街へと誘き出され、撃退された話を。そして無敵を誇ったあの機動要塞デストロイヤーが、この街において爆裂魔法で破壊されたということを!!」

 

 ……まあ、嘘ではないな!

 

「そ、それでも、勝負をしないと!勝ち目がなくても、勝つまで勝負を挑ませてもらうわ!」

 

 目に涙を浮かべながらも、譲れないものがあるのだろう。ゆんゆんは若干怖気づきながらも、きっぱりとめぐみんに言った。

 めぐみんはそれを見て、大きくため息を吐く。

 

「……しょうがないですね。では、こうしましょう。私はもう魔法が使えません、なので、勝負方法は貴女の得意な体術でどうですか?あなたも今や一端の冒険者のようですし、筆記試験で勝負するにしても準備に時間がかかります。武器はなし。勝敗は、どちらかが降参するまで。……これでどうですか?」

「い、いいの?学園ではろくに体術の授業に出なかっためぐみんが。私に花を持たせようなんて考えてるの?昼休みの時間になるとこれ見よがしに私の前をちょろちょろして、勝負を誘って私から弁当を巻き上げていた貴女が?」

「「……」」

 

 俺と和真でめぐみんを左右から挟み、無言で見下ろす。

 

「私だって死活問題だったんです。家庭の事情で、彼女の弁当が生命線だったのですよ。……ですから、少し離れてください。カズマは大したことありませんが、ハルキからの圧力が凄まじいので」

 

 ゆんゆんが目を閉じて、少し深呼吸すると、めぐみんの提示した条件に応じた。

 

「……わかったわ!そして、対価はこのマナタイト結晶。かなりの純度の一級品よ!魔法使いなら、喉から手が出るほど欲しいアイテムよ!」

 

 ゆんゆんが出してきたのは、小さな宝石。

 めぐみんはそれを見ると満足そうに頷き、杖を和真に預ける。

 

「では、どこからでも掛かってきなさい!」

 

 めぐみんは両手を広げ、威嚇でもするように宣言した。

 それに対してゆんゆんが、腰を落として拳を構える。

 見た感じ、体型的にはゆんゆんに軍配が上がるだろう。リーチも長いし、バランスよく筋肉がついている。それに対し、華奢で小柄なめぐみんには素手の戦闘が得意とは思えない。

 ゆんゆんがじりじりと距離を詰め、めぐみんもいつでも抱きつけるように下半身に力を籠める。

 

「……ねえめぐみん。貴女の体がテラテラしてるんだけれど。それってもしかして……」

「そーですよ。これは蛙の粘液、より詳しく言えば蛙のお腹の分泌物です。さあ、このまま抱きついて、寝技合戦といこうじゃありませんか!」

 

 そう言っためぐみんが、ゆんゆんに抱きつこうと飛び出した。

 

「ふっ!」

「なっ!?」

 

 だがゆんゆんはめぐみんの突撃を回避し、腕をとって脇固めで押さえ込む。

 

「ぐっ、このっ……!」

「さあめぐみん!抜け出せるものなら抜け出してみせなさい!」

 

 ゆんゆんに押さえつけられた状態で、めぐみんがジタバタと藻掻く。

 そして9カウントを迎えたところで、めぐみんが蛙の粘液を利用してぬるりと抜け出した。

 

「貰ったぁ!」

 

 そして素早くゆんゆんの背後をとり、そのままチョークスリーパーに移行。

 

「ふはははは!さあ、ゆんゆん!大人しく負けを認めるが」

「そぉい!」

「ア゙ッー!目が、目がああああああ!」

 

 ゆんゆんがめぐみんの眼帯を引っ張って反撃すると、めぐみんは左眼を押さえて転げまわる。

 解放されたゆんゆんはめぐみんの両脚を掴み、フィギュア・フォー・レッグロックを極める。

 

「痛たたたたたた!」

「さあめぐみん!これで負けを認めなさい!」

 

 そして、2回目となる10カウントを迎えたところで──

 

「私の負けです!負けでいいですから、早く離してください!これ以上は脚が折れそうです!」

 

 めぐみんが両手を広げ、自らの敗北を認めた。

 ゆんゆんはめぐみんを解放すると喜びを表現するように小躍りし、めぐみんは脚が折れていないか屈伸し、脛をさすって確認する。

 

「じゃあ兄さん、俺はめぐみんと屋敷に戻って風呂入るわ。見ての通り、少し体がヌルヌルで気持ち悪いから」

「おう。さっぱりしてこい」

「では、私も屋敷で風呂に入ってきます」

 

 和真とめぐみんは屋敷への帰路についた。

 そして、満足したらしいゆんゆんはメモ帳に今日の日付を書いて、花丸で囲んでニヤニヤ笑顔で眺める。

 

「さて、ゆんゆん。パーティーの件だが、これからどうする?」

「えっと……パーティーのことでしたら、ギルドでお話しませんか?私の今後に関わる重要なことなので。あ、でもその前にお風呂に入ってきますね」

「わかった」

 

 ~少女入浴中~

 

「お待たせしました」

「おう」

 

 場所は変わり、ギルド。

 相変わらず昼間から酒を飲んでいる冒険者達の笑い声やジョッキの音をBGMに、ゆんゆんと今後のパーティーの件について話し合う。

 

「俺としては、ゆんゆんを和真のパーティーに加えたい。ゆんゆんはどうだ?」

「えっと、私はそうしたいんですけど、めぐみんと同じパーティーっていうのは……ライバルを名乗っている手前、ちょっと躊躇っちゃうというか……」

 

 ゆんゆんは指をもじもじさせながら、煮え切らない様子でボソボソと呟く。

 

「…………今日1日、考える時間を頂いてもいいですか?」

「ああ。じっくり考えてきてくれ」

 

 

 

 

 翌朝。

 

「というわけで!今日からこちらのパーティーに加入することになりました、ゆんゆんです!よろしくお願いします!」

 

 屋敷の居間で、ゆんゆんが和真とアクアに向かって頭を下げる。なお、めぐみんは紅魔族流の挨拶が云々と言おうとしたので、口を手で塞いで黙らせている。

 本人曰く、めぐみんと同じパーティーに加入し、お互いに切磋琢磨したい!ということから、パーティーに入ることを決意したらしい。

 

「よっし!これでうちのパーティーも安定してきたぁ!」

 

 和真は両手を上げ、大喜びしていた。

 

「本当にいいのですね?私と同じパーティーに入り、己の無力さを見せつけられ、自信喪失しても知りませんよ?」

 

 俺が解放すると同時に、めぐみんがゆんゆんに嚙みつく。

 

「いいの。そもそも、私とめぐみんは得意分野が違うから、いっそのこと割り切ることにしたの。それに……」

 

 ゆんゆんがもじもじし、俺のことをチラチラ見ながら。

 

「私、ハルキさんじゃないと駄目なの……」

「『ゴッドブロー』!」

「おおう!?」

 

 盛大な爆弾を投下した。そしてアクアの拳が唸り声をあげ、俺の鼻先を掠めた。

 

「おい何すんだ!」

「黙りなさい、この犯罪者(ロリコン)!大人しく目を閉じて歯を食いしばり、神罰を受けなさい!」

「ちょっと待て!俺は何もしてなああああ!」

 

 背中に誰かが触れる感触と同時に、何かを吸い取られていく。和真のドレインタッチか!

 

「ナイスよカズマ!さあ、貴方の罪を数えなさい!」

 

 やられてたまるかと、俺は背中に手を回して和真の手首を掴み、楯のように差し出す。和真が必死で抵抗し、アクアに止めろと言うが、アクアは纏めて拳を叩き込むつもりのようだ。

 

「アクア、一先ず落ち着いてください。それとゆんゆん。今の言い回しはあらぬ誤解を招きます。順を追って、話してください」

 

 めぐみんがアクアの肩にそっと手を置いて落ち着かせ、ゆんゆんに杖を向ける。

 

「え、えっと……私の中の冒険者の男性って、酒好きの荒くれ者ってイメージが強いの。でも、ハルキさんは良識ある紳士で料理も美味しいし、一緒に行動していると凄く安心できるの。だから、他の人とパーティーを組むのが不安で……」

「最初からそう言ってください。そんなだから、いつまで経っても貴女はぼっちが治らないのですよ」

 

 ゆんゆんの言葉を聞いてアクアが拳を下げ、和真が吸収した体力を俺に返還してくる。取り敢えずの危機は回避できたようだ。物理的且つ社会的に。




ゆんゆんが 仲間に 加わった
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。