アルカンレティアでの騒ぎから数日経ったある夜のこと。
「ゔぁ゙ぁ゙~~~……」
「浴びるように飲むからそうなるのよ。はい、お水」
「ありがと……」
「これに懲りたら、自棄酒呷るなんてことしちゃ駄目よ?酒は飲むものであって飲まれるものじゃないんだから」
屋敷の居間。普段なら私の特等席だとアクアが主張する暖炉前のソファーで、和真は呻き声をあげながら横になっていた。
「和真。今からタンメンの麺茹でるけど、食えるか?」
「……麺の量、半分にして」
「はいはい」
和真がなぜあんな風になっているのかについてはアクア曰く、ファンを名乗る女性冒険者は、ギルドに金で雇われて近づいてきたかららしい。何でも、実績だけはある俺達のパーティーにクエストを請けさせるのが目的だったとか。そして、女性冒険者がギルドの職員と追加報酬の交渉をしているところを和真は目撃してしまったとか。それだけでも和真の(意外と)ガラスなハートを傷つけたというのに、更に……。
「うぅ、俺と兄さんで何が違うんだぁ……。同じ冴えない顔族なのに」
「私が思うに、日頃の行いね」
「お前が言うな」
女性冒険者が交渉の最中に『お近づきになるなら兄のハルキさんの方が良い』と口にしたのが、致命的だったらしい。ショックを受けた和真は酒場で自棄酒を呷って酔い潰れ、帰りが遅いことを不審に思ったアクアに回収されて今に至る。
「しかし、ハルキ的にはどうなんですか?ファンの女性冒険者がいるというのは」
隣で、ちょむすけが食べても大丈夫な野菜の切れ端を茹でていためぐみんがそんなことを訊ねてきた。足元では、ちょむすけが期待の眼差しをめぐみんに向けていた。
「あ~……俺のファンを名乗る女性冒険者って、だいたいが装備の値引き目的で近づいてくるのばっかりでさ。ファンとかそういうのはちょっとな」
「いたんですか?」
「まあ、片手で数える程度には。でも何時からだったかな、そういうのがパッタリ現れなくなったんだよ」
「そうですか……」
めぐみんが鍋から視線を外してダクネスに向け、すぐに引っ込めた。
「おいめぐみん、なぜ私の方を見たんだ?」
「いいえ、何でもないですよ」
ダクネスの追及をめぐみんはひらりと躱す。おっと、そんなことを話していたら。
「ゆんゆん、そろそろ麺が茹で上がるから丼出してくれ」
「わかりました」
晩御飯を済ませ、風呂に入っていたら夜も更けた頃。
「ハルキさん、起きてますか?」
ベッドで横になっていた俺の部屋の扉がノックされた。声からしてゆんゆんだろう。
「起きてるぞ」
ベッドから起き上がり、扉を開ける。扉の前では、ゆんゆんが覚悟を決めたような眼差しで俺を見上げている。一体どうしたのだろうか?
「部屋に入ってもいいですか?」
「おお。どうぞ」
俺はゆんゆんを部屋に入れ、扉を閉めて向き合う。
「それで、どうしたんだ?こんな夜中に」
「そ、その……」
ゆんゆんは1歩俺に近づき、手を力強く握りしめると。
「私、ハルキさんの子供が欲しい!」
ちょっと何を言っているかわからない。
なんて、真剣な眼差しをしているゆんゆんに言えない。そして少し遅れて。
「確保ぉー!」
「めぐみん!?ダクネスさんも!?」
めぐみんの声に合わせてダクネスが扉を開け、ゆんゆんを羽交い締めにして部屋の隅まで連れていく。続いて部屋に入ってきためぐみんはゆんゆんの前に立つとビシリと指を突き出して問い詰める。
「ゆんゆん!貴女は自分が何を言ったか、わかっているのですか?8つも年が離れていて、
「誰が嫁だ!」
しかし、ゆんゆんは力強くめぐみんに反論する。
「私だって、本当ならそんなことしたくないわよ!でも、そうしないと世界が」
「うるせえなぁ!もう夜中なんだから安眠させろよ!」
ゆんゆんの力強い反論で目が覚めたのか、お冠な和真が部屋に突入してきた。何だこの状況。どうしろというのだ。
「カズマ!夜中に騒いだことは謝りますが、それはそれとしていいところに来てくれました。貴方からもゆんゆんに一言言ってあげてください!」
「悪い、その前に事の経緯を説明して。騒がしいとしか思ってなくて何がなにやらさっぱりで」
~爆裂娘説明中~
「大体わかった。取り敢えず、ゆんゆんは事情を説明してくれ。何か理由があってのことなんだろう?」
「はい。ちょっと待っててください」
そうして部屋を出たゆんゆんが持ってきたのは、封筒だった。そこから手紙を2枚取り出し、和真に手渡す。
「これって、ゆんゆんの親父さんの手紙か?『この手紙が届く頃には、きっと私はこの世にいないだろう』いきなり物騒だな」
手紙の内容は、魔王軍が基地を紅魔族の里付近に建設したらしい。しかも、魔王軍は魔法に強い幹部を派遣したらしい。そして、魔王軍の基地を破壊することもできない状況にあるという。しかし、紅魔族の誇りにかけて魔王軍の幹部と刺し違えてみせるという覚悟が綴られていた。
「『族長の座はお前に任せた。この世で最後の紅魔族として、決してその血を絶やさぬように』」
「待ってください。ここにもう1人紅魔族が生き残っているのですが!」
と、激昂するめぐみんを無視して、和真は2枚目の手紙に目を通す。
「『里の占い師が、魔王軍の襲撃による、里の壊滅という絶望の未来を視た日。その占い師は、同時に希望の光も視た。紅魔族の唯一の生き残りであるゆんゆんは、いつの日か魔王を討つ事を胸に秘め、修行に励んだ。そんな彼女は駆け出しの街で、ある男と出会う事になる。頼りになる、それ故に苦労の絶えないその男こそが、彼女の伴侶となる相手だった』」
そこでめぐみんと和真、ゆんゆんとダクネスが俺の顔を見る。苦労の絶えない男が俺だと思っているのなら、普段の行動を改めてもらいたい。特にめぐみんと和真と、ここにはいないアクアの3人は。
「『やがて月日は流れ。紅魔族の生き残りと、その男の間に生まれた子供はいつしか少年と呼べる年になっていた。その少年は、冒険者だった父の跡を継ぎ、旅に出る事となる。だが、少年は知らない。彼こそが、一族の敵である魔王を倒す者である事を……』」
和真のその言葉に、めぐみんとダクネスが息を呑む。そして首をゆっくりと俺に向けて動かし、次にゆんゆんを見る。そして頭を抱え、唸り声をあげて悩む。ゆんゆんは縋るような目で俺の手を取り、お願いしますと言ってくる。しかし、和真は手紙から目を離さなかった。何故だ。
「『……【紅魔族英雄伝 第1章】著者:あるえ』」
「「「ゑ?」」」
その和真の一言に、全員が振り返る。
「『追伸 郵便代が高いので、節約の為に族長に頼んで同封してもらいました。第2章が出来たらまた送ります。良ければ感想やアドバイスのお手紙も欲しいです』って……。ほら、よく見ると1枚目と2枚目の手紙で字が違う」
「ああああああああーっ!」
ゆんゆんは突然手紙を奪い取ると、丸めてゴミ箱に投げ捨てた。
「あるえの馬鹿あああああ!!紛らわしいことしないでよおおおおっ!!」
床に突っ伏し、おいおいと泣き出したゆんゆんをダクネスに任せる。
「なあめぐみん。あるえis誰?」
「あるえというのは、紅魔の里の同級生ですよ。作家を目指しているそうで、物語を執筆しては私達に読ませて感想を欲しがる変わり者なんです」
めぐみんの言葉に、和真がホッとしたような表情を浮かべる。
「それを聞いて安心し、いや安心するにはまだ早い。それってつまり、魔王軍が基地を建設したってのは事実なんだよな?」
「でしょうね。紅魔族は以前から魔王軍の目の敵にされていましたから、とうとう本腰を入れて里を攻め落としに来たんでしょう」
めぐみんはこうなることをある程度予想していたのか、落ち着き払っている。それに対し、ゆんゆんは泣いてる場合じゃないと立ち上がり取り乱す。
「ねえめぐみん、どうしよう!?里が襲われているのって本当だと思う!私達はどうすればいいと思う!?」
ゆんゆんの肩に手を添え、諭すようにめぐみんは答える。
「我々は魔王も恐れる紅魔族です。里の皆がそう易々と、ただでやられるとは思えません。それに、私とゆんゆんがいる限り、紅魔族の血が途絶えることはありません。ですから、こう考えるのです。里の皆は何時までも、私達の心の中にいると」
手紙で自分を無視されたことに怒っているのか、そんなことをめぐみんは言った。
「……というのは冗談ですよ。いくら私でも、両親と妹に死なれるのは非常に困ります。明日、いえそろそろ今日でしょうか。紅魔の里に帰ってみましょう。私も実家の様子が気になりますし」
と思ったら、180度真逆のことを言いだした。ダクネスと和真、俺にめぐみんが一緒に来るか訊ねる。まあ、ゆんゆんとめぐみんの2人だけだと不安しかないから同行するしかないだろう。主に喧嘩っ早いめぐみんが。
女性陣が部屋に戻る道中の事。
「ゆんゆん。貴女は、何故ハルキを選んだのですか?あの手紙の男性の条件は、カズマも当てはまると思うのですが」
「そ、そうかな?」
「……考えてみれば、そうだな」
私の意見を聞いたゆんゆんが動揺する。しかし夜中なので騒ぐわけにもいかず、器用に小声で慌てています。
「ゆんゆん。貴女、まさかハルキに横恋慕を……」
「ち、違うから!生まれてくる子供のことを考えたら、良くない話や噂のあるカズマさんよりも、ハルキさんのほうが良いと思っただけだから!だからダクネスさんも無言で睨まないで下さい!」
「そうは言いますが、ゆんゆん。万が一にもハルキが貴女を抱けば、
私の指摘に、ゆんゆんが押し黙る。どうやら焦るあまり、そこまで考えに至っていなかったようです。こんなんで族長が務まるのでしょうか。彼女は冷静になって物事を考えることを身に着けるべきですね。お前が言うなという誰かの声が聞こえたような気がしますが、気のせいでしょう。
そして日は昇り、朝。
ギルドで紅魔の里周辺の地図を購入した俺達は、ある場所へ向かっていた。
「里は現在、魔王軍と交戦中らしい。だから、遠くから様子を窺ってみて、手紙の通りに危険そうならそのまま帰る。道中、魔王軍の姿を見かけてもそのまま帰る。周辺のモンスターはどれも強力なので、戦闘も極力避ける方向で!」
和真らしい
「へいらっしゃい!上がり易い職業のクセにちっともレベルの上がらない男と、うっとおしい光溢れるチンピラプリースト!ネタ魔法しか使えないネタ種族と、下手に常識を持ち合わせているが故に浮いているネタ種族その2!そして、アルカンレティアで同衾したことを思い出すと動悸が激しくなるバカップルよ!丁度良いところに来たな!」
さあ、入れと言うとバニルが俺達の背後に回り、背中を押す。店内にはウィズの姿が見えない代わりに、しくしくと泣く声が聞こえる。
「丁度良いところにってなんだよ。またガラクタでも仕入れたのか?」
「とんでもない!今回の品は、貴様もお気に召すこと間違いなしであるぞ!」
そう言ってバニルが差し出したのは、蓋の開いた小箱。
「……なんだこれ?」
「アンデッド避けの魔道具だ。蓋を開けるだけで、アンデッドを寄せ付けない神気が半日ほど漏れ続けるアイテムだ。ほれ、貴様のとこにはアンデッドホイホイがいるであろう?この度の旅行では、ソレのせいで馬車旅を断念したとポンコツ店主から聞いておる。これを持っていれば、外でもグッスリと安眠できること間違い無しである!」
「ちょっと、アンデッドホイホイだのソレだの言わないでもらえる?」
「それでバニル、デメリットは何だ?」
アクアを無視し、バニルと和真は会話を続ける。
「そんなものはないぞ。強いて言えば、値段が高い上に使い捨て商品だという事くらいか。効果は抜群!箱をうっかり開けた店主が店の奥から出てこられなくなり、先程からずっと泣いている程度には高性能だ」
バニルの言葉を聞いて、俺達は小箱に蓋をして窓を開ける。そして和真は財布を取り出し、金額を訊ねる。
「お1つたったの100万エリスである」
「高えよ!それを買うくらいなら集まってきたゾンビと戦ってレベル上げするわ!」
和真の抗議を無視し、例の小箱をせっせと袋に詰めたバニルは。
「良いではないか。何せ貴様ら兄弟は、これから大金持ちになるのだからな!兄と同様、現在までの全商品の知的財産権を、総額3億エリスで買い取り!この契約で良いな?」
そう言いながら、一枚の契約書とペンを取り出してきた。
「3億エリス……!この男がそんな大金を手にすれば、いよいよ働かないダメ人間に……!」
悩み顔のダクネスが、頭を抱える。
と、アクアとめぐみんが満面の笑みで近寄り、袖をクイクイと引っ張る。
「カズマさんカズマさん。私、屋敷にプールが欲しいんですけど」
「私は魔力回復効果があると言われている、魔力清浄機が欲しいです」
「おっと、金の匂いを嗅ぎつけた亡者どもめ。プールや魔力清浄機は高そうだからまだ無理だが、今の内に旅に必要そうなアイテムでも見てこいよ」
アクアとめぐみんに促すと、2人が店内の物色を始めた。
「和真、お前の分も何が探しておこうか?」
「いや、いい」
~店内物色中~
そして、和真がバニルと話を終え、ウィズにテレポートで紅魔の里に転送を依頼し終えた頃。
「じゃあ、買うのはアンデッド避けの小箱で」
「毎度あり!」
結局買ったのは、アンデッド避けの小箱だけ。他の魔道具だが、どれも旅に必要がなさそうだったり、メリットとデメリットが釣り合わないガラクタばかりだったので止めた。
ウィズが魔法の準備をする中、バニルが和真の耳元に口を寄せて小声で何か話していた。そうこうしている間にウィズの魔法も準備が終わり。
「では皆さん。どうか、無事な旅を送られますよう……!『テレポート』!」
ウィズの魔法を受け、思わず閉じた目を開く。
そこに広がっているのは、水と温泉の都アルカンレティア。
案の定アクアが1泊したがるが、めぐみんとゆんゆんのご両親へのお土産の購入だけで用事を済ませ、整備された街道を歩く。
街から里までは徒歩で2日ほど。硬さに定評のあるダクネスが先頭に立ち、道中の危険なモンスターは俺と和真の敵感知スキルと聞き耳で探知して進んでいく。
「……待て、誰かいるぞ」
先頭を歩いていたダクネスが、突然立ち止まり、林の入り口を指さす。
そこには、岩の上に緑髪の少女が腰かけていた。少女はこちらに気づいたのか、手を振ってきた。時折、血の滲んだ包帯を巻いた右足首をチラチラと見ては、痛そうに顔を顰める。そして、上目遣いでこちらを見てきた。
それを見て、俺と和真の敵感知スキルが反応した。
「怪我してるじゃない。ねえ貴女」
「『投擲』」
大丈夫?とアクアが問いかけるよりも早く、俺の投げナイフが少女の眉間に突き刺さる。む、反応が消えない。ならばと心臓を狙って再度投げナイフを投擲しようと。
「この鬼!悪魔!外道!あんたには良心ってものが無いの!?」
「失望しました!カズマが鬼畜だの外道だの評されるのは貴方の影響だったのですね!」
したところで、アクアとめぐみんが掴みかかってきた。ゆんゆんも涙目で俺を睨みつけ、無言の非難を浴びせてくる。
「アンバサ」
その隙に、和真が刀──ちゅんちゅん丸(命名者:めぐみん)で少女の首を刎ね、合掌した。よし、反応が消えた。
「なんてこと!兄弟揃ってこんないたいけな少女を手にかけることを躊躇わないなんて!」
俺に掴みかかっていたアクアが頭を抱え、天を仰ぐ。めぐみんとゆんゆんは顔面を蒼白させ、ダクネスの背後に隠れる。しかし、ダクネスだけは女性陣のなかで唯一冷静にしていた。
「皆落ち着いてくれ、まずはカズマとハルキに理由を聞こうじゃないか。ハルキ、カズマ、何故あの少女を手にかけた?」
ダクネスに問われ、和真が地図を取り出し、モンスター情報が記載されている欄を指さす。
「ほれ、ここに『安楽少女』ってのがいるだろ。直接の攻撃力を持たない代わりに、旅人や冒険者に対して庇護欲を抱かせる行動を取り、誘き寄せる。そんでもって餓死させて、養分にしてる。ってさ」
「だから、私達の情が移る前に仕留めたのか」
そう説明すると、アクアが俺と和真に1歩近づく。
「あのね、それならそう言ってからしてくれない?いきなりのことでビックリしたんですけど」
「そうは言うけどよ、お前、あの娘の傷の具合聞いてただろ。あのまま情が移ったらどうするつもりだったんだ?」
和真に言われ、アクアがうぐっと唸り目を逸らす。女神としての性か、アークプリーストという職業柄か、おそらくあのモンスターを守ろうとしただろうな。
「……まあ、何も言わずにやったのは悪かった。今度からは説明した後で行動する。それでいいか?」
「「「最初からそうして頂戴(ください)」」」
俺が謝罪すると、アクア達が口を揃えて言った。
街道を歩いている間に日も沈み、夜の帳が下りる頃。街道沿いの地面の上に、野営の準備を行う。と言っても、大きめの石を取り除いてレジャーシートを広げる位しかしていないが。
この辺のモンスターは強い。
灯りに寄ってこられるとまずいので、火は焚かず、暗闇の中で身を寄せ合って寝ることにした。
バニルから買った魔道具の蓋を開け、皆の荷物をレジャーシートの真ん中に置いて背もたれのようにする。
今日の天気が曇りのせいで、周りは良く見えない。そのため、夜の見張りは俺と和真が行うことに。
「……カズマ、ハルキ。本当に2人に寝なくても大丈夫ですか?スキルの特性上2人が起きているとありがたいのですが……」
めぐみんが、闇の中でそんなことを言ってくる。
「気にすんな。俺達は夜に強いからさ。俺達が住んでた国じゃ、徹夜で何かやるなんて割とあったからな」
「ああ」
その、和真の言葉にめぐみんが。
「そうですか……。そういえば、カズマとハルキ、アクアはどこに住んでいたのですか?寝る前に、少し3人の国の話が聞きたいですね。カズマとハルキが開発した商品の数々を見るに、便利な魔道具がたくさんある国みたいですが。カズマとハルキは、そこでどんな暮らしをしていたのか気になります」
めぐみんのその言葉に、ゆんゆんも興味があるのか、こちらを窺う気配がする。ダクネスも久しぶりに聞きたいのか、隣から窺ってくる。
「そうだな……下手なモンスターよりも、自然災害と人がおっかない国だった」
「「ほうほう」」
めぐみんとゆんゆんが食いついた。
「春は梅雨の大雨で河川が氾濫して街が水没したり、土砂崩れで麓の家屋が埋もれたり押し潰される。夏は国全体が蒸し風呂みたいな暑さに包まれて、毎年のように体調を崩したり、亡くなる人がでる。んで、秋は台風で梅雨に起きる水害に加えて、家屋の屋根が吹き飛んだり樹木がなぎ倒される。冬は大雪が降ってな。地域によってはめぐみんがすっぽり埋もれるくらいの雪が積もったりする。吹雪なんかやべえぞ?周りが文字通り真っ白になって何にも見えなくなって、自分が何処にいて何処に向かっているのかわからなくなる。更に、1年の内に必ずどこかで地震が起きて、沿岸部だと津波が起きる。この津波が凄くてさ、酷いときは堤防をぶち破って沿岸部の街を丸ごと飲み込んで、建物の殆どを瓦礫に変える」
「「……」」
めぐみんとゆんゆんが閉口する。
「で、人がおっかないって言った理由だけど……何でそうなったのか知らないけど、俺達のご先祖様はそんな国で800年も内戦を繰り広げていたらしい」
「「ゑ?」」
おそらく、めぐみんとゆんゆんは自分の耳を疑っているのだろう。ダクネスは、そんなことも聞いたなと懐かしそうにしていた。
「……すいません。カズマとハルキのご先祖様は、蛮族か何かですか?紅魔族の私もドン引きなんですが」
そうだそうだとゆんゆんも言っている。
「蛮族って
本当に自然って怖いんですよ。時に人間の予想を遥かに上回るパワーを発揮するんですから