この兄弟に祝福あれ   作:大豆万歳

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アニメ第1期後半、スタートです
監督つながりでプリコネRのアニメ見ましたけど、面白いですね。これを機にゲームの方も……駄目だ、3足の草鞋は金銭的に厳しい。


第6話

 鍛冶師の朝は早い。

 

『コケコッコー!』

「……む」

 

 鶏の鳴き声とともに、無理矢理目を覚ます。

 布団を畳んで部屋の隅に置いて外に出て、太陽に向かって手を合わせて拝む。

 

「冷たっ!」

 

 井戸から汲んだ冷水で顔を洗い、完全に目が覚めたところで鶏小屋から卵をいただき、工房に戻る。そして俺はフライパンとお玉をガンガン鳴らし。

 

「起きろー。朝だぞー」

「うぅ……」

「わかった……」

「……むぅ」

「おあよー」

 

 和真達を叩き起こす。

 何故、和真達が俺の工房で寝泊まりしているのか、話は数日前に遡る。

 

 

 

 

「兄さん!どうか兄さんの工房で寝泊まりさせてください!」

 

 そう言って深々と頭を下げる愚弟(和真)

 今の季節は秋から移り変わり、冬。

 冒険者達が宿に部屋を借り、春が来るまで籠る季節。和真も本来なら宿に部屋を借りるなりしているはずだが、そういうわけにもいかない。

 

「ちょっと待て……5人で寝るだけの広さは確保できそうだから、良いぞ」

「ありがとう!あとは金だ、それも借金を帳消しできる額を稼がないと……」

 

 和真の言う通り、俺達には高額の借金がある。

 魔王軍幹部ベルディア。これを俺達は死傷者0で討伐し、報酬を受け取った。しかし、討伐の過程で発生した洪水で街に被害が生じ、これの原因である俺達は賠償金を請求されてしまった。その額およそ3億4千万。ベルディア討伐の賞金3億は借金返済に消し飛び、残る4千万は未返済のままだ。

 

「ハルキ。工房の奥に何かあるのですが、あれは何ですか?」

 

 アクアと揃って工房内を見ていためぐみんが、奥に配置されている神棚を指差す。

 

「ああ、それは神棚っていってな。ざっくり言うと、個人の家で神様を祀るために設置している小さな祭壇だ」

「なるほど。祭壇であるならば祀る神がいるはずですが、どなたを祀っているのですか?」

「そうだな……まず向かって右側に幸運の女神エリス。左側に水の女神アクア。それで真ん中に太陽の女神天照大御神。この3柱だ」

 

 せっかくだから拝んでおけというと、和真が真っ先に手を合わせて拝み、それにめぐみんとダクネスが続いた。しかし、アクアだけが断固として参拝をしなかった。

 

「おいアクア。お前も拝んでおけって」

「嫌よ。寧ろ女神である私がここにいるんだから、私を拝みなさいよ」

「いいからさっさと拝むんだよ。あくしろよ」

「絶対に嫌!エリスに手を合わせたら先輩としての威厳がなくなっちゃうでしょ!」

 

 普段のお前の言動から威厳というものを微塵も感じたことがございません。なんて言ったら余計騒がれるだろうな。

 

「だったら天照様に手を合わせろ。それなら問題ないだろ」

 

 

 

 

 そして、冒険者ギルド。

 

「じゃあ……クエストだけど、俺達と兄さんの二手に分けようと思う」

 

 掲示板でにらめっこをしながら、和真がメンバーの皆に告げる。

 

「二手に分けるのはいいんですが……大丈夫ですか?どれも高難易度なものばかりですが」

 

 不安気な表情で、めぐみんが俺と和真を交互に見る。

 

「まぁ、そこは請けるクエストによりけりだけど……兄さん、これは兄さん単独(ソロ)でいける?」

 

 和真が提示したのは、冬眠から覚めてしまった一撃熊の討伐だった。討伐なら200万、追い払うだけなら50万。

 

「熊か、他のクエストに比べればまだ簡単だから行ってくる」

「本当!?いやー、兄さんとパーティー組んで正解だったな」

「頼もしいですね。というか、一撃熊を倒せる実力を持っているのに、なぜこの街にいるのですか?」

「この街が気に入ってるからだよ。じゃ、行ってくる」

「行ってらー」

「ダクネス、こいつらのこと任せた」

「任せろ」

 

 

 

 

「どこだ……」

 

 街から離れた森林地帯。目撃情報のあった畑から一撃熊の足跡を辿り、聞き耳で熊の居場所を探る。

 

「グルルル……」

「……(見つけた)」

 

 潜伏で樹の陰に隠れ、目標である一撃熊の姿を千里眼で視認する。

熊はまだこちらに気づいていないのか、辺りを見渡して食糧になりそうなものを探していた。

 樹の陰に隠れながら、俺は熊を仕留めるための作戦を練る。

 プランA:このまま樹の陰から心臓に狙撃で矢を放つ

 プランB:矢が外れてこちらの存在がばれたら、大楯で熊の攻撃を防ぎ、突撃槍で心臓を狙う

 弓に矢を番え、弦を引き絞り、静かに時間が来るのを待ち続ける。

 

「……。…………。…………狙撃!」

「ガウッ!?」

 

 熊がちょうどこちらに体を向けたと同時に、矢を放つ。

 放った矢はまっすぐに肋骨の間、心臓のあるあたりに突き刺さり、熊もそのまま仰向けに──。

 

「ブオオオオッ!」

「畜生!ズレた!」

 

 倒れず、殺意の波動を放ちながらこちらに向かって駆け出してきた!

 しかし!そのためのプランB!

 俺は弓をしまい、大楯を構え、突撃槍を手に熊に向かって駆け出す。

 

「どすこい!」

「グガァッ!?」

 

 熊の張り手を大楯で防ぎ、突撃槍を心臓に突き刺す。

 熊の最期の足搔きに数秒ほど耐えていると、熊は動かなくなった。……聞き耳を使ってみるが、心音もしない。完全に死んだな。

 

「さて、血抜きをしたら荷車に積んで、街に帰ろう」

 

 熊の喉をナイフで切開し、別のクエスト対象である白狼の群れが来ないことを祈りつつ、荷車を停めてある依頼主の畑に向かった。

 

「あいつら、クエスト大丈夫かな。ダクネスがつまんねえ意地張ってなければいいんだが……」

 

 

 

 

「ほい、ちゃんこ鍋ともつ煮出来たぞー。骨はこのボウルに入れてくれ」

「「「「いただきます」」」」

 

 時間が過ぎて、夜。

 クエストを終え、借金から天引きされた報酬をもらった俺達は、俺の工房で鍋を囲んでいた。

 和真達のクエストだが、俺の予感は的中してしまった。

 和真達の請けたクエストは雪精の討伐。

 1匹10万と高額だが、そこにはとんでもないリスクが存在した。

 それは特別指定モンスターの1匹で、雪精達の主、冬将軍。俺と和真は日本にいた頃、この時期になると天気予報で耳にしたことがある。そう、日本にいた頃は(・・・・・・・)

 そして、精霊は出会った人たちの無意識に思い描く思念を受け、姿形を得る。

 要するに、冬=冬将軍という連想をしたどっかのバ……俺や和真よりも先にこっちの世界に来た日本出身のチート持ちが冬にクエストをバンバンこなしていたら生まれてしまったモンスターだ。

 こいつに遭遇した時の対処方法は、土下座で誠意を示すか、死んだふりでやり過ごすかだ。

 だが、案の定ダクネスが騎士のプライドだのとつまらん意地を張り、そのせいで和真は死んだ。まあ、アクアの蘇生魔法のおかげでなんとかなったけれど。腐っても女神か。

 

「とりあえず、アクアの忠告通り暫くは大人しくするわ」

「その方がいいな。だが金はどうする?」

「……ギルドで内職紹介してもらう」

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