この兄弟に祝福あれ   作:大豆万歳

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このすばを読んでて常々思ってました。日本特有の方言、訛りが足りないと。なので、試しに喋らせてみました。一応標準語でルビもふりますが、読みづらければ標準語に戻します。



5/24標準語に戻しました


第7話

「ただいま~」

「おかえり。内職のほうはどうだった?」

「なにもなかった。めぐみんとダクネスはどこに行った?」

「日課の爆裂散歩に行ったぞ。今の和真にめぐみん抱えて帰るのは酷だってよ。アクアは?」

「酒盛りしてたから宴会芸で盛り上げてくるって、ギルドに置いてきた」

「そうか」

「……兄さん」

「どした?」

 

 工房に入ってきた和真が目の色を変え、ベルディアの鎧と大剣をどけて椅子を置き、俺の隣に座った。

 

「その、手元にある木と金属のパーツで構成されたそれはまさか……」

「そのまさか。コンテンダーだ」

 

 俺は手元のパーツを組み立ててコンテンダーを作り、ガンスピンを披露する。

 ごくり、と和真が生唾を飲む。

 

「弾丸は?」

「現時点で拳銃弾・散弾・ライフル弾がそれぞれ6発ずつある」

「他の銃は何かある?」

回転式拳銃(リボルバー)鎖閂式小銃(ボルトアクションライフル)。あとはポンプアクション散弾銃(ショットガン)自動拳銃(セミオートマチックピストル)を製作中だ」

短機関銃(サブマシンガン)とか突撃銃(アサルトライフル)とかは……」

「俺の趣味じゃないから作らん」

「知ってた。けれど兄さん、この剣と魔法のファンタジー世界に銃は不釣り合いじゃない?」

「7以降のFF見ても同じこと言えるかよお前」

「それ言われたら反論できねえわ。まあそれはそれとして……」

 

 和真が満面の笑みを浮かべ、両手を差し出す。

 

「コンテンダー、俺にも1つ作ってくれない?」

「駄目だ」

「じゃ、じゃあ街でちょっと宣伝を」

「それも駄目だ。5種とも完成して、この世界での銃の価値が判明するまでは秘密だ。勿論、お前も秘密を守ってもらう」

「……もし破ったら?」

「お前の小さい頃の恥ずかしい話を、街中の冒険者達に暴露する」

「お天道様に誓って秘密を守ります。太陽万歳」

 

 和真は椅子から立ち上がり、太陽賛美のポーズをとった。

 

「そうだ和真。実は真面目な話があるんだ」

「なに?」

 

 俺は銃のパーツをしまい、椅子に座るよう促す。

 

「俺とダクネスのパーティーなんだがな、クリスの他にあともう1人いたんだよ。上級魔法取得してくるって言って、今は街にいないがな」

「上級魔法ってことは、アークウィザードか。……ところでその人は男?女?」

「女だ。名前はゆんゆん」

「おかし、じゃなかった独創的な名前のアークウィザード……まさか、めぐみんと同じ紅魔族?」

「そうだ。それで、話ってのは彼女が街に戻ってきたときのパーティーメンバーの話だが。お前の意見が聞きたい」

「めぐみんみたいな変わり者じゃなければ大歓迎です」

「安心しろ。あまりの常識人ぶりにひっくり返ること間違いなしだ」

 

 俺の言葉を聞いた和真は静かに、しかし力強いガッツポーズをした。

 

 

 

 

 翌日。

 

「ごめんくださーい。佐藤陽樹さんはいらっしゃいますかー?」

「はいはーい。いますからちょっと待ってねー」

 

 工房の入り口に立ち、扉を開ける。そこには男1人と女2人が立っていて──。

 

「あ、貴方は!」

「お前は……誰だっけ?」

「御剣響夜です!以前、貴方の弟に決闘を挑んで敗北した!」

 

 ああ、魔剣の痛い奴か。

 

「すまん。碌に会話もしてなかったから覚えてなかった。で、用件は?」

「その……以前の件で、魔剣を失った自分がどれほど無力なのかを思い知りました。それで、このままではいけないと思い、武器の製作を依頼しようとしたところ、貴方を紹介されたのですが……」

 

 御剣は仲間をチラチラと見ながら頬を掻いている。この間の件があって依頼しづらいのだろうか?

 

「仕事の話なら大歓迎だ。詳しいことは中で話そうか」

「い、いいんですか?」

「この間の件なら、和真と直接話をつけてくれ」

「は、はい。失礼します」

 

 御剣は一礼すると、工房内に足を踏み入れる。

 

「さて、注文は?」

「僕はソードマスターですので、剣をお願いします」

「ひとくちに剣と言ってもいろんな種類がある。どんな剣がいい?」

「僕の防具と不釣り合いかもしれませんが、打刀をお願いします。刃渡りは60㎝程で」

「鍔の形や、装飾なんかでリクエストはあるか?」

「鍔はシンプルな丸型で。装飾の希望は……特にありません」

「素材は?」

「高純度の玉鋼をこちらで用意したので、刀身はそれでお願いします」

「わかった。柄作成のために、手の大きさを測らせてくれ」

「はい。どうぞ」

 

 御剣の注文を一言一句聞き逃さず、羊皮紙に記していく。

 

「さて、一番重要なことだが、予算は?」

 

 俺が問うと、御剣は金の詰まった袋を差し出す。

 

「これでお願いします」

「……よし、これで請け負った。製作中に何かトラブルがなければ、1週間程で完成するだろう」

「わかりました。では、1週間後に」

 

 

 

 

 同時刻、ギルド。

俺は、同じテーブルにいた戦士風の男から、品定めでもするような目で見られていた。

 男の名前はダスト。兄さん曰く、『名は体を表すの体現者』。借金を返すために借金を元手にギャンブルするろくでなし。

 そんな男に絡まれたものだから、一体なにをされるのか警戒している。

 

「……ハルキの弟であるお前に、俺から1つ依頼がある」

「依頼?」

 

 どんな無理難題をふっかけられるのか、俺は咄嗟に身構える。

 

「実はな、街の冒険者達の間では、お前の兄貴とクルセイダーの嬢ちゃんがデキてるって噂がある」

「兄さんとダクネスが?そうは見えなかったけど」

「お前は知らないかもしれないが、あの2人は普段から一緒に行動しているのが目撃されている。クエストに行くのも、飯を食うのも、寝るのも一緒なんだぜ」

「じゃあ、俺とアクアはどうなるんだ。飯も寝床も一緒だったぞ」

「それだけじゃねえ。たまにダクネスがハルキに気を遣ってか宿に泊まるんだが、夜中にハルキが部屋に入ってはイチャイチャして、朝には何事もなかったかのように振舞ってるらしいぜ」

「それは流石に深読みしすぎだと思う」

「んなことはわかってる。だからこそ、カズマには噂の真偽を確かめてもらいたいんだ」

 

 噂話の調査。正直面倒くさいが、俺にとっても悪い話じゃない。仮に噂が事実だった場合、義弟(おとうと)という立場を利用してダクネスに強気に物申すことができる。具体的にはスキルポイントの振り方だとか、あの性癖についてだとか。

 

「……まあ、2人の動向を見張るだけの簡単な仕事なら、請けてもいいぞ。肝心の報酬は?」

 

 報酬の話を持ち出すと、ダストは周囲を見渡して小声で話し始めた。

 

「この街にはな、サキュバス達がこっそり経営している、良い夢を見せてくれる店があるらしい」

 

 その時、俺の下半身に電流走る。

 サキュバス。男性の夢に相手好みの姿に化けて現れるという、女性悪魔。日本では空想上の存在だったけれど、ここは剣と魔法のファンタジー世界。魔王にアンデッド、女神がいるのだから、悪魔も実在するのか。

 しかし、そんな素晴らしい店がこの街にあったのか。そういうお店があれば、性犯罪の抑止になるだろう。誰もが賢者タイムであれば、穏やかな心でいられる。発散できずにイライラすることもなくなる。この街の治安の良さには、彼女達の存在が大きいのか。

 

「らしいってのは、その店が街の何処にあるのかまだ把握していなくてな。で、報酬なんだが、その店で俺が奢ってやる」

「ってことは、依頼の期限はその店を見つけるまで?」

「いや、期限は1週間くらいで頼む。明日明後日で見つかったりしないだろうし、そっちの依頼もそのくらいの日数は必要だろ?」

「わかった」

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