If it is not "IF"   作:たまごぼうろ

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皆さん初めまして。いつも読んでくれている方は、またお会いできて嬉しいです。
たまごぼうろ、と申します。
普段は同ハーメルン内にて「私的鉄心エンド」というSNの二次創作を書いている者です。

先日遂に配信されましたね、オリュンポス。
私も一昨日クリアしたのですが、その内容がしんどすぎたので、こうして発散することにしました。
所謂、自家発電という奴です。てぇてぇが無いなら自分で書いてしまおうという。
きっとクリアした方なら、私のこの感情が分かるはず…!

あらすじにある通り、この物語は2部が起こらなかったカルデアでの話を、キリシュタリアの視点から描くものとなります。
故に、連載と言うよりは短編、それもかなり短いものだと思います。
どうかお付き合いして頂ければ幸いです。


では、貴方を一時の夢へとご招待。
どうか、良い空想を。



目覚め

夢の話、ユメの話。

有り得たかもしれない、現実()の話。

有り得なかった、(現実)の話。

 

もし、私たちが敵ではなくて。

もし、私たちが友となって。

もし、もし、もしーーーーー

 

そんなIFを重ねに重ね、空想に空想を織り込んだ、誰も知りえない夢想の念。

 

 

でも、それでも。

もし、このユメが現実となるのなら。

 

 

 

 

 

 

 

『ーー治療が完了しました。生命維持装置、機能停止を確認。呼吸、脈拍、心音、全てに置いて正常を確認。精神状態、基準値を確認。コフィンの解放を許可。

皆様、おはようございます。只今の時刻はーー』

 

 

 

耳をつく機械音声が、意識を暗闇から引き上げる。

地を足を着く感覚。空気が肌を撫でる感触。

ゆっくりと瞼を開く。

白。

最初に目に入った色はそれだった。

天井を塗りつぶす白色は、無機質なものを思わせる。

僅かに重い体を起こす。

私は、なにか機械のようなものの上に横たわっていた。

寝台のように置かれたそれからは、コードのようなものが幾本にも私の体に取り付けられている。

周りを見渡す。

やはりここでも、私の視界には白しか見られない。

あるもの全て、床も壁も、ベッドやシーツに至るまで、何もかもが白い部屋。

人工的なこの部屋に、自分自身が異物になったかのような錯覚を覚える。

 

 

 

『あー、あー、聞こえるかい?聞こえたなら返事をして欲しい。そうだな、聞こえていれば、軽く手を挙げて貰えるかな』

 

 

どこかから声が聞こえた。

先程の機械音声と違う、美しい女性の声だ。

思わず聞き入るような、囀るような声色は、どうやら私に問いかけている。

 

 

 

「ーーーーー貴方は、」

 

 

 

自分の声を、久しぶりに聞いた気がする。

良く通る、それでいて澄んだ男の声だった。

今まで、私は何をしていたんだっけ。

 

 

 

『……驚いたな。もう話せるのかい。流石は天体科の秀才、といったところか。君、身体的には生まれたての赤ちゃんと大差無いんだぜ?』

 

 

 

天体科。

秀才。

こめかみに僅かな痛み。

聞き覚えのある単語だ。

 

 

 

 

「そう、なのか?」

 

 

 

内容を飲み込めず、反射的にそう返した。

どうやら、声の主は困惑している。

 

 

 

『全くだ、これではこの万能の天才の立場が無くなる。って、他のメンバーも同様!?おいおい、君たち一体どんな体してるんだ……?』

 

 

 

誰かと、話しているのか。

彼女は今、他の、と言った。

私以外にも、わたしのような人が居るのか。

溜息をつく声に、徐々に微睡んでいた意識が目覚めていく。

視界と共に、頭も少しづつ冴えていく。

 

 

 

 

『コホン!……早速だが、自分の事は分かるかい?バイタルに異常がない事は確認しているが、念の為の確認、というやつだ。自分の名前を言って貰えるかな?そこに、手鏡があるだろう。それで自分の顔を眺めれば、より理解が早いかもしれない』

 

 

 

横を見ると、確かに手鏡らしきものがテーブルの上に置いてあった。

ご丁寧に白く染め上げられたそれを手に取り、鏡面となる部分を覗き込む。

女とも見まごうような黄金の髪をした男が、目の前にいた。

金糸のような長い髪。

衰弱しているようにも思えるが、それでも、整い切っている、と言わざるを得ない精悍な顔立ち。

久しぶりに見た、見慣れた顔。

 

 

 

「…………………………む」

 

 

 

軽く、自分の頬を引っ張ってみた。

何とも間抜けで似合わない。

酷く不釣り合いな顔が、鏡の中に収まっている。

 

 

 

 

『……………え、えーと、何、してるんだい?』

 

 

 

声を聞き、他人を知覚し、自分を見た。

そこで漸く、意識が今に追いついた。

 

 

 

 

 

「ふふ、いや、すまない。」

 

 

 

 

 

軽く笑って、声の先へと視線を送る。

 

 

 

 

 

そうだ。私は、私の名は

 

 

 

 

 

「.......キリシュタリア。キリシュタリア・ヴォ―ダイム。それが、私の名だ」

 

 

 

 

 

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