If it is not "IF"   作:たまごぼうろ

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短編のつもりが書いているうちに長くなってしまっている。
やっぱり僕、話を短くまとめるの苦手だなぁ。
意外と長くなるかもしれません、気長にどうぞ。


目覚め②

『よろしい、流石だね。ついでに、私が誰だか分かるかい?』

 

 

 

「レオナルド・ダヴィンチ。我らがカルデアの英霊召喚例第三号。名目麗しき万能の天才にして、このカルデアの叡智の一旦の担う人理の守護者。これでいいかな?」

 

 

 

『正解、まぁ、これは聞くまででも無かったね。じゃあ次に今の状況だがーー』

 

 

私の意識がはっきりしていると確認するや否や、足早に話を先に進めようとするダ・ヴィンチ。

だがその前に、私にはどうしても聞きたいことが、否、聞かねばならないことがあった。

 

 

「その前に、質問を良いかな」

 

 

 

『いいだろう、なんだい?』

 

 

「一つ、私以外の者は無事かい?カドック、オフェリア、芥、ペペロンチーノ、ベリル、デイビット。皆の、Aチームの皆の様子はどうなんだい。先ほど起き上がったと聞こえたが?」

 

 

Aチーム。

クリプター、とも呼ばれる、このカルデアの最高戦力たちにして、私の大切な仲間たち。

 

カドック・ゼムルプス

真面目で努力家な青年。

その泥臭い在り方には、私も何度も姿勢を正せられた。

 

オフェリア・ファムルソローネ

強力な魔眼をもつ、魅力的な女性。

その戦闘能力は、私すら凌駕するだろう。

 

芥ヒナコ

無口で小柄な女性。

人との関りを断っていたが、それでも、私が知る限り彼女は協力的だった。

 

スカンジナビア・ペペロンチーノ

明るくチャーミングな、器の大きい人物。

彼、彼女?

いやまぁどちらにしろ、私たちのムードメーカーであったのは間違いない。

 

ベリル・ガット

陽気さと冷酷さを併せ持つ狂人。

けど、根は良い奴だった。志があれば、きっと分かり合えるはずだ。

 

デイビット・ゼム・ヴォイド

冷静沈着にして鋭い洞察力を兼ね備える秀才。

きっと彼なら、私が亡き後を継げると、信じさせて止まなかった。

 

 

彼らの安否が気になった。

どうか、どうかと。

のうのうと私だけが目覚めた、なんて事態にだけはなって欲しくなかった。

 

 

 

『そこについては安心していい。Aチーム全員、たった今凍結処理を解除したんだ。皆何事も無く目を覚ましたよ。だけどまぁ、まさか全員その場で起き上がれるとは思わなかったけど』

 

 

「そう、か。それは、良かった。……………うん、本当に」

 

 

 

ほっと胸を撫でおろす。

私がくたばらなかったのだ。

私には無いものを持つ彼らが、そう簡単に死ぬはずは無いと、分かってはいたが、それでも不安なものは不安だった。

そんな目下の懸念が取れたならば、次の質問。

私にとっては二の次だが、世界にとっては、こちらの方が重要だろう。

 

 

 

「じゃあ次だ。私たちは、どのくらい眠っていた?今は一体……いや、今と言う概念は、まだ残っているのかい?」

 

 

世界は、人理は、一体今どうなっているのか。

私たちの冠位指定は、どうなっているのか。

起き抜けで他人と世界の心配など、傲慢にも程があるが、それでも聞かざるを得なかった。

 

 

『ーーーー何もかもお見通しという訳かい。全く、寝起きくらいもう少し可愛げがあっても良いものだと思うけどね、私は』

 

 

 

「うん、すまない。それに関しては私でも同じように感じると思う。でも、事が事だ。場合によっては、一刻も早く外に出なければ」

 

 

 

『安心していいよ。君が思っているような展開にはならない。と言うか寧ろ、この状態でそこまで想定できるなら、私は君の顎が外れないか心配だね」

 

 

 

しかし、ダ・ヴィンチの反応は私の予想に反して軽いものだった。

というか、顎?

一体何のことだろう、まさか私の咬合器官になにか懸かっているのだろうか。

 

 

「???」

 

 

「まぁ聞きなよ、信じられない真実の話を。この場では簡単なものしか出来ないけどね」

 

 

 

 

 

 

それからダ・ヴィンチは数分にわたり、今の状況と、私たちの身に起きた出来事を説明してくれた。

レフ・ライノールの裏切りによって、私たちは致命的なダメージを負い、苦肉の策として肉体の凍結処理が行われたこと。

その直後、カルデアスが燃え上がり、人理が焼却されたこと。

そこまでは想定内だった。私の頭もそこまでは理解していた。

だが、その先は

 

うん、ちょっと、なんとも

 

 

 

「…………………………すまない。もう一度言ってもらえるかな、ダ・ヴィンチ。どうやら私もまだ、寝ぼけているようだ」

 

 

聞いた言葉に対する反応が追いつかない。

例えるなら、と考える事すら。

驚愕の色は、画面越しの彼にすら鮮明に伝わっていた。

 

 

 

『あっははははははは!!!!いやぁ、期待通りのリアクションをありがとう!君のそんな顔が拝めるのなら、何度でも言ってあげるさ』

 

 

 

「……………むぅ」

 

 

 

『そう拗ねないでおくれよ。…………人理焼却は解決されたよ、君たちでは無く、補欠となる予定だった、たった一人の、一般枠のマスターによる奮戦によってね。冗談みたいだろう?でも、見事なことに真実なのさ』

 

 

それをそうか、なら良かったと呑み込めるほど、私は器用では無かった。

いや、器用である自覚はあったけど、幾ら何でも無理だった。

 

 

解決、そうか解決されたのか。

うん、なるほど。

さっきのダ・ヴィンチの失敗は、何の比喩でも無かったのか。

頬っぺた、いや顎が外れる。

確かジャパンの諺に、そんなのがあったな。

 

 

ーーー冗談じゃない、確かに外れかけたぞ!

 

 

 

「それは、その、何というか.......、その、私たちの、立場が..............ね?」

 

 

 

 

『いや、そこはいいんだ。いやまぁ、君たちにしては良くないだろうけど。……………ん?何?カドックがまた意識を失ったって!?っ、あはははははは!!!!いやいいよ、少し寝かせてやりなさい。大丈夫、直ぐに目を覚ますさ。はぁ、おっかしい』

 

 

 

「今回ばかりはカドックを同情するよ、寝起きに一発ボディを喰らった気分だ。君、実は楽しんでいるだろう?」

 

 

仕方ないだろう。きっと他の皆も同じように驚いているはずだ。

まさか、本当にまさか。

一般人、それも補欠の、魔術すら使えない者が、世界を救ったなんて。

正直、魔術協会に近しい者ほど、受けるショックは大きいだろう。

つまり、カドックには覿面だったと言う訳だ。ご愁傷様。

 

 

『もっちろん!君たちのそんな顔、中々見られたものじゃない。録画ボタンを未だ推していない私の自制心を誉めて欲しいくらいだ。どうかな、君さえよければ、一枚写真に収めるというのは?私が万能の天才の名を懸けて、かのモナ・リザに匹敵する名画に仕上げてみせるが?』

 

 

 

「…………折角だが遠慮する。ぺぺやベリルは喜びそうだけどね、主に見る側で、だが」

 

 

この英霊のこういうところには、はたはた困らされる。

ただの悪ふざけをこうもスケールアップして言われれば。少しばかり、ほんの少し心躍ってしまうのを止められないからだ。

 

モナ・リザに匹敵する絵画、ね。

 

 

「驚愕の彩を描くなら、きっとデイビットの方が良いんじゃないのかな」

 

 

 

『勘弁してくれ。彼のそんな顔なんて、きっと目の前で見せられても信じられない』

 

 

 

「はは、確かに。それなら、私の方が適任だね。死んでもごめんだが」

 

 

 

『良かったよ、やる、なんて言われたら、ただでさえ忙しいわが身が更に大変になるところだった』

 

 

 

「……………君、自分で言ったんだろう?」

 

 

 

『…………………………』

 

 

 

薄い沈黙。

 

なにかまずいこと言ったかな。

いや、よく考えたらモナ・リザになれるのなら、別にやっても良かったかもしれないな。

写真くらい、別に減るものじゃないし、後の名誉の事考えると、かなり良い提案だったのでは?

 

 

 

『……………さ、さて!見たかった反応も見た事だし、一名を除いてもう皆動ける様だ。そこから出て来て貰えるかな。詳しい説明をする為に、一度全員に集まってもらいたいんだ。補助が必要なら申し出てくれ、なんて、君には要らないかな』

 

 

「君は気が回るのか回らないのか、どちらなんだ」

 

 

そう呟いて、ゆっくりと体を起こし、目の前にあるドアを開く。

久しぶりの肉体の行使も、意外と造作なく完了出来た。

最も、脳の処理はハードワークすぎるので、体の疲労具合はイーブン、といったところだが。

そうして、再びゆっくりと、ゆっくりと。

もう意識が覚醒してから何度目かも分からない溜息と共に、ゆっくりとドアを開けた。

仲間たちに会える喜びと、それ以上にカオスな感情を、胸に抱えながら。

 

 

 

 

「………はぁ、全く。納得できる説明はあるんだろうね」

 

 

 

『精神安定の暗示でもかけておくんだね。言っておくけど、こんなのまだまだ序の口だよ☆』

 

 

 

 

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