春秋時雨でございます
今年の関東は空梅雨で
雨があまり降らなかったのが残念です。
しかし、それでも湿度と気温は高いまま
熱中症に気を付けてこの夏を乗り切っていきましょう
それでは、どうぞ!
「
白雪の呟きは俺たちの耳に静かに
だが確かに響いた
やはりアリアは色金の保有者だったか
胸に納得と感慨を抱くと同時に
俺は動いていた
右手にある長刀『葵』を空中に放り投げ
右腰に吊るしておいた俺が本来持っていた刀の鞘を
右手で握り左手による抜刀術を放つ
「頼む『
瞬間、一筋の線がアリアに向かって奔る
いつもの高速で振るわれた刀の剣圧による斬撃ではない
刀から放たれた一閃がアリアの手首に迫る
アレはヤバイ
そう直感が告げている
だが流石に殺してしまうのはマズイ
故に攻撃の起点となる右手を狙う
距離にして僅か十メートル程度
その程度の距離であれば問題なく切り飛ばせる
そう確信して疑わなかった光景は
雪のように白く
兎にも角にも美しすぎる刀身によって砕け散らされた
あれは、アリアに渡した二本の刀の一振り『
武器の召喚自体はポピュラーともいえる魔術ではある
だが問題は
雪花という言葉の意味は読んで字のごとく
雪の降るさまを花に例えた。日本語にありがちな気取った言い方に過ぎない
だが
その雪をもってこちらの一筋の線を、
恐らくは無意識ではあるのだろうが
あっさりと異能刀の力を振るうことに驚きを隠せない
雪花の作り出す吹雪の壁はアサルトライフルの弾丸を苦も無く止める
それ程の防御力を前にアリアを直接狙うことは難しいか
「燃やせ、『
小鳥の突き出した槍から薄い炎が放たれた
その炎は目には見えずアリアとパトラの間を駆け抜ける
「シュウ兄!」
「ああ!」
アリアに何かをするのが難しいならばそれ以外から片づける
俺は空中に投げていた刀を左手で掴み
パトラ目がけて突きを放つ
「いっけっ」
突き出した刀から暴風が吹き荒れる
その風はパトラを飲み込み吹き飛ばしたその瞬間
アリアの指先から眩い緋色の光が打ち出された
・・・しかし
小鳥の放った炎によって光が屈折し
俺の放った暴風によって吹き飛ばされた瞬間のため
実際にパトラがいる方向とは大きく外れた方向へ光が放たれた
その先にあるピラミッドの天井を全て消し飛ばして
「・・・白雪、これをどうみる?」
「断面が凄く綺麗だから単純な威力が強いわけじゃないと思う
光が触れた対象の完全消滅か。それとも・・・」
白雪がアリアの発生させた現象について検討している中
そのアリアがふらっ、と意識を失ったように倒れそうになる
すぐに駆け寄ろうとしたがアリアを優しく抱き留める
「・・・おうキンジ、お前さん死んだんじゃなかったのか?
幽霊ってんならここに巫女さんがいるから除霊してもらえるぞ」
「あれは銃弾を噛んで止めたら鼻血が出て脳震盪を起こしただけだ
死んだように見えるからって勝手に殺すな」
「・・・シュウ兄、キンジっていつから
「・・・つい最近かな」
銃弾を噛んで止めたって
一歩間違えれば即死だったてことに変りは無かったて事だろそれ
まあ何はともあれ無事でよかったということにしておこう
この場にいる全員がキンジとアリアが無事と分かり安堵の表情を見せるが
突如として響く振動に中断させられる
「んまあ、ピラミッドがこれだけ崩れたからね
パトラが誇る無限魔力も機能していないんでしょ」
「なるほど、ピラミッドも何もかも
魔力を使っているから、それが無くなれば土台を失うって寸法か」
「お前ら兄弟は緊張感を持とうな?」
キンジからのツッコミが入るがそこまで緊張感の無い会話だったか?
そう首を傾げているとアリアの入っていた黄金の棺がこちらに向かって流れてきた
カナさんはそれをホッケーの要領で弾き返した
それは、パトラの背中を掠めるように当たりバランスを崩しひっくり返ったパトラは棺の中へ入り込む
俺と小鳥、白雪はアイコンタクトを交わし
同じように流れてきた棺の蓋をてこの原理で持ち上げパトラの収まっている棺目がけて
跳ね上げる
「ピラミッドっていうのは元々お墓なんだろう?」
そう言いながらさりげなくアリアを片腕で抱きしめながら
キンジは蓋目がけて発砲し軌道修正を加える
「こ、こらっ!何をしおるか!!わっ妾はファラ」
パトラは迫りくる蓋に慌てて手足を引っ込め
ガゴン!
パトラを棺の中に閉じ込めた
「お墓では静かにするものよ、パトラ」
・・・なんだかんだで遠山兄弟も仲がよろしいようで何よりだよ
それからしばらくして
白雪がパトラの入った棺にお札を何枚も貼り付け魔術的に厳重に封じ
アリアの衣服をエジプトの露出度の高い服から
武偵高の夏服に着替えさせた後に
程なくしてアリアは目を覚ました
キンジがアリアに抱き着き
白雪がキンジの尻に刀の切っ先を突き付けた後に
アリアに抱き着くという一幕があったものの
それはそれでいつもの日常が戻ってきた気がする
キンジを見るカナさんの目も穏やかで
俺と小鳥はその風景を一歩離れたところで見ているだけ
うん、昼ドラは見ている分には面白い
そして
一歩引いているからこそ気が付いたのだろう
辺りから生き物の気配が全くしないことに
「・・・なあ、小鳥。さっきまでここいらには鯨の群れがいたはずだよな」
「?んまあ、あの鯨たちはパトラが呼び寄せていただけだから
無限魔力が無くなった今。自然に帰って・・・」
それにしてはおかしい
鯨がいなくなるのがあまりにも早すぎる
加えてここは遠洋の海
水中にいるはずの魚の気配さえ何も感じ取れないのはおかしすぎる
そして、小鳥とカナさんが何かに気が付いたように海のほうを向く
「・・・ヤバイ、シュウ兄。これは今まで以上にヤバイよ」
「・・・ああ、そうみたいだな」
気配でわかる
海中に鯨なんかよりも巨大なものがいることも
圧倒的な強者の気配が漂ってきていることも
「逃げるのよキンジ!急いでここから撤退しなさい!」
何よりも意外だったのはカナさんの取り乱しようだ
いつも冷静沈着なカナさんがここまで取り乱すのは珍しい
見れば、小鳥の顔も心なしか青ざめて見える
「・・・なあ、小鳥。これから来るやつって
ひょっとしてお前らの知り合いか?それも相当ヤバイ」
「・・・んまあ、あたし達の予想が外れていなければ」
ズドォォン!!
大きな衝撃音とともにそれは浮上した
「イ・ウーのボスだね」
超弩級の潜水艦だった
はいここまで!
ようやく第4巻がエピローグに入りました
次回は4巻の最後の最後から第5巻に入っていこうと思います
様々な設定に関しては
後ほど説明回を設けますのでそれまでお待ちください
それでは皆さんお元気で!!