うちはレイ   作:神威 

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第四話

(……駄目だったか)

 

 再開発エリアの出口にいるレイは、ため息を吐いた。

 二時間、影分身三十体にシルヴィアと本体であるレイが探してもウルスラの情報と手がかりは一切見つけられなかった。

 

「私もずっと前から探してるけど全然手がかりが見つからないからそんなに落ち込まなくて大丈夫だよ。それにレイ君の影分身で調べにくい所も調べられたから大助かりだよ。ありがとう」

 

「あとアスタリスクに来たばかりなのに付き合わせてごめんね」

 

 申し訳なさそうに頭を下げ、謝る。

 

「……だから謝るな。俺が出来る範囲内であれば大抵な事は協力してやる」

 

 シルヴィアは考える。想い人からの協力は素直に嬉しい、だが何故底まで自身に協力してくれるのか、を。

 

「…………ねえ、なんで底まで私に協力してくれるの? いくら幼なじみでもレイ君にメリットなんて──」

 

 その先の台詞を言わせないようにシルヴィアの唇を人差し指で押さえる。

 

「……簡単な事だ。覚えてるか? あの頃お前が俺に言ってた“困っている人をほっておけない”という言葉そっくりそのまま返す」

 

「え?」

 

 漆黒に染まってる瞳がシルヴィアのアメジストの目をしっかりと捉える。

 

「……それに、俺にとって、お前という存在はかけがえのない存在。だから協力する。それだけ」

 

 そう答えると、シルヴィアはますますと顔が赤く染まり上げ、それを隠すようにと俯き肩をプルプルと震え出す。

 

「あーもうっ……! そんなこと言われたらますます好きになっちゃうよ」

 

 レイに聞こえないよう声量でボソッとシルヴィアは呟く。

 恋を寄せている相手からそんな言葉もらえたのだ。当然、羞恥から血が頬に上がってくるのを感じ、この上ない喜びだ。

 

「……すまん。今なんて」

 

 シルヴィアの声が聞きとれなかったのか、レイは聞いた。

 

「大丈夫。いずれ分かる時がくるから」

 

 そう言いながら深呼吸をしを落ち着きを取り戻し、顔を上げ含みのある笑顔を向ける。

 

「?」

 

「さて、そろそろ帰らないとペトラさんに怒られるから帰らなきゃ」

 

「……送ろうか?」

 

「……え? でも」

 

「……いい機会だ。確かシルヴィはクインヴェール女学園に所属してるよな?」

 

「うん。一応その学園の序列一位で生徒会長を務めているよ」

 

 ドヤ顔しながら可愛らしく胸を張る。

 

「……知ってる、有名だからな。それで送ろうか?」

 

 シルヴィアは今は世界の歌姫と言われるほど有名人であり、人気トップアイドルだ。知らない人は極稀だろう。それ程有名人なのだ。

 

「んー、レイ君が良ければお願いしようかな」

 

「……じゃあ行こう」

 

「うん」

 

 再開発エリアを背にし、シルヴィアに付いていきクインヴェール女学園に向けて歩き出した。

 暗い夜道の中街灯の明かりを頼りにし歩くこと三十分、ようやくクインヴェール女学園らしきの校舎が見え始めた。

 

「……ここがクインヴェール」

 

 薄暗くても明るくきらびやかな校風だと分かる。

 

「うん、ここでいいよ。送ってくれてありがとうねレイ君」

 

「……いや、序列一位でいくらお前が強かろうが、可愛い女の子がこんな夜道を歩き回るのは危険だからな」

 

「……っ! しれっと口説くんだから」

 

「? 正直に思った事をそのまま言ったまでだが」

 

「……はあ、この天然たらし」

 

 シルヴィアは呆れて、ため息を溢す。だがその顔はまんざらでもない様子だ。

 

「……よく分からんが。以後発言に気を付ける」

 

「本当に~?」

 

 頬を膨らまし、疑い深いそうな目でレイを見る。

 

「…………善処する」

 

「まあ、私ならウェルカムだけど」

 

「……そうなのか?」

 

「い、いやいや何でもないよ! それよりもクインヴェールに何か用があるの?」

 

 レイに聞かれていたのか慌てて誤魔化し、話をそらす。

 

「……なに、大した事ではない」

 

 そう言い、校門の近くにある電柱に片方の手のひらをつける。

 

「?」

 

 シルヴィアはレイの意図が分からず、キョトンと首をかしげる。手を離すと、電柱にはマーキングが施されていた。

 

「五芒星のマーク?」

 

 一瞬言うか言わないかで迷ったが、別に知られても何も問題ないと判断し、教えることにした。

 それにシルヴィアは小さい頃からレイを見ている事もあって“うちは“と“千手“、そしてチャクラについても知っていた為隠す必要はない。

 

「──シルヴィなら話しても問題ないか」

 

 そう吐き捨て、電柱に施したマーキングにそっと触れる。

 

「?」

 

「……これはマーキング」

 

「マーキング?」

 

「……この印さえつけれ距離の長さ関係なく瞬間的に移動が出来る」

 

「そ、そんなことが出来るんなんて、でも距離に比例して星辰力は──」

 

「……問題ない。星辰力以外の“力”を使えばの話だ」

 

「んーあっ。昔言ってたチャクラっていうエネルギーの事?」

 

「……よく覚えてるな」

 

「まあね。じゃあその瞬間移動するのも忍術?」

 

「…………忍術だな。詳しく今度会う時に話すよ」

 

「えー」

 

「……もう今夜は遅い。諦めてくれ」

 

「分かった……あ、そうだ。次に会うとき必要になるかもしれないから、連絡先を渡すとくね」

 

 そう言いながら、携帯端末で空間ウィンドウを開き、自信の連絡先を送る。

 

「……シルヴィ、これを渡す」

 

「御守り?」

 

 渡されたのは、五芒星の形が入った手の平に収まる程の御守りだった。

 

「……もし、俺を呼び出したいときは、星辰力をそれに込めれは瞬時に駆け付けれる……ただし、緊急事態の時だけな」

 

「肌身離さず?」

 

「……出来るだけ」

 

「うん、ありがとう。大切にするね……じゃあまたね」

 

「……ああ」

 

 シルヴィアはとても嬉しそうに御守りを握りそう言って校門の中に入って行った。

 見送ったミナトは今日の一日の出来事を思い返す。

 

(…………全く一体何処で何をしてるんですかウルスラさん……シルヴィがとても心配してましたよ)

 

「……本当何処にいるんだか」

 

(……さて影分身で星導館の場所も分かったことだし、今夜は神威空間で寝泊まりして明日の朝には……確か生徒会長室に行けば良かったよな?)

 

 レイは密かに万華鏡写輪眼を発動し、自身の左目中心に吸い込まれ消えていった。




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