うちはレイ   作:神威 

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第六話

「み、レイなのか?」

 

 ユリスの目には想い人の顔が映る。なぜ、ここに? と思わぬ人物の再開に驚きつつ、心の底から湧き出る歓喜で頬をゆるむ。

 

 レイは腕の中にいるユリスに本人だと軽く頷き、彼女をそっと下ろし、そしてオーフェリアに目をやる。

 

「……ユリス。彼女は……あいつはオーフェリアで間違いないよな」

 

「っ……あ、ああ。紛れもなくあいつは、オーフェリアだ」

 

 レイが知るユリスは強気で真っ直ぐである少女だった。しかしそう返答するユリスは珍しく弱々しいと見た。

 

 そんな彼女に軽く頭を撫でる。

 

「……ユリス。一度俺に任せてくれないか?」

 

「! ああ、頼むっ」

 

 ユリスは悔しかった。オーフェリアを何度、説得しても聞き入れてくれなかった。そしてやむ得なくレイに頼る術しかなかった。

 

 レイはユリスに任され、一歩前に出る。

 

「……レイ」

 

「……オーフェリア」

 

 久しぶりの再開で喜びを噛みしめ、今にも想い人に飛びつけたいが、自身から漏れ出る瘴気で彼を傷けたくないばかりにぐっとこられる。

 

(……あの目……この世に絶望している目だ。しかし心の底からは助けを求めるような)

 

 顔に影を差し、今にも泣きだしそうな悲しい表情を浮かべるオーフェリア。かつての眩しい笑顔が溢れる少女の面影が見られない。

 

 瘴気について彼女を観察していくと、

 

(…………成る程、膨大すぎる星辰力のせいで漏れ出ている瘴気が抑えられないようだ。しかもその瘴気がオーフェリアの体を少しずつ蝕んでいっている)

 

「……どうやらその瘴気、制御できないようだな」

 

「……ええ、何度も制御しようと努力したけれど無理だと痛感したわ…………なぜならこれは私の運命なのだから」

 

 何もかも諦めきった顔をし、そう答えるオーフェリア。

 

「……そんな運命苦しくはないのか?」

 

「……」

 

「……その毒の瘴気が漏れ出ている限り、人の温もりや愛する花さえも触れれない……そんな運命苦しくはないのか?」

 

 レイのその言葉に心が揺すぶられ、今まで抑さえ込んでいた感情が溢れ出し、目頭に涙がたまる。

 

「っ…………そんなの、そんなの苦しいに決まってるわっ」

 

「……ならその運命、俺が変える」

 

「……無理よ。いくらあなたでも私の運命は抗えない」

 

「……手はある」

 

 そう不安そうに見つめるオーフェリア。その目には全てを諦めきった絶念はなく、僅かな希望の光が宿り、期待の眼差しをレイに向ける。

 

「…………場所を移そう。二人とも俺に掴まってくれ」

 

 

    *

 

 

 場所は再開発エリア、辺りは廃墟となった建物が並んでいるというより瓦礫の山や今にも崩れそうな建物がほとんだ。

 

「け、景色が変わった?」

 

「……」

 

 突如、景色が変わり二人は目をパチクリさせる。

 

「……今からやることはオーフェリアが制御不能の分だけの星辰力を一度封じる」

 

「封じる……そんなこと可能なのか? ……いやお前ならばあり得んことはないか」

 

「……ええ、レイだもの」

 

(え、何。俺だからって理由ですまされるの? ……まあ、確かにうちはと千手が扱う忍術は特殊だから無理もないか……でもこんなやり取り、懐かしい。おっと今は封印についてだ)

 

「……オーフェリア、今星辰力を何割くらい制御出来る?」

 

「……半分、くらいかしら」

 

 そう落ち込むように言うオーフェリア。レイは問題ないとばかりに首を横に振る。

 

「……そんな顔をすんな」

 

 そんな彼女を抱き寄せる。

 

「……! レイ駄目よ。瘴気があなたを──」

 

 離れようとする彼女を、子供をあやすように背中を撫でる。

 

「……気にすんな……よし、残り半分は俺が封印する。そして晴れて愛する花に近づくことができ、触れれる」

 

「……じゃあ、何も心配なくあなたの温もりも感じることが出来る訳ね」

 

「……む? あ、ああ、そうだな」

 

(シルヴィと同じことをいうな。オーフェリアは)

 

 そう甘えん坊の幼なじみに似た発言をする彼女が、なんとも可愛らしく感じた。

 

 オーフェリアを安心させると一度離す。

 

「……オーフェリアに施す封印術は、ユリスの協力が必要不可欠だ」

 

「む、どういうことだ?」

 

 自身の協力が何を意味をなすか理解出来ず、レイに問いただす。

 

 封印対象者には、一度星辰力を全部解放しなければならない。

 だがオーフェリアは、ほぼ無尽蔵の星辰力を誇るが、その反面自力では抑え込むことが出来ない。

 そんな彼女が、制御出来ない星辰力を全解放してしまったらおそらく、暴走を起こし、制御どころではなく彼女自身が傷ついてしまう。

 ではどうするべきか? ユリスには暴走しないようコントロールの補助を行ってもらうことだ。一人でだめなら二人でだ。

 念の場合、二人が失敗したならばレイの影分身も補助に入ることになる。

 そして二人でコントロールしてる間、レイは封印に入る。

 

「そういうことか、承知した。全力でオーフェリアのサポートに入るとしよう」

 

「……ありがとうユリス」

 

 迷うことなく、サポートすると言うユリスに感謝の言葉を言う。

 

「……すー……ふー……っ!!」

 

 一度深呼吸を行い、一気に“星辰力”と“チャクラ”を同時に練り上げ、印を結び始めた。その間に練り上げた星辰力とチャクラを練り合わせる。

 星辰力とチャクラが練り合わせた《煌星術チャクラ》が表に現れ、青く煌めくモヤッとしたものがレイ全身を纏う。

 

 莫大な星辰力とその姿にユリスとオーフェリアは目を見開き驚愕する。

 

 印を結び終わると、右手に赤い炎のようなものが宿り出す。

 

「……準備は整った。二人にはこれを」

 

 レイはオーフェリアとユリスの触れると、星辰力とチャクラを練り合わせた、煌星術チャクラが彼女らを纏う。

 

「む、これは」

 

「……温かい」

 

(まるで、レイ包まれてるように感じるわ)

 

「……それは、瘴気で体を蝕むのを防いでくれる。安心してコントロールに集中してくれ」

 

「「……レイ」」

 

「……オーフェリア、手袋を脱いでくれるか?」

 

 オーフェリアは手袋を脱ぎ捨て、肌をさらす。その肌から瘴気が漂うが、煌星術チャクラが彼らを守る。

 

「驚きだ。まさか本当に瘴気から守ってくれてるとは」

 

「……ええ」

 

 オーフェリアの右手にはユリスが、左手にはレイがが手の指が絡むような握り方をする。

 ユリスはオーフェリアのコントロールの補助、レイは封印。

 

「……これより封印術を行う──」

 

 オーフェリアは星辰力を全部解放し、封印が始まった。

 

「──《封印術・多重星辰封縛》」

 

 




 勝手ながらもオリジナルを作らせていただきました。

 煌星術チャクラ…星辰力とチャクラを練り合わせたもの。

 封印術・多重星辰封縛……星脈世代が持つ星辰力を多重に封じる術。

 読んで下さり、ありがとう御座います。
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