「ベル様がモンスターフィリアに?」
ベルとリリルカはダンジョンの前に来ていた。そこでベルは申し訳なさそうに頭を下げる。
「うんそうなんだ。だから悪いんだけど今日はダンジョン探索は…」
「ああいえいえ、問題ありませんよベル様。楽しんでいらしてきてください」
「うん、本当にゴメン…」
「だから大丈夫ですよ、ほら、人を…神様を?待たせてるんでしょう?早く行ってあげてください」
「うん、ありがとうリリ」
リリルカはベルの謝罪をあっさりと流しさっさと行くように指示する。ベルも申し訳なさそうにしながらではあるが、待ち合わせの広場へ向かった。
「……さて、私はどうしましょうか…せっかくだし私も祭りに行きましょうかね、暇になってしまいましたし」
「おい白髪頭」
「え?」
豊穣の女主人の前を通ったベルは猫獣人の女に呼び止められた。
「これ頼むにゃ。シルのやつうっかりしてやがったのにゃ。よろしくにゃ~」
「え、あ、はあ?」
財布を唐突に渡され訳が分からない、といった顔になるベル 。
それを放っておいてさっさと店の中に戻ろうとしたが、エルフの女によって頭をはたかれ連れ戻されていた。
「全く貴女はいつも…それでは訳が分からないでしょう、ちゃんと説明しなさい」
「そんなことないにゃ、シルのやつがモンスターフィリアにいったのに財布を忘れていったことくらいすぐわかるにゃ」
「あ、そういう…えっとまあ、はい。いいですよ、わかりました。今から行くところだったのでちょうどいいです、探しておきますね」
「まったく…すいませんベルさん」
「いえいえ」
「おー、よろしく頼むにゃ白髪頭~」
「コラ!まったく…」
「あはは…それじゃ、また」
「はい、また」「またにゃ~」
別れたベルは広場に急ぐ。約束していた時間にはまだ大分余裕はあるが、早めに着いておきたかったのだ。
(遅れたら神様絶対拗ねるしな~…)
広場に着いたベルは念の為にシルの姿を探す。が、見つけることは出来なかった。
(ここにはいないか…まあそのうちに見つかるよね、きっと)
ベルにしては楽観的な思考だが、モンスターフィリアの目玉はとらえたモンスター達の御披露目、そのときには見つかるだろう、と考えたのである。
「おーい、ベールくーん」
しばらくして約束の時間になり、ヘスティアが姿を表した。手を振りながら満面の笑みで駆け寄ってくる様はとても愛らしく、体格も相まって女児のようで微笑ましくさえあった。
「神様!」
「ゴメンゴメン、待たせちゃったかな?」
「いえ、時間通りですよ。さ、行きましょうか」
ヘスティアに手を差し伸べるベル。それをうけたヘスティアは嬉しそうに破顔し、手を指を絡ませて繋いだ 。
「!?神様?!」
「いいじゃないか、デートなんだから 。さ、レッツゴー!」
「もー神様ってば~」
嬉しそうにベルを引っ張って行くヘスティアと苦笑いを浮かべながら着いていくベル。これから起こる大事件の前の、一時の休息であった。
~バベル~
「で、話ってなんやの?フレイヤ」
「あら、友神と話がしたいだけ、とはおもわないの?」
「お前さん以外やったらな、それでもよかったんやけど…今度はなにを企んどる、フレイヤ」
ロキと美の女神フレイヤ。オラリオにおける二大派閥のトップが会談…というには剣呑な雰囲気を纏って話していた。それぞれの背後には己のファミリアの団長、勇者フィンと、猛者オッタルが控えていた。
「ふふっでもそうね…ちょっと小耳に挟んだのだけれど、なんだか面白い子がいるみたいじゃない。あの剣姫がデートしていた、なんて噂がたってるわよ?それになんだか貴女のとこの子と善戦したルーキーがいるって…同じ子なんでしょう?」
「…まあ、そうやな。いっとくがあの子は…」
「分かってるわ、ヘスティアの子なんでしょう?ふふっでもやっぱり興味が有るの。聞かせてちょうだい?」
「…ふん、言っとくがなフレイヤ」
「あら、なあに?」
ロキは細い目を開きフレイヤを見据える。
「うちの子のお気に入り…手ぇ出したらゆるさへんよ?」
「…ふふふ、コワイコワイ…大丈夫よ、今のところそんな気は無いから…私は、ね?」
「は?」
「あ、アイズ!コッチコッチ!」
「ゴメン、ちょっと遅れちゃった…」
「いえいえ!大丈夫ですよアイズさん!」
「それじゃあ皆揃ったし、そろそろ行きますか!」
「あ、神様これとか美味しそうですよ」
「お、いいねー!」
「…やっぱり高いなあ…まあいいか、最近お金結構入ってるし…」
「うう…財布…」
様々な事情と思想が交錯するモンスターフィリア。
複雑に入り乱れた因果がどういった結末をもたらすのかは、もはや神ですら予測不能である。
遅くなりました。
今回フレイヤ初登場、このSSではシルとフレイヤは別人ですはい。