剣姫の一目惚れ   作:井上 蒼

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ウサギと剣姫のデート 前夜

「んなんだってえええええ!?!」

 

ヘスティアの絶叫が教会に響き渡る

 

「ミノタウロスに襲われたのはロキのやつのせいで!?しかもお詫びに女とデートだって?!ゆるさないよ!?」

「いえ、その、もう約束してしまったので…それにロキ様のせいじゃあ…」

「ロキのとこの子供達が原因ならロキの責任さ!それなのにボクのベル君に手を出そうとするなんて…!やっぱりダメ!ぜぇったいにダメー!!」

 

ベルはホームである教会に戻った後、夜も遅かったので、とりあえず諸々の報告を翌日に回したのだ。その結果、猛反発を受けているわけだが

 

「いや、でも…ほら、一流の装備を貰えるって話ですし、ね?納得してくださいよぉ、神様ぁー」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬ……!」

 

ヘスティアは葛藤する。ベルが強くなってくれるのは嬉しい。けれど他のファミリアの女…しかもロキファミリアの女とデート、というのは気に食わない。かといってついていく、なんて言ったらうざがられるかもしれない。ヘスティアは大いに悩んだ

 

「ッ~~~!しょうがない!いいよ、いっといで!」

「!本当ですか?!」

「ただし!ほんっとーに、装備を見るだけだからね!」

「ハイ!」

 

とりあえずの妥協点として、装備を見るだけ、という縛りをもうけることにしたらしい

 

(装備を見るだけ、なんて色気の無いデートなら間違いも起こらないはず…!どこの馬の骨とも知れない奴に、ベル君は渡さないぞ!)

 

確かにそれだけならば色気もムードもあったものではないだろう。しかしヘスティアは失念していた。

女の子と男の子が、二人っきりで買い物をする、というのは、立派なデートなのだと

 

~アイズ、服屋~

 

「どう、かな?」

「うん!可愛い!」「とっても可愛いよ、アイズ!」

 

その頃アイズは、ティオナとティオネの二人を連れて、明日のデートに着ていく服を選んでいた

 

「うん、こんな感じかな?」「うん!これならきっとあの子も気に入るよ!」

「エヘヘ…そうだといいな…」

「絶対に大丈夫だって!」「うん、保証するよ、アイズ」

 

アイズの服装は、涼やかな空色を基調としたワンピースに、手首にはアクセントとして赤いシュシュをつけていた

 

「うんうん、デートにいくなら着飾らなくっちゃ」

「でも、ビックリしたよ。急に服を選ぶのを手伝ってくれ、なんて」

「うん…今まで、服なんて気にしたことなかったから…でも、ベルに、可愛いって、思ってほしかったから」

 

アイズは少し恥ずかしそうに、二人を頼った理由を話す

 

「~~~ッ、ああんもおアイズゥ!可愛いなあ、もー!」

「ふふふ。…アイズ、やっぱりベル君のこと…」

「…うん、好き」

「ああーやっぱり」

「そっか…うん、そうだよね…でもアイズ、なんかさ、その…変わりすぎじゃない?」

「え、ティオネがそれ言う?」

「いや、そうじゃなくてさ…なんか、こう…柔らかくなったっていうか…。団長とベルの話の後から明らかに雰囲気が変わったっていうか…。そう、余裕が出来たって感じがする」

 

ティオネの言葉は正しい。アイズはベルを見る前は、どこか危うげで、常に気を張っているように見えた。ベルを迷宮で見た後からは上の空で、フィンと話す前のベルを見る目はハッキリ言って危ないものだった。それが今は、とても穏やかに。普通の恋する女の子、といった感じの雰囲気なのだ

 

「…うん、そうだね。今まではね、私はずっと気を張ってたんだ。モンスター達が憎くて憎くてしょうがなくて、もっと早く、もっとたくさん殺さなきゃ、そのために強くならなくちゃ、って」

 

アイズは告白する。自らの憎悪を、自らの病的な研鑽の理由を

 

「私はね、本当はモンスターが怖かったんだ。けど、憎しみでそれを忘れられた。強くなればなるほど、怖くなくなっていったんだ。でも…」

 

アイズはそこで言葉を切る。そして、心底から嬉しそうに微笑む

 

「あの時、ベルを見たんだ。怖がりながら、恐れながら、それでも立ち向かうベルを。自暴自棄にならず、ただひたすら生きようと足掻くベルを」

 

「感動したんだ。格好いいとおもったんだ。あんな強さがあるんだ、って。怖がりながらも、戦える人がいるんだって。ベルは戦っている間、ずっと勇気を振り絞ってたんだ。勇気っていうのは、あんなに強くて、綺麗なものなんだって、はじめて知ったんだ」

 

「ベルは私に勇気を教えてくれた。恐怖に立ち向かって、抗う力を教えてくれた。憎悪だけが、強さだけが、恐怖に立ち向かう力じゃないって」

 

「かっこよかった。あんな風になりたいって、そう思ったんだ」

 

「ベルの隣に、立ちたいって、そう思ったんだ」

 

 

 

 

 

「だから、私は、ベルのことを好きになったんだ」

 

 

 

剣姫は知った。勇気と言う力を。それが持つ輝きを。憎悪を忘れた訳じゃない、ただ、それだけが強さの源ではないと知った

 

それが欲しいと思った。けれど、それは自分で手にいれるしか無いものだった

 

だから、それを教えてくれて、誰より勇気に溢れた臆病な少年に

 

 

恋をしたのだ

 

 

 

 

 

 

 




日間ランキングのりました!ありがとうございます!

今回、アイズがベルに惚れた訳を詳しく書きました。アイズの独白に関しては独自解釈と設定が混ざってます、ご容赦ください

それと私用で、明日は更新できそうもありません、申し訳ありません…
追記 すいませんティオナとティオネ逆でした…感想で教えてくれた方、ありがとうございます
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