シルヴァリオサーガRPG マイナお姉ちゃん生存√   作:ぴんころ

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前回の成長性を修正……魔星になる少年に成長性などというものは不要なのだ……


Part2

 ただいまよりー!

 シルヴァリオサーガRPGの実況をー!

 はじめたいと思いまーす!

 

 というわけで、前回はキャラメイクと世界観説明が終わったところでしたね。早速続きといきたいところですが、前回はあのとんでもステータスが発生してしまったので、せっかくということでちょっとだけ特殊モードで遊んできました。仲間枠にはゼファー君をぶち込んで、バフをかければゼファー君が狂い哭き、敵役にデバフをかければゼファー君が落ち込み、自力で戦えばゼファー君が自分の星辰光を役立たずだと自虐を始める、そんないつもの光景でしたね。

 

 まあ、そんなことは置いておくとして、今から続きがスタートします。ついに行動可能になるので、スラムで生きていけるようにきっちりと育ててあげましょう。どれだけ頑張っても、ヴァルゼライド閣下ならできたぞさんには勝てないんですけどね。一般スラム育ちが、裕福な家庭でしっかりと勤勉にやってきて、さらには士官学校で好成績を収めたヴァルゼライド信奉者に勝てるわけないだろ!

 

 はい、そんなことを言っている間に行動可能になりました。というわけで、まず最初はスラムの一画にあるマイナ姉貴たちと一緒に暮らしている場所ですね。当然のことながら、ここは所詮スラムです。個々人の部屋なんてあるはずもなく、一人で生きていけない弱者と呼ぶほかない子供達が集まっているだけの場所ですね。

 このゲームでは、オリジナルキャラは一律10歳からスタートです。なので、この時点ではマイナお姉ちゃんはまだ8歳。ゼファー君に至っては……うん、気にしないほうがいいですね。とはいえ、マイナお姉ちゃんはマイナお姉ちゃん。すでにして頑張って聖母のような形を見せています。本心を知っているのが自分だけ、というのは優越感が湧きますね。

 

 今の時期、できることといえばコミュニケーションを取るか、あるいは基礎ステータスの向上をするかの二択です。

 というか、基礎ステータスに関してはあげないと死にます。というのも、育ち次第ではあるのですが、能力向上のための条件が各家系で違うからですね。スラム育ちが悠長に腕立て伏せをして【攻撃力】を上げている暇はありません。同じく教科書を読み込んで【知力】を上げるなんてことも、そもそも教科書が落ちていないので無理です。

 スラム育ちは、基本生き残るための食事を手にするために作戦を立てたり、喧嘩をして自分より小さいガキを守るために戦ったりすることで能力を上昇させて行くことになります。なので、上げるための行動を取らないと、餓死することになっちゃうんですね。

 では、コミュニケーションはどうかと言われると、取れるのはマイナとゼファーの二名です。それ以外のネームドはスラムにはいませんし、今の彼らが市街区に出たところでスラムから来た、という事実がデバフになってまともに会話ができません。では、スラムの他の区画の面々との間のコミュニケーションをとる、というのも現実的なことではないです。ゼファーさんもヴェンデッタルートでスラムがどういうところだったのかは言ってましたしね。

 

 行動を取れるのは一日につきだいたい四回です。朝、昼、夕、夜の合計四回ですね。空腹で倒れたり、体力がなくなったりすると、一回休みが入ることにはなりますが。

 さて、まずは朝の最初の行動からです。朝の行動は、基本的にマイナ姉貴とのコミュニケーションから始めましょう。朝の行動の結果次第で今日の夜の行動が決まります。

 

「あら、どうかしたの兄さん?」

 

 おっす、マイナ姉貴〜。大丈夫? 無理してない?

 

「ええ、もちろん。あの子達のお姉ちゃんなんだもの。こんな程度で無理なんて言ってられないわ」

 

 >そう言いながらも、マイナの瞳にはわずかな疲れが見える。

 

 おっと、この文章が出て来たらレッドアラートです。実際にはまだまだマイナ姉貴のレッドアラートは先で、超えてしまったらゼファーさんがインモラルするだけなのですが、そんなことにならないように早め早めに対処しておきましょうね。この時点で、今日の夜はマイナ姉貴に費やすことが確定しました。

 ちなみに、マイナ姉貴もお兄ちゃん相手だからか多少は『お母さん』をしなくていいのか、気が楽そうですね。緩め方を知らないのか、ぽろっと疲れているのだ、と漏らしてしまっていますけど。

 このゲーム、基本は相手の言葉に対して否定か肯定かを選び、そこに付随する感情を「愛・喜・燃・友・悲・憂・冷・怒・無視」の九つから選ぶシステムです。アマツならば基本は愛を返せば問題ないのですが、それ以外に関しては大体の登場人物の感情が拗れているせいで、どう返すべきかを悩むことが多々あります。

 ……そうですね、今回選ぶのは”否定”で、”憂”にしておきましょう。お前が皆のお姉ちゃんだろうと、無茶してぶっ倒れたら、その尻拭いをするのは俺なんだから、そこら辺ちゃんと把握しておいてくれよなぁ。

 

「ふふっ。それなら、その時はしっかりと寄りかからせてもらうわ」

 

 まあ、今はこれでいいとしますか。そんな簡単にマイナ姉貴がこっちに心を開いてくれるとは思っていません。仕方ないですよね。これくれ君も、マイナ姉貴からすれば2歳も年上。彼女を捨てた大人の一員と見られても仕方ありません。

 

 では、次は昼の行動ですね。昼行動、夕方行動は両方同じです。作戦を立てて、技量を以て相手の金品を奪い、敏捷で逃げて、捕まりそうになったら殴り合う。マイナ姉貴と一緒に、皆のことを養うためにあらゆる犯罪に手を出して、手練手管を磨きましょう。失敗した場合は飯抜きによって翌日の動きが鈍くなるというデメリットがある代わりに、これらの基本ステータスが全て上昇します。ついでに失敗したとしても、翌日はコミュニケーションしか取れなくなりますが、マイナ姉貴のおかげで飯を多少は分けてもらえるので翌々日にはちゃんと動けますので問題ないです。

 夜の行動は、朝の時点でマイナ姉貴のレッドアラートが見え始めたらマイナ姉貴とのコミュに。そうでなければゼファーさんとのコミュに走りましょう。

 基本、これの繰り返しです。このルートではマイナ姉貴の代わりにこれくれ君をギルベルトに殺させるわけですが、マイナ姉貴も聖戦の最後の一ピースになれる素養を持った人間であることは変わりありません。なので、マイナ姉貴のメンタルを管理しないと彼女が逃げ出して、そこをギルベルトによって殺される、なんてことも普通にあるわけなのです。下手に干渉しすぎてマイナ姉貴がこれくれ君のシスコン具合に嫌になって逃げ出す可能性もあるので、過干渉はやめておきましょうね。

 

 というわけで、今回はギルベルトにこれくれ君が射殺されるところまでこれを繰り返すだけなので、ここからは倍速──

 

 って、なんで等速のままの必要があるんですかぁ?

 

「ごめんなさい、兄さん。今だけはこうさせて。皆の前では笑ってるけど辛いの。あの子達が必要としてる私を演じるのは……」

 

 うんうん、大丈夫大丈夫。これくれ君はちゃんとわかっとるで。マイナ姉貴の平穏もこれくれ君は求めてるからな。

 

 >誰かの視線を感じる……

 

 おや……? どうやら特殊イベントのようですね。

 マイナ姉貴とのコミュの最中、滅多にないことですがこういうこともあります。

 とはいえ、このルートを走る人からすればこのイベントは義務のようなものなので、知っている人も多いでしょう。

 

 >視線の元をこっそりと探してみれば、そこにはゼファーがいた。

 

 そう、ゼファーさんが、マイナ姉貴が皆の前ではちゃんとしたお姉ちゃんであろうとしていることを知るイベントです。

 このイベントが発生した場合、マイナ姉貴が聖人でもなんでもないことを知り、過剰に怯えることがなくなりますので、マイナ姉貴が生き残った場合に軍部に入ったゼファーさんの帰りを家で待ちながら専業主婦をするマイナ姉貴のスチルが見られます。全国のマイナ姉貴ファンが喜ぶスチルとしかいえません。

 

 >皆には内緒だよ、とマイナにはバレないように小さく身振り手振りで説明して、

 >ゼファーをこっそりと向こうへと追いやった。

 

  はい、こんなことを繰り返しているといずれ出番がやってきます。

 これくれ君、最初で最後の見せ場。ギルベルトによる射殺ですね。

 

 というわけで、今回はここまで。次回は魔星として目覚めたこれくれ君から始めましょう。

 

 

 

 

「ごめんなさい、兄さん。今だけはこうさせて……」

 

 いつものように、マイナ・コールレインは自らの兄、クレアに身を委ねる。

 それは別にいやらしい何かでは断じてなく、ただ己の心のはけ口を求めるだけの行為。

 抱きつくことで顔を隠しながら、スラムの中でたった一人、彼女が無理をしていることを気がついてくれる兄に全てを吐露する時間。

 

 ──無理をしてないか?

 

 そんな、簡単な言葉ではあったが、気づいてもらえた、という嬉しさが彼女の総身を満たす。

 その時は誤魔化そうとしたが、誤魔化しきることはできず、その日の夜、皆が寝静まった頃に愚痴を口にしてしまったのだ。

 それ以降、マイナは結構な頻度で彼に吐露してしまっている。

 

「大丈夫、大丈夫だぞ。マイナが頑張っていることは俺はよくわかってる。疲れたんなら寄りかかってくれても問題ないんだ。マイナみたいに皆を受け止めることは無理だけど、兄さんもマイナと……頑張ればゼファーも受け止められるから」

 

「うん……うん……」

 

 背中を優しく撫でる。

 それは、姉であり母としてスラムの子供達を照らすマイナが決してしてもらえるはずもない行為。

 子供達を養うための犯罪行為にだって共に手を出してくれている。

 無理を無理だと気がついてくれる。

 抱え込み続ける子供としての願いを、彼女が口に出す前に叶えてくれる。

 それらは彼女の心を軽くするには十分で、彼女が依存するにはあまりにも足りすぎていた。

 

「ねえ、兄さん。絶対に離れないでね。私を一人にしないで。でないと私──」

 

 何をしてしまうのかわからない。

 

「わかってる。マイナは我慢強いだけだもんな」

 

 誰かに弱音を吐露したくても、我慢強いから壊れるまで我慢できてしまう。

 痛い、辛いと声を上げることができない不器用さ。

 だから必要なのは、声を上げるまでもなく彼女の我慢に気がついてくれる人で。

 生まれた時から自分のことを知っている兄が、それに一番近いのはある種当然とも言えることだった。

 

 今のマイナは、とても不安定な部分がある。

 自らの我慢を気づかれてしまったからこその不安定。

 気づかれなかったならば、壊れるまで我慢できた。

 気づかれてしまったから、ガス抜きすることでどれだけ解放されるのかを知ってしまったから。

 ガス抜きできない状況が続くことになれば、おそらく我慢はかつてとは比べることもできないほどに容易く砕け散る。

 

 それが、はっきりとわかったのは数日後。

 たまたま、二人が別行動を取っていた時のこと。

 その朝、二人が会話をしたのを最後に、クレアは消息を絶った。

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