シルヴァリオサーガRPG マイナお姉ちゃん生存√   作:ぴんころ

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Part4

 しばらくの間は自由になったこれくれ君の操作を続けていきますよー。

 

 前回で、ヴァルゼライド総統閣下がゼファーさんとマイナ姉貴を援助してくれることになったので、こちらはこちらでちゃんとその対価は払いましょう。言われるがままに魔星としての機能を行使します。

 まず言われることは、星辰光の行使。出力は魔星の特権で徐々に上げながら使用しましょう。基準値がEなので、第二太陽と交信できる程度にまで出力を上げると即座に肉体の負荷でダウンする、ということをまずは二人に見てもらうところからですね。

 基本、Bぐらいでダウンする……つまり、ゼファーさんと同じくらいの負荷で倒れることになるのですが、それを見た迦具土さんはこちらに失望し、ヴァルゼライド総統閣下は気合と根性で痛みを耐える我々が異常者なのだ、とわかっているので特に何も言いません。

 

 今回の行使によって、第二太陽と地上を近づけることがこの時点では不可能だということがわかります。

 この世の中の誰もが気合と根性で覚醒できるはずがない、ということを知るヴァルゼライド総統閣下は、無理をさせればこれくれ君が死んでしまうことを当然理解しています。これくれ君が死んで、かつ失敗した場合、当然別の人間を犠牲にしないといけないということも。

 そんなことを、祖国とそこに住まう無辜の民を愛するヴァルゼライド総統閣下が許すはずもありません。自分と迦具土が努力することで、すでに殺してしまったこれくれ君以外の命を無駄に散らせずに済むのであれば、そちらに舵を切ってくれます。原作でヴェンデッタとゼファーさんが繋がれたあの機械みたいなものを作る方向性にね。

 

 機械を作る方向性に舵を切った場合、試作品を幾度か使用する機会があるのですが、ここで発生する低確率のイベントが、目指すべきマイナお姉ちゃん生存√の条件です。出るように祈りましょう。

 

 では、しばらくの間はヴァルゼライド総統閣下からゼファーとマイナ姉貴の現状を聞いたり、自分でこっそりと二人の様子を見にいく光景が続くことになります。

 ずっと同じ光景が続くのはそこまで面白いことではないので、しばらくの間は魔星主人公についての説明といきましょう。

 

 まず、魔星になった場合、得られるのは基礎ステータスへのボーナスです。

 大和が戦争最終盤に繰り出そうとした兵器ですので、当然そのステータスは非常に高くなるのですが……。魔星という兵器は人間ではないので、仕方のないことですね。肉体はこれで完成してしまったのです。

 ゲーム的には魔星になったことで、これくれ君は基礎ステータスの一部が完成してしまい、【技量】、【知力】以外が上昇しなくなってしまいます。

 

 次に、【個性】の一つである『天津の系譜』。それに似た特殊効果が得られます。『天津の系譜』は簡単に言えば『好感度が最も高い相手が関わる行動への補正』であり、デメリットとして『それ以外の相手への好感度が上がりづらい』ということが発生するもの。

 魔星は生前の衝動に引きずられることになるので、『自分の衝動に関わる行動への補正』が発生し、『他の行動への選択肢が一定以上の確率で削られる』というデメリットが、ついでに【精神力】判定で失敗した場合『ヴァルゼライド総統閣下への恐怖』が追加されます。

 これくれ君にはもちろん『ヴァルゼライド閣下への恐怖』がついていますが、『衝動に関わる』マイナ姉貴関連の選択肢の場合のみヴァルゼライド閣下への恐怖を乗り越えることができます。

 

 最後に魔星となった瞬間に完成したことで【成長性】がEになります。

 とは言え、これくれ君にはそんなの関係ありません。もとより成長性も覚醒率も最低ランク。

 では、そんなこれくれ君の最終基礎ステータスは如何なる状況なのかというと──。

 

 攻撃力:B

 防御力:C

 敏捷性:A

 技量:A

 精神力:E

 知力:C

 幸運:E

 

 肉体的には優れていて、両極端ですね。ちなみに、本来なら攻撃力と防御力、ついでに敏捷性は二ランク下で、精神力と幸運は一ランク上でした。

 魔星になれる素質を持ったという幸運と実際に魔星にされたという不運、ヴァルゼライド閣下に心折られている事実から、精神力と幸運が下降し、魔星となったことで肉体の能力値は上昇したことが如実に現れたのです。

 

 そんなことを説明している間に、魔星が大量生産されました。ウラヌス、マルス、ルシード、イヴ、アスラ。五人の血の繋がらない妹弟の誕生です。放置しましょう。彼らはこれくれ君の妹でも弟でもない。

 そんなことを考えていると、二人に会いに行きたくなりますね。これくれ君もそうみたいです。さて、ゼファーさんとマイナ姉貴の様子を見に行き──

 

太陽神(アポロン)。貴様の補助具の試作品が完成した」

 

 おっと、呼び出しです。ヴァルゼライド閣下の最初の呼び出しのタイミングはランダムですが、一度でも呼び出された場合、それから一ヶ月に一度、試作品を試すことになります。

 さてさて、今回はイベントを引き当てられるかな……?

 

 >どうやら、こちらの負担を減らす装置であることには間違い無いようだ。

 >以前ほどの出力で無いにも関わらず、わずかに第二太陽に干渉できるような気がする。

 >今なら、一つ程度は質問ができそうだ。

 

 選択肢

・どうしたら、こっちに降りてきてくれますか?

・どうして、貴方達は第二太陽なんて形になったんですか?

 

 おっと、これはいい感じです。狙いのイベント……とまでは行きませんが、そのイベントを起こすためのフラグが一つここで作ることができます。フラグを全部立てた場合、次のイベントでは確定で狙っているものを起こすことができますので、ここで選ぶのは後者。これによって、大破壊の後の第二太陽の状態……即ち彼らが極晃星(スフィア)と呼ばれるものであることが明らかになります。

 

 もう、ここまで言えばわかりますね?

 これら、フラグを立てた結果生まれるイベントが最終的に彼らにもたらすのは、ヴァルゼライド閣下に対する知見。アドラー以上に聖戦に相応しいフィールドがある、ということを教えることで、聖戦によって地上が滅ぶのを防ぐことができます。

 

 必要な情報(フラグ)は、単純に分けて三つ。

 まず一つ目は、第二太陽が極晃星と呼ばれる存在であることを知ること。

 二つ目が、極晃星の特性について知ること。

 三つ目として、極晃星がどのようにして生まれるのかを知ること。

 

 これらすべてが揃い、かつヴァルゼライド閣下にそのことを伝えましょう。

 そうすれば、聡明なヴァルゼライド閣下は『大破壊(カタストロフ)の後に生み出された第二太陽』という新西暦の基本情報も相まって。

 

『我ら、共に聖戦を起こすことに相違はない』

 

『されど、それによって我が誇るべきアドラーの民に混沌をもたらすことを望むわけではない。迦具土もまた、大和が収めるべき地上が粉砕されることを望むわけではない』

 

『聖戦に向ける思いが同じである以上、我らが戦いの最中に突如として極晃星に至り、大破壊のような事態が発生する可能性はゼロではない』

 

『ならば最初から特異点たる第二太陽にて聖戦を行い、勝利した者が己の目的のために第二太陽を地上に叩き落とすのが正解なのではないか』

 

 という思考に至ってくれます。ね、これならマイナ姉貴が生き残ってくれるから、ルートの趣旨にも反していないでしょう……?

 

 ちなみに、上を選んだ場合は迦具土が意気消沈して、ヴァルゼライド閣下が激励するという本編と同じ流れです。ヴァルゼライド閣下がいない状況でやったならば、『特異点よりも地上の方が快適な状況になれば帰ってきてくれるかもね』って口にすれば、よりヴァルゼライド閣下に協力してくれるようになります。どうしてそうなったのかを知ったヴァルゼライド閣下に殺されるのでやめておきましょうね。

 

 では、今回はここまでとなります。次回からは、第二のフラグを立てるために頑張っていきますね。

 

 ご視聴、ありがとうございました。

 

 

 

 

 その日、ゼファー・コールレインはタイミングを見計らっていた。

 兄が消えて、訃報が入り、クリストファー・ヴァルゼライドによって彼ら姉弟が回収されてからしばらく後のこと。

 甘える対象がいなくなったことで無理をしていたり、逆に無理が剥がれてきたり、というのを繰り返す姉が、最もショックを受けないタイミング。彼が見計らっているのはそれだった。

 

「姉さん。俺、軍に入ろうと思う」

 

 ゼファーの告げた言葉に、熱などない。

 国のため? 誰かのため? どうしてそんなことのために戦えるのだ。

 自分の命、あるいはそれ以上に大切な誰かのためならばともかく、見知らぬ誰かのためにだって戦える正しい者(異常者)になれないゼファーは、だからこそ軍に入るのはそれら二つのために他ならない。

 

「今の状況じゃ、さすがにダメだ。スラム育ちの俺たちは、他の人間には軽視されてまともに仕事をしていけない。もちろん軍部だって同じだけど……」

 

 今ならば、その限りではない。

 新時代の最強兵器、星辰奏者(エスペラント)

 それを大量に仕入れるために、門戸は広く開かれている。

 

 故に、今ならばゼファー・コールレインという塵屑は真人間になれるかもしれない。

 今ならば、ずっと助けてくれた姉の生活を楽にしてあげることができるかもしれない。

 そういった心が、ゼファーに軍属になる、という選択肢を作っていた。

 

「……ダメよ、ゼファー」

 

 けれど、マイナはそれを認めない。

 本来ならば喜ぶべき、弟の成長。

 他の仕事であったならば、きっと認めてあげることができただろうけれど、軍属だけはマイナも認めてあげられない。

 なぜか? そんなことは考えるまでもなく理由は簡単。

 

「そんなことしたら、ゼファーが死んじゃうかもしれないじゃない……!」

 

 家族が死ぬかもしれない。

 甘えていた兄が消えてしまったことが、マイナの中から弟を死地に送り出すようなことを容認できなくしてしまった。

 あるいは、兄がいたならば『ゼファーがそういうことを口にしてくれて嬉しい』なんて隠すこともできたかもしれないが。

 

 だが、ゼファーが口にする通り、彼らが生きていく上では普通の仕事などできはしない。

 スラム育ちの彼らは、どうあがいても鼻つまみ者。

 低賃金で酷使され、死ねばそれまで。そんなことがまかり通ってしまうのが、今の帝国だ。

 完全な実力主義、とまでは行かずとも、星辰奏者になれば帝国のエリート。まず確実に、ある程度の便宜は図ってもらえる。

 張りつめたような雰囲気をしなくなってよくなったマイナは、以前に比べてミスが目立つようになり、大体の稼ぎは色々と文句を言いながらも真人間になりたいゼファー由来。

 それも二人で暮らしていくならギリギリだったのだが、ゼファーが星辰奏者になるならば話は別。

 

 普段はマイナが希望的観測を口にして、ゼファーが現実を見て無理だ、と思っていたのだが、今回に至っては二人の立場は反転している。

 給料がよくなる、というのは本当にそうなのかわからない。あるいは上官から嫌われ、あるいはスラムを嫌ったアマツの圧力がかかるかもしれない。

 軍属になれば、一兵卒でしかないゼファーはおそらく戦場に駆り出されることになる。そうなれば、死ぬ可能性は高い。

 

「……もう、わかったわ。これ以上、文句は言わない。ただ、絶対に死なないでね」

 

「え、お、おう。……なんかやけに物分かりがいいな」

 

 これは長くなるぞ、とゼファーが思ったところでいきなりマイナが折れた。

 えぇ、と珍しく気合いを入れたゼファーの大ゴケ。

 それに対して、くすくすと笑うマイナ。

 

 二人の日常は、スラム時代に比べればはるかに安穏としたものだった。




マイナ姉貴の仮面が剥がれたり、仮面被り直したりをしてるタイミングはー
なんかめっちゃ遠いところから二人の住んでる家を見てる不審者がいるらしいっすよー
二人によく似た男の人らしいっすねー
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