「影山君、あの優男誰ですか、僕とても不愉快です?」
「あれが青城の主将だ」
「…及川さん…、超攻撃的セッターで攻撃もチームでトップクラスだと思います」
田中さんの、怒りの質問に影山は及川さんの実力、性格の悪さを答える。例えを月島にするのは少し面白いが、それで即理解する日向も面白い。
「晃、そんなところに寝転がってたら、身体が鈍るよ?」
「あっ、はい」
俺は及川さんの登場に気を取られて後ろに転げ落ちたことを忘れていた。起き上がって及川さんのほうを向いてみると、潔子さんが隣に座ってきて俺のほうを向いてきた。
「……潔子さん?俺の顔に何かついてますか?」
「……晃は、ああいう風にちやほやされたいの?」
どうやら潔子さんは俺が転げ落ちた理由が、女子にちやほやされている及川さんを見て「うらやましい」と気が緩んで転げ落ちたものだと思われているらしい。
「いや、ただ驚いてしまって転げ落ちただけです」
「じゃあ転げ落ちてもなかなか起き上がらずに青葉城西ベンチ見てたけどなんで?」
誤解はまだ解けてないらしい。
「いや、田中さんたちの会話が面白くって、起き上がるのを忘れていただけです」
「そっか、ごめんね?誤解しちゃって」
なんか納得いかない。ここは反撃に出よう。
「潔子さんは、青城の主将を見てなんとも思わな「晃、私が初対面の人と関わるときどこで判断するか忘れた?」…………外見ではなく、その人の性格……デス」
そして潔子さんは人差し指を俺の唇に当てて
「正解、次あんなこと言ったら、この唇無理矢理閉じるから、分かった?」
「は、はい、しかと理解しました」
「ふふ、何それ、三セット目も期待してる」
「ハハハハハハ……」
今この風景をうらやましいと思う奴がいたら俺は眼科に行くことを進める。今俺が潔子さんに抱いている感情は恐怖の一点だ。外側から見たらイチャイチャしているように見えるかもしれないが、正面から見るととても強いプレッシャーを感じた。
幸い、田中さんは観客にちやほやされている及川さんに夢中になっていたので突っかかれることはなかった。
セット間の休憩も終了しファイナルセットが始まる。
田中さんは始まる前から威嚇している。
青城のサーブから試合再開だ。正直まだ全然暴れ足りない。なので、折れないでくださいね?青葉城西高校。
サーブは俺のところに飛んできたので影山に高く上げて返す。
「影山、俺によこせ」
これだけ伝え俺は助走距離を確保、いつでも走り出す準備はできている。影山のもとにボールが落ちてくる瞬間に助走スタート。そして跳ぶ。影山はそこに合わせてくれた。ブロックは三枚付いてくるが、それも想定道理。
相手のMBの手のひらめがけて力いっぱい腕を振る。打ったボールはそのまま飛んでいき、壁に当たってブロックアウト。
「影山、ナイストス!だけど、もう少し高くてもいいぞ」
「わかった、修正する」
「闇影ナイスキー‼影山!俺にもジャンジャン寄こしやがれ‼」
三セット目のファーストポイントは烏野がとることができた。次の澤村さんのサーブはレシ-バーに上げらセンターからの速攻だったが日向がワンタッチしたことにより簡単にボールを取ることができた。
「影山、もう一本上げろ、次は打ち崩す!」
再び俺は影山にトスを要求する。そして先ほどよりも早いタイミングで助走を開始する。そして跳ぶと同時に青城のブロッカーが三人釣れる。
そして影山はトスを上げるのではなくツーアタックを決める。
青城のリベロが反応するがボールには届かず烏野の連続得点になる。
「ナイスだ影山!闇影もいい囮だったぞ!」
「「アザッス!」」
次の澤村さんのサーブはレシーブを上げられた後、レフトからの攻撃で月島のほうに打たれ、月島はこれを上げることができずに青城の得点になった。青城のサーブは澤村さんが上げ、及川さんへの完成にストレスのたまっていた田中さんがきっちり決めてくれた。日向のサーブはネットにかかり青城の得点、青城のサーブはエンドラインを割りアウトになって俺は前衛に回った。田中さんのサーブはきれいに上げられるが、俺はただでは通さなかった。相手がブロックのいないほうに打とうと視線を向けた時、打つ瞬間に片手で進路をふさぎブロックをして得点につなげたり、影山、月島の二枚壁でフェイントしてきたときは手の動きでそれを読みレシーブを上げそのままカウンターにつなげたりした。もちろん烏野にもミスが出たりしたため、ずっと連続得点を続けることはできなかったが、それでも相手スパイカーとセッターに相当なストレスを溜めさせてミスを誘うことはできた。結果現在24対16でリードしており相手サーブの番である。
そこでピンチサーバーとして及川さんが出てきた。
それと同時に女子の奇声が響いた。
「いくら攻撃力が高くてもさ、その攻撃までつなげなきゃ、意味ないんだよ。」
及川さんはボールを持って人差し指を月島に向けてきた。
そしてサーブトスを上げ月島の方に向けたサーブを打つ。
月島は腕にボールを当てるがそのままボールは後ろに飛ばされる。
「うん、やっぱり、途中見てたけど、六番の君と五番の君、レシーブ苦手でしょ一年生かな?」
これは言わば『次も狙うから頑張ってね』という意味だろう。日向は現在前衛なので狙うとしたら月島、だったら簡単だ。
及川さんは再び月島めがけて打ってくる。しかし、月島にボールが行くことはなかった。
その前に俺がレシーブを上げたからだ。流石に無理な体制で取ってしまったので相手のチャンスボールになってしまう。
「少し狙うのが分かりやすかったかな?よく腕だけで上げたね、えらーい。でも、こっちのチャンスボールなんだよね。」
「よくしゃべるし、なんか腹立つ!」
「ホラ、おいしいおいしいチャンスボールだ。きっちり決めろよお前ら」
及川さんのレシーブで青城は攻撃の動きに入った。そしてセッターの後ろから金田一が走っているのが見えたが反対がわにいる俺ではもう間に合わない。しかし、真ん中にいた日向はすでにボールを追って跳んでいた。スパイクに触り、威力をやわらげチャンスボールにした。
日向は着地してすぐに助走を開始した。青城の前衛は日向に追いつくことができず、フリーの状態で日向はスパイクを決め、三セット目を取った。
今回の練習試合15対25、25対18、25対17で烏野の勝利だ。
「整列‼」
『あざーっしたーっ』
「集合」
挨拶し終えた俺たちは武田先生のもとに向かう。
『お願しアースっ!』
「しあーす!」
日向だけ挨拶が遅れた。武田先生は一瞬戸惑っていたが、菅原さんから「なんか講評とか」と言われ理解していた。
「えーと、……僕はまだバレーボールに関して素人だけど、なにか……、なにか凄いことが起こってるんだってことは分かったよ。」
「??」
「…新年度になって…、すごい一年生が入ってきて…、でも一筋縄ではいかなくて……だけど、今日分かった気がする、バラバラだったらなんてことない、一人と、一人が出会うことで、化学変化を起こす。今、この瞬間もどこかで、世界を変えるような出会いが生まれていて、それは遠い遠い国のどこかかもしれない。地球の裏側かもしれない。もしかしたら…東の小さな島国の、北の片田舎の、ごく普通の高校の、ごく普通のバレーボール部かもしれない。そんな出会いがここで…、烏野であったんだと思った。根拠なんかないけど、信じないよりはずっといい。きっと、これから、君らは強く、強くなるんだな」
「…………」
試合の書き方について
-
晃の一人称が読みやすい
-
三人称が読みやすい
-
一人称と三人称を使いたい時に使えばいい
-
作者のやりたいようにしなさい!