迷子の迷子のスパイカー   作:風神タバサ

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中学編3

 潔子さんが陸上部を引退してから数ヶ月。その間とくに何も起こらなかった……なんて展開は起きず、眼鏡を付けて学校に登校してきた潔子さんにある出来事が起きた。それは、告白だ。

 もともと告白され慣れている潔子さんだが、断った理由が部活に熱心したいからと勘違いをした連中に合わせ、眼鏡を付けた時の魅力にやられて告白する連中も増えた。

今までは、教師以外普通の生徒だからよかったのだが、最近では彼女持ちなのに告白して来ようとするものまでいた。

彼女持ちが告白、その噂は瞬く間に学校中に広まり学校中の彼氏持ちの女子が一斉に俺のところに来た。なぜ俺のところに来たかを聞いてみると「彼氏が清水さんにラブレターを渡したり、告白したら連絡してほしい」とのことだった。最初は断ろうと思ったが、最近の潔子さんは告白の返事を返すので疲れているような感じだったため、受けることにした。

それ以来、潔子さんあてのラブレターは俺が管理するようになり、彼女持ちのラブレターはその彼女に時間と場所を教える、その後のことはカップルの問題なので関与しないことにした。教師からのラブレターは即刻教育委員会に連絡をして罰を与えてもらえることになり、その他の一般生徒は呪いの手紙を靴箱の中に入れることにして、潔子さんへの告白を無くすことに成功した。

それ以来俺は男子には「清水潔子の番犬」、女子には「清水さんの騎士(ナイト)」と呼ばれる様になり、このことを潔子さんに話すと潔子さんにからかわられるようになった。

 

 

 

 

 

 

それから月日が経ち新しい年になり俺は二年生になった。

潔子さんは原作通り烏野高校に進学、卒業式の日俺はどこに進学するのか聞かれたが「今のところは烏野です」と答えると、「じゃあ来てくれることを願って待ってる」と言われた。

俺は新入部員が来ることを祈って待っていたが、誰も来る気配がなかったので借りることのできた体育館で、一人でサーブ練習をして待つことにした。

とりあえず最初はジャンプフローターから打つことにして構える。両手でサーブトスを上げる。完璧。そこから軽く飛んで打つ。掌にボールが当たろうとした瞬間。

「すいやせ~ん!」

 体育館の出入り口から声が聞こえた。

 打ったボールは全く違うところにとんでいきラインを割った。少しイラッとしたが新入部員ならいっかと思い、声のしたほうに顔を向けるとそこにはガラの悪そうな男子が四人いた。

「あの~、俺たちー、ここで遊びたいんで帰ってもらってもいいですか~?」

「いや、普通にダメだけど」

「おいテメェ、ボスの言うことが聞けねえって言うのか!?」

「そうだぜ、うちのボスはなぁ――――」

「やめろおめえら‼んな恥ずかしい真似してんじゃねえ」

「「す、すいやせん、ボス‼」」

 お、ただのガラの悪い不良かと思ったが、ボスっていうやつの性格はそこまで悪くないようだ。ついでにそのとりまきたちはボスの命令にはしっかり従うらしい。

「それで、ここの体育館かけて勝負したいんですけどのってくれますか~?センパイ」

 先輩、いい響きだ。にしても勝負か、まあ暇だし別にいっか。

「いいぞ、それで何の勝負をするんだ?」

「さっきあんたが打ってたボールを俺が上に上げれれば俺の勝ち。上に上げなければあんたの勝ちだ」

「なるほど、シンプルでいいルールだ、……じゃあ俺からも一つ、」

「あぁ」

「なに、簡単なことだ。ボールを上げるにしても、しっかりラインの中に上げてくれればいい」

「…………そんくらいならいいぞ」

「へっ、うちのボスはな、これまで相手の得意な勝負を挑んで一回も負けたことがねぇんだ!なめてんじゃねえぞ!」

「そこまでにしとけ、それで、俺たちが勝ったらこの体育館だがあんたが勝ったらどうすんだ?」

 俺はそこで考える。今俺が欲しいのは新入部員だ、あと四人いれば正式な部として認められ、体育館の利用がしやすくなる。幸いここには四人いるが勝負は俺と、そこのボスっていう奴の一対一、そのとりまきを巻き込むのはさすがに悪い。なら、

「俺が勝ったら、負けたあんたはうちの部に入ってもらう」

「ああ、いい「まってくだせい」あぁ?」

「なんでボスを掛けるんなら俺を掛けてくだせい」

「いや、ボスを掛けるくらいならオレッチが代わりになります」

「………………………」

「お前ら……俺が負けると思ってんのか?」

「ちっ!、違いや「だがおまえたちの気持ちは嬉しかっったぜ」ボス」

「あんたが勝ったら俺達全員、あんたの部活に入ってやるよ」

「ボ、ボス~~~~!」

 何で俺がこんなヤンキーどもの友情なんかを見なきゃいけねえんだっ!と思ったが話がまとまって全員入ってくれるのは、嬉しい誤算だ。

「さぁ、おっぱじめようぜ」

「三本勝負で一本でもあげたらそっちの勝ち、上げられなきゃ俺の勝ちだ」

「あぁ、なんでそんなハンデ「こちとら経験者なんだ、そんくらいいいだろ」っち、分かったよ、おれにハンデを与えた事後悔させてやる」

いや、後悔って、初めて受けるやつにジャンフロを一本目でしっかり上げるなんて無理だから。

「じゃあ行くぞ。」

 俺は両手でボールを持つ。ここからは極限の集中力を使うことにする。狙うはど真ん中で構えているあいつ。構えは悪いが腰をしっかり下ろしてるのはいい。サーブトスを上げる悪くないがうまく上がったとは言えない、ならジャンプで修正する。さっきの軽いジャンプとは違い次はゆっくり高く飛ぶ。ここで照準が合い腕を振る。さっきの練習では変化を意識したが今度のサーブはスピード重視だ。ボールはきれいに掌に当たりとんでいく回転はかかっておらず、あまりぶれずに進んでいく。相手のボスっていう奴は小学校の体育で習ったのか基本のレシーブの構えをしてボールを待っていた。このサーブの厄介なところは取れると思った瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しぶれるということだ。

 

――――――三人称――――――

 

ボールはボスの両腕に収まると思われた瞬間、右へとぶれ、ボス右腕に当たりラインの外に転がっていった。

 ボスのとりまきは、ボスが取れなかったことに驚いていた。

 当のボスはと言うと、

(んだ、今の、確かにとったと思ったのに、途中で軌道が変わりやがった。)

 打った当人の晃はと言うと、

(次は変化重視にしよう、さっきのミスは修正できたが習ったより変化が小さかった。今度はジャンフロの本当の恐ろしさを見せてやろう。)

 先ほどのミスを反省し次のことを考えていた。

 

 

 

 

 両手でボールを持ち晃はボスが構えるのを待つ。

 ボスは一度、天を仰ぎ再び構える。先ほどとは違い明らかに気合が入っている。

 晃はそれを肌で感じながらも、一度心を落ち着かせボールを上げる。先ほどと違い今度は軽く飛んで掌でボールを打つ。

 そのボールは先ほどと違い速さはそこまでないがぶれながら飛んでいく。

 一瞬この速さなら取れると思ったボスでもぶれ始めたボールを見て困惑していく。そのボールはそのまま進んでいくかと思われたが、急に下へ落ちていきボスの手前に落ちていく。ボスは手を伸ばしたが届かず、ボールはそのまま床に落ちた。

 これで二本失敗、そのことが信じられないのかとりまきたちは声が出ない。

 しかし、ボスは一人落ち着いておりさっきのサーブと今のサーブの共通点を探し出す。

(ぶれ玉、そして自分の腰の位置)

 ボスは再び構える今度は先ほどと違い明らかに楽な姿勢で、

――――――終了――――――

 

 俺は今シンプルに感心している。たったの二発受けただけでボールの変化だけでなく自分の体制に気づいたボスの行動を。さっきまでのあいつは腰が低く動きにくい体制で構えていた。だから、二本目のサーブでボールが目絵に落ちた時反応することができても、ボールに手を届かせることができなかった。そこは素直に誉めてやろう。

 だがこの勝負、勝たせてもらう‼

 

 

 

――――――再び三人称――――――

 

彼にはまだジャンフロの恐ろしさに気付いていないところがある。

 晃は再びボスを見る。しかし先ほど見た構えではなく、今見ているのはボスのいる位置だ。

(本来ジャンフロは少し下がって取るのが基本だ、だが、あいつはさっきの前に落ちたボールを警戒して少し前気味になっている。狙うなら、……頭!)

 晃はサーブトスを上げる、先ほどとは違い少し前気味に上げる、しかし先ほどと同じように軽く飛んで腕を振る。ボールは手のひらに当たりボスの頭にめがけて飛んでいく。

 ボスは先ほどと違い高めに飛んでくるボールに対処しようと両手を頭の上に上げボールを取ろうとする。

 ボスがボールを両手で上げようとした瞬間、ボールは伸びていきボスの中指に当たって外へと出ていった。

 それを見た晃は次の瞬間

「よしっ!」

 ガッツポーズをして笑顔で笑った。

 

――――――終了――――――

 

 初めての対人戦、今まで女子のチームに混ざることはあっても男子で体格もでかいため、レシーブ、トス、ブロックにしか参加させてもらえなかった。バレーを愛して十数年、俺の心は今とても高揚している。

「ボス、大丈夫っすか!?」

「すまねぇお前ら、巻き込んだ上に負けちまって…………」

「そんなこと言わねえでくださいボス、俺っち達は巻き込まれたなんて一ミリも思っちゃいねえっす‼」

「そうっすよ、俺はあんな真剣なボスなんて久しぶりに見たんすよ」

「……………………」

「てめえら」

 なんか話が勝手にまとまって言ったっぽい。

ボスは立ちあがると俺のもとへ歩いてきた。

「えーっと、三本とも俺が勝ったからうちの部活に入ってくれる、ってことでいいよな?」

「もちろん、これからよろしくお願いします‼!アニキ!」

「「お願いします‼アニキ」」

「……………………」

「おう、よろしく、…………アニキ?」

「うちのルールはボスに勝った奴はみんなアニキっていうルールなんすよ」

「と言うやけでアニキ、俺はボスこと山岸(やまぎし)ボス朗(ぼすろう)です。ボスって呼んでください」

「おれっちは、友寄逹(ともよりだち)っす。よろしくお願いします」

「俺は侯隆悠仁(きみたかゆうじん)です、よろしくお願いします」

「……………………」

「こいつは無口斗真。無口なのはすみませんが勘弁してやってください」

「気にするな、俺は「あ、アニキはアニキなので下っ端の俺たちに名のらなくていいっすよ」えあ、あ、うん、分かった」

 初めての後輩、初めての部員、しかし、ボスたちはバレーのルールも全く分からないようなのでこの一年は練習と更生、あと、勉強になった。だって、人数が足りないって言ったときあいつら、「そこら辺にいるやつら脅して入部させましょう」って言ったり。「あいつらの体育館奪って練習しましょう」だったり、「俺達テストで赤点取ってしまったので補修らしいんすけど、サボって練習行きますね」と来た。

 来年にはボスの後輩が入って来るらしいのでそれまでは、ボスたちの更生をすることになったのだ。

 ちなみにこのことを潔子さんに電話で話したら、笑われた後「頑張って」と言われた。やはりまだ部活には入っていないようだ。

 それから一年が過ぎ、ボスたちの素行が少し良くなったところにボスの後輩のチビが来た。最初にそう呼んでいいか聞いたところ、ボスに初めて呼ばれた名前だから気に行っているらしい。身長は小さいが反射神経がよくリベロに向いているんじゃないか、ということだった。幸いチビは勉強はできるらしくバレーのルールを教えるだけだったので、最後の大会には間に合った。

  

 

 

 

前世も合わせて十数年俺にとって初めての公式大会が今始まる。

 




今回で最後の原作前になります。今後の書き方は基本一人称ですが、試合の時は基本的に三人称で書いていくつもりです。
後、今回のオリキャラは高校では基本的に出てきません。
今後ともよろしくお願いします。

ヒロインについて、中学は宮城にしますが高校はヒロインによって決めていきます

  • シンプルに清子さん
  • あかねちゃん応援団長orアリサ
  • 作者の推しである雪絵ちゃん、雀田さん
  • 恋愛なんていらねえ=他県でオリ高
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