ヒロインは潔子さんに決定しました。
潔子さんが圧倒的に人気があったので驚きました。
大会
家を出て二時間たった今、俺はようやく試合会場に着くことができた。うちは復活したばかりの成績も残せていない部活なので顧問がいなければ、移動するためのバスもない。よって現地集合だったため、道に迷ってしまった。
ボスたちはすでにコートでアップを始めているらしく、荷物を置く場所もすでに確保済みらしい。
ボスたちの荷物を見つけて道具をそこに置き必要なものだけを持ってボスたちのいるところへ向かう。
ボスたちはすでに体操に入っていた。
「すまん、遅れた」
「大丈夫ですよアニキ、時間前なんで。それより本当に俺がキャプテンで良かったんですか?アニキのほうが歴が長いのに……」
「お前ならできると思って任せたんだ。確かにバレー歴は俺のほうが長いけど、逹たちとの仲の長さはお前のほうが長いだろ?バレーってのは繋ぐ競技だ。ボールをつなぐには?」
「仲間との信頼が一番大事」
「そうゆうこと」
再び練習を再開しようとしたとき、
『おおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっ‼‼‼‼』
「あぁ、なんだ?」
「おいボス、顔、顔が怖いぞ」
「アニキ、あれ何なんすか?うるせえんですけど、あれ」
「優勝候補の北川第一だ。一応今日勝てば明日の二回戦で当たる。」
「ボッサン、昨日昨日紙渡しましたよね?」
「ああ、あれ?昨日は楽しかったよなダチッコ?」
「あぁ、あれトーナメント表だったんですか?昨日はよく飛びましたよね?」
まさかこいつら、トーナメント表を紙飛行機にするとか馬鹿か。
「まあ、目の前の試合に集中すればそれでいいわ。」
とりあえずアップに入ることにした。
皆、調子は悪くなさそうだ。ボスに至ってはいつも以上に声が出ている。
北一の声に感化されたようだ。
試合が始まるため第一試合のあるチーム以外の選手はコートの外に移動させられる。
そのままトイレに行くと小さい二人が俺の横を通り過ぎる。その姿を見た瞬間俺はそいつらが誰なのかすぐにわかった。緑色のユニフォーム、オレンジ色の髪。それだけでもわかる。あれは日向翔陽だということが。本当は日向対影山の試合を見たいのはやまやまだが、その後に俺達は試合なので作戦を練るため見ることができないのだ。
荷物を置いていた場所に戻ると、ボスがなぜだか機嫌が悪そうだった。ボスを宥めていた逹に話を聞くと、仙国中のやつらが「初戦は楽なのに次の試合北一じゃん。マジ最悪じゃね?まぁ次の試合は気持ちよく勝って、北一は楽に行こうぜ」と言っていたのをボスが耳にして、跳びかかろうとしたのを逹たちが全力で阻止したらしい。
「おいアニキ、俺ぁあんなこと言われて黙っているほど人間できてません。この試合、俺中心に攻めさせてください!」
確かにボスの気持ちが分からなくもない。俺だってもし自分のチームメイトたちの悪口を言われたら怒る。だが、
「ダメだ、」
「なんでですか⁉」
「今回の試合、元から俺を中心に攻める予定だ。」
「それを俺に変えるってだけじゃないですか!なんでダメなんです!?」
「二回戦、そこで確実に北一と当たる。その時に俺達は、俺のワンマンチームだということを相手の頭の中に染み込ませておく必要がある」
「アニキ、理由はなんとなくわかったすけど、それだとボスも納得しねえっすよ」
「わかってる。だからボス。お前は一つだけ禁止していたことを解禁させる」
「なんすか?」
「スパイクサーブ、打っていいぞ」
「「「「‼?」」」」
本来スパイクサーブはこの試合ではピンチの時にしか使わないと決めていた。しかし、このままでは、ボスの怒りは頂点まで達し、試合中に何をしでかすかわからないまである。それに、
「サーブは一対多で行うものだ。お前ひとりのサーブで相手チームを翻弄した時の顔を想像してみろ、たぶんとても気持ちいぞ?」
俺は時々自分たちをバカにしたやつら、調子に乗っているやつらを相手にしているときにドSになるようだ。自覚はないが、潔子さんのラブレターで彼女持ちを密告するときや、教育委員会に訴える時、呪いの手紙を靴箱に入れる時、いつもにやけながら行っていたらしく、潔子さん曰く「ドSスイッチ」と言われるようになった。
ボスは考えているようだったがすぐに顔をニヤ突かせ「いいっすね、それ」ということで話はまとまった。前の試合が終わり、俺達は試合のためにアップを開始する。
――――――三人称――――――
試合開始の笛が鳴る。
晃たちは前衛にボス、晃、無口の最高壁三人だ、今までたくさんの人を見てきた無口の目、見た目は明らかにガラの悪いボス、中学生離れした身長を持つ晃の三人に、最初は楽勝と思っていた仙国の選手はへっぴり越しになる。仙国のサーブはチビのもとへ行き、チビはセッターである無口のもとにきれいにボールを上げ、無口は声を出さずにトスを上げる場所を見る。そのまま高くトスを上げた無口。晃はそのトスに余裕を持って助走し思いっきり飛ぶ。仙国のブロックは三枚付くが晃にはそんなもの関係なかった。晃はブロックの上からボールを打ち抜く、そのボールは大きな音を上げ床に当たりバウンドして客席の二階にとんでいった。
仙国の選手はそれを見ただけで顔は青ざめ震えた。しかし悪夢は始まったばかりだ。次のサーブは怒りに怒ったボスのサーブ。ラインから少し離れたところでサーブトスを上げるボス。仙国の選手は誰が予想しただろうか。聞いたことも見たこともない無名校がスパイクサーブを打つなんて、ボスのサーブは誰も触ることができずコートにたたきつけられる。
「おいおいボス、サーブ少し手、抜きすぎなんじゃねえか?」
「すいやせんアニキ、でもまだエンジン掛けている途中なのでもう少し待ってください」
「……早くあっためろよ」
無残な言葉が仙国の選手たちを襲う。あれだけのサーブでまだ全力じゃない。仙国の選手たちは、相手が無名校だからとアップに身を入れずテキトーにしていた。結果、ボスのサーブを取ろうにも身体が言うことを聞かず、ボールに触れるもそのままふっ飛ばされた。
それは、一セット目に限らず二セット目まで起こることとなり、結果はまさかの25-0、25-0のパーフェクトゲームで試合は終わった。
この結果に見ていた観客は驚きを隠せず、それを受けた仙国の選手はすでに目から涙をこぼしている人までいた。
最終的に仙国の3年はまともな試合をさせてもらうことができず、中学最後の大会を終えた。
―――終了――――――
今のボスの顔は今までに見たことがないほどの笑顔だ。この大会の俺達の初戦は、俺が最初の一点、残り四十九点をボスがたたき出した。相手がしっかりアップしていなかったというのもあるが、初戦にしては上出来すぎるほどの結果だ。
しかし、明日の相手は北川第一。そううまくいかないだろう。恐らく今日の試合もみているはずだ。
「ボス、喜ぶのはいいが、切り替えろ。明日は北川第一との試合、今日の相手とは違って多いい人数から選ばれた正真正銘優勝候補のチームだ。サーブだって上げられるし、スパイクだって打ってくる。恐らく今日の俺の得点は一点だが、俺から先につぶしてくるだろう」
「それじゃあ……」
逹が不安そうに見てくる。
「心配すんな。ちゃんと手は用意してある。だが、うまく成功しても勝てるっていう保証はねぇからあとは、俺たちがどのくらいできるかってのに掛かってる。それで作戦は……………………明日のお楽しみだ。今日はゆっくり休んで明日に備え解け」
「「「「うっす‼‼」」」」
「……………………」
それだけ話して今日は解散となった。
明日はついに影山との試合だ。この時の影山の性格はある程度分かっているからいくらか作戦が思いつく。あとは俺の目と、予想外のことが起きなければ負けることはない。
普通じゃパーフェクトゲームなんてありえません。
だからこそ敢えて書きました。何か感想意見がある方は是非お願いします。