魔法少女リリカルなのはStS 夢のつづき(FFⅩ)   作:八神煌斗

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 お試し投稿です。状況をみつつ続きを投稿していきたいと思います。この時期にリリなのとFFのクロスオーバーって需要あるのかしら。


01.プロローグ

戦いは終わった。

少女は踊る。

共に旅をした、助けてくれた、幻獣と共に、舞う。

一匹、また一匹と光になる。

 

それでも少女は踊り続けた。

 

 

夢は終わった。

青年は消える。

自分は夢の中の住人だと。

夢を見続けてくれた者達に感謝し、それでも夢を見続けて欲しかったと。

 

それでも、青年は消える。

 

 

 

災悪の象徴の終わり。

それは弾け、雲海を作り、消えた。

 

そして、その雲海に浮かぶ一隻の船。

もう一つの終わりが近づいていた。

 

「オレ、帰らなくちゃ」

 

死者を弔う踊り終えた少女に向かって青年が、いつもの明るさを振舞って言う。

 

少女は何も言わずに首を左右に大きく振る。

 

「サナルカンド、案内できなくてごめんな」

 

そうして少年は一歩ずつ、空を泳ぐ船の先端まで歩を進める。

 

「また会えるんだよね? ねぇ!?」

 

共に旅をした仲間の問いにさえ答えず、歩き続ける。

会えないと、分かってるから。

夢を見続けてくれた者達は、もう夢を見ることのない深い眠りに付いた。

 

仲間は何も言わない。

ただジッと、歩き続ける少年の背中を、見つめ続ける。

 

 

耐え切れず、少女が走り出した。

 

「   !!」

 

誰かが彼女の名前を叫んだ。

青年はそこで初めて振り返った。彼女が走ってくる。

 

青年を抱きしめようとして――

少女を受け止めようとして――

 

 

少女は青年の体をすり抜けた。

 

青年は自身の体を見つめ、少女は甲板に倒れこんだまま。

 

体は既に限界だった。

いたる所から光珠が生み出され、その度に青年は自身の存在が希薄に成っていくことを感じていた。

 

そこで改めて、自分は消えるのだと、青年は感じた。

頭では分かっていた。

自分の存在が何なのか。

戦いが終われば、終わらせるためには自分が消えることを受け入れなければ。

それでも、生み出される珠を見ると、恐怖とも嗚咽とも感じ取れる声を漏らす。

 

少女はただ、その珠を焦点が定まらない目で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

「ありがとう」

 

搾り出すように言った言葉。

いつも、いつも青年が聞いていた声色で聞いた言葉。

 

青年は息を呑み、振り返り少女を見る。

 

少女は、立っていた。

 

 

背中を向けている少女に向かって青年は歩き出す。

そして、抱きしめた。抱きしめることが出来た。

 

少女は振り向かない。

それでも、お互いの体温を忘れないように、胸に刻み忘れないために、瞳を閉じる。

 

そして静かに青年は手を解き、歩きだす。

少女をすり抜けて、まっすぐに歩きだす。

 

少女は何も言わない。背中を見つめつ続けるだけ。

その背中を忘れないため。

 

少年は何も言わない。彼女の事は胸に刻みつけたと。

今にも泣き出しそうな顔を見せないために。

 

 

別れの言葉は要らない。

この旅はキセキだらけだったと。

 

本来出会うはずの無い仲間達。

決して消滅はしないとされていたモノの消滅。

もう何にも触れられない体で触れることが出来た。

 

もう一度キセキは起こるはずだと。

ならば別れの言葉はいらない。

 

青年は、走り、飛ぶ。

雲海の中へと、飛び込んでいった。

 

自身の意識が消える中で

 

願わくば、もう一度のキセキを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ん~……ようやく形になってきたなぁ」

 「そうですね。テスタロッサ達ももう直ぐコチラに到着するようです」

 「うん、私のところにも連絡がきてたわ」

 

海沿いに建つ白い建物。

時空管理局本局遺物管理部 機動六課。

 

正式な稼動を三日後に控え、その建物を感慨深く見つめる二つの影。

起動六課部隊長、八神はやて。

起動六課ライトニング分隊副隊長、シグナム。

 

 「そう言えばシャマルはどこに行ったんやろ?」

 「機材を見に行くと言って走っていきました。自分の城を手に入れた、と嬉々としてましたね」

 「あはは、そういえばそんな事言っとったなぁ」

 

自分の家族の行動に苦笑を漏らしながら、再び六課を見上げる。

 

そう。彼女、八神はやてには夢に見た自分の部隊。

数年前に起きた空港の爆発火災爆発事故。その時に感じた時空管理局の限界。

災害救助、犯罪対策、ロストロギア対策。全てにおいてここミッドチルダの地上管理局部隊の行動が遅すぎる。後手に回って承認だらけの動き。それなら行動が遅れるのも当然だった。

はやて自身もフリーであらゆる場所に呼ばれていたが、自身が前に進んでいる、成長しているという実感はあまり持てないでいた。

だからこその自分の部隊の設立を夢見た。

 

親友達に話した際には同意ももらえ、更に自分達も協力させて欲しいと申し出てくれた。

 

そして実現した。

少数精鋭のエキスパート部隊。中には自身の幼馴染であり、エースオブエースと言われる者もいる。ここで成果を挙げていけば、上層部も変わるかも知れない。

そんな願いを叶える場所でもあった。

 

 

既に述べたシャマルの他にも既に何名か着任しており、既に機材の最終チャックに入っている。

それだけでも今の人員を選んだ甲斐があった。やる気は十分。

予想では今でも直ぐに稼動できるだろう。

 

よし、とはやては自身の両頬を叩き、気合を入れなおす。

 

 『八神部隊長!』

 「うん?」

 

はやての目の前にモニターが映し出される。

 

 『教導スペース付近の海上……上空に次元ホールの発生を確認しました』

 「なっ……」

 「さっそくか……」

 

報告内容にはやては言葉を失い、シグナムは静かに息を吐いた。

管理局の行動の遅さに不満を持ったのが始まりの部隊。その公式稼動の数日前に起きた次元ホールの発生。

次元ホールとは文字通り次元をつなぐ穴である。しかし滅多に発生するものでは無く、大抵人為的なものである。

ましてや――

 

 「生態反応は?」

 『微弱ですけど……あります!それも徐々に反応が強まってます』

 

生体反応があればそれでもう確定だろう。

開ける者は別の次元の研究者、またはミッドチルダで研究者が大体だ。

それも犯罪者級の。事前に管理局に信性を出していればはやて達の耳には少なくとも実験をするという事は入ってくるだろう。

それを知らないと言う事は当然、違法の線が強くなる。

そこに生態反応があれば、不法入国者という扱いになる。

 

 「様子を見てきます。主は――」

 「私も行くよ。稼動してないとは言え、私の隊舎での事件なんやし」

 「主……。いえ、分かりました」

 

シグナムはその場で自身のデバイス、レヴァンティンを機動、騎士甲冑を纏う。そしてそのまま飛行して、次元ホールの元へと向かう。

 

 

 

 

思考は徐々にクリアに。

まどろんでいた筈の意識は呼び起こされ、希薄になっていた自分というモノがはっきりとしだす。

視界も開けて、始めに見えたのは

 

 「み、みずーーーーーーーーー!?!?」

 

視界いっぱいに広がる海面。

そこに向かって急降下していく自分。

 

どうにかしようと体を動かしてみるか、どうにも上手くいかない。

そもそも彼には飛行する手段もなければ、高所から飛び降りる事など、そうそうなかった。

運動神経には自身のある彼だが、やったこともない、練習したこともないものをすぐにやるなど、不可能だった。

彼は直ぐに落ちない、ということを諦めだ。

体を海面に向かって垂直に、両手を頭の上に伸ばし、指先からつま先まで一本の棒のようにした。

そう飛び込むことに決めたのだ。

 

そして彼は水中に消えていった。

 

 「ぷはぁっ!!」

 

水中から顔を出した彼はまずその肺いっぱいに新鮮な空気を送り込む。

泳ぐ事は得意なので傍から見れば立っている様にしか見えない立ち泳ぎで周りを見回す。

 

まず見えたのは鉄で作られたであろう立派な建物。

そして海上に浮かぶ鉄板。横から見ているので大きさは分からないが、厚みは相当なものだ。

ここはどこだ、と思考をめぐらせる。

さっきまで自分の居たところでは見ないものばかり。あそこは機械というモノを排除して作られてきた世界だ。

しかし、彼はこの様な無機質なモノに見覚えがあった。

 

 「ザナルカンド?」

 

気づいたら口に出していた。

眠らない街、ザナルカンド。彼の故郷。

そう、機械や無機質なものはザナルカンドで散々見てきた。むしろあの世界よりも見慣れている。

 

まさか、ザナルカンドに戻ってきた。

 

 「いや、そんな筈ないか……」

 

そう。そんな筈は無い。

眠らない街、ザナルカンド。それは実際に存在していた。しかし、彼が居たのはそのザナルカンドではない。

夢のザナルカンド。もう戻れない。今は存在するはずの無いザナルカンド。

自身が旅立ったあの日に消えたはずだった。

 

そこで少年の頭に更なる疑問が浮かび上がる。

彼は両手を海中からだし、見る。手のひら、甲。繰りかえし見る。

 

 「なんで俺、消えてないんだ?」

 「そこの貴様、そんなところで何をやっている」

 

 

 

これは彼、ティーダの新たな冒険譚のほんの序章

 

 

 

 

 

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